ん?空中浮遊?
そう、俺は思い出した。心体操作のおかげで没スキルと化した空中浮遊さんの存在を。
そう言えば空中浮遊とかいうスキル使ってなかったな。
もしかしてこのスキルで崖から降りれる……?実験してみよう。玉座の部屋の天井はあまり高くないのでまず、バルコニーに出ます。梟とか魔物がいないか確認します。いないのを確認したら、7mくらい浮きます。空中浮遊を解除します。そして即座に空中浮遊を発動します。
眼前に崖があるのでタマヒュンしそうな高さで空中浮遊を解除した俺の体は自然落下しようとしたがもう1度空中浮遊を発動した途端、時が止まったように空中のその場にピタッと止まった。
実験は成功だ!
後はバルコニーの範囲から崖のところまで来て空中浮遊の発動と解除を繰り返すだけだ。何の問題もない。
そう言えば梟が狙ってた獲物ってなんだろう。
と崖の中腹を見た。何か崖に大きな横穴が何個も空いている。まるで何かの巣の入口ような……………
入口を見ていたらモグラの頭をしたアリが数匹出てきた。全員こちらを注視している。
はーい、SANチェック入りまーす。自動失敗なんで1D5でーす。わーい。
………………………
気持ちわりぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!こっち見んな!こっち来んな!今すぐ崖から離れなければ!!
俺は急いで地上へ落ちていった。地面から5m位の上空で止まり、そして空中浮遊を解除した。
何だこの世界の魔物は。SAN値を減らすことに重点を置いてるのかな?いや、ゲームとかのモンスターが現実に存在したらあんな風になるのかな……?
もうちょっと優しい見た目の魔物と会いたいなぁ………流石にあんな化け物を鑑定したくはない。
それにしても空中浮遊って使い所によればかなり有用なスキルだぞ。ごめんな空中浮遊。お前の事没スキルなんて言って。
なんてことを考えながら辺りを見回すと、何やら建物が見える。
んー。天の声さんのせいで人類と敵対してる(設定)んだよなぁ、どうしよう。
まぁ、いいか。人が居るかも分からないし取り敢えず建物に向かってみますか。
しばらく建物に向かって歩いていると石で整備された道が出てきた。しっかり掃除されているみたいで砂埃は少ない。だが、何の為に整備されているか分からない。来た道と反対方向に何かあるのかな?まだこの道は完成していないみたいだし。
そんなこんなでしばらく整備されている道を歩いていたら、建物の姿は大きくなりそれは俗に言うギルド、RPGに出てきそうな立派な建物だった。それに連なるように街が見えてくる。遠目で見る限り人は出歩いていない。
わぉ。俺街の中に入っても大丈夫かな……?一応人型だけど中身無いし。夜目のおかげで明るく見えてるけど多分今の時間帯夜だと思うんだよな……
そもそも俺って喋れるのかな…?今頃気づいたわ。多分喋れないだろうけど。
そう思い、ちょっと大きな声出してもいいかなと思っちゃったんだよね。馬鹿だよね。
「『%?*^+&"#!!!』」
ほぇ?なんか出た。とてもこの世の者とは思えない限りなく不快な音が。
目の先には街がある。
………これもしかしなくてもヤバいやつ?