梟美味しい
早速心体操作使ってみたが鎧になる前より俊敏に動けてなんか複雑。でも便利だから気にしないでおこう。
玉座のある部屋から出たらバルコニーっぽい場所に出た。お空は真っ暗。下には断崖。うん、構造的におかしくないか?出入口どこ?という訳で一旦玉座の部屋に戻る。
玉座の部屋を隅無く探してみたが、バルコニーに続く扉だけで他の扉は無い。どうしろと?バルコニーから飛び降りろってか?冗談キツイわ。
そうこうして悩んでいると不意に
「ヒュン!」
と風を切る音がする。
辺りは真っ暗だが目を凝らしてよく見ると何やら飛んでいるものが見える。梟だ。だが俺の知っている梟よりも体が大きい。さっきの風切り音は断崖にへばりついている獲物を狙って急降下したものによる音だった。
あなたは理解の範疇を超えた生物を見て成功で0、失敗で1D3のSANチェックです。
とGMの声が聞こえてきそうな梟だった。俺のリアルSAN値はゴリゴリ削れた。もう少しで一時的狂気である。なので一目散に玉座の部屋に戻った。
なんだアレ!?最初の部屋から出てすぐモンスターに出会うって鬼畜すぎるだろ!というかコレ詰んでるよね?出口は無いわ、部屋出たらモンスターいるわ、多分俺クソ雑魚ステータスだし、どうすればいいんだよ!戦闘RPGと見せかけた謎解きゲームなのかこれは!?ダンガン〇ンパも真っ青な謎解きだよ!!
一旦落ち着け、まずはあの梟っぽいものを鑑定できるか試してみよう。そうしよう。という訳でまた部屋の外に出る。
「ウラドウルの『鑑定』に成功しました。
ウラドウルとは鳥型の魔物。夜行性。」
アッハイ。そうですか。ステータスとか見れないか期待したけど流石に見れないか。では魔物という種族について鑑定してみよう。
「魔物の『鑑定』に成功しました。
魔物とは魔力を生まれつき持っている者の総称であり、魔力を自在に操ることが出来る種族。魔物の体内には魔力の元となる核が大なり小なり存在する。また、好戦的で他種族と対立している。」
つまりあの梟は魔法も使えるってことですか。そうですか。本格的に詰んできたな。ここの部屋の壁をぶち壊してどこかに出るしか無くなってきたぞ………
壁を壊せるか試そうとしたその時。バァン!と大きな音を立ててバルコニーへ続く扉が粉砕された。そこには例の梟が。真っ直ぐ自分を見据えている。
!?!?ちょっ!反則ですよ!俺が何したってんだ!鎧だぞ?美味しくないよ?なんで唯一の安全圏をぶち壊してきてんだよォ!?何か対処法は!?そうだ!憑喰!憑喰発動!
スキルは何回も発動させることが出来る。MPを消費するスキルは例外だが。
この時俺は命を賭して高〇名人ばりの連打をイメージしながら憑喰を発動させていた。
梟は獲物を追い詰めるようにゆっくりと近づいてきたのであっさり憑喰の効果に捕らわれていた。
俺の鎧の体が一瞬で梟に取り憑いた。どういう訳か鎧の体はぴっちりと梟に装備されており、その姿は鎧と言うより1種の魔物に見えた。
よし!憑喰成功!俺の鎧はあからさまに人型だから梟に通用するか不安だったがなんとかなったな。後はこの梟からステータスを搾り取るだけだ。
梟は一瞬ビクッとしたがそれ以降その場から動かず、
2分経たないか位の時間で憑喰は解けた。思いの外ステータス吸収は早く済み、肝心の梟はカラカラのミイラと化していた。
さて…この梟どうするかな。外に放り出して他の梟の餌になってもらうか。
……ん?この梟の背中の部分なんか光ってるな。なんだろう。
光っていたのは紫色の綺麗な石だった。アメジストによく似ている。
綺麗だから取っとこ。しかしなんだろうこれ?鑑定してみよ。
「魔心核の『鑑定』に成功しました。
魔心核とは魔物の核。種類は千差満別で、多大な魔力を保有している。」
これが魔物の核か。意外に綺麗だな。魔力を持ってるみたいだし、いつか役に立つかもしれないから魔物を倒したらどんどん取っていこう。
しかし、この核どこに入れておけばいいんだ?鎧の中空洞になってるしそこに入れておくか。憑喰使ったらどうなるか分からんけど。
あっ!そういえば梟からステータス吸収したんだっけ。確認してみよう。
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〇LV 1
〇NO NAME
〇STATUS
・HP 10
・ATK 400
・DEF 210
・MP 300
〇SKILL
・『憑喰』
・『鑑定』
・『空中浮遊』
・『叡智』
・『管理者』
・『心体操作』
・『精魂強化』
・『夜目』
・『気配遮断』
・『気配察知』
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わぁお。色々増えたなぁ。ステータスの強化も嬉しいけど何よりスキルが増えるのはありがたい。これからも魔物にはどんどん憑喰を使っていこう。
そして新しいスキルの鑑定だ。
「『夜目』の『鑑定』に成功しました。
『夜目』とは視界が夜でも昼と遜色ない明るさになるスキル。常時発動可能。」
「『気配遮断』の『鑑定』に成功しました。
『気配遮断』とは気配を最大限まで殺し、他人に察知されにくくなるスキル。」
「『気配察知』の『鑑定』に成功しました。
『気配察知』とは半径50m内の生物の配置を察知出来るスキル。『気配遮断』を技量によって看破出来る。常時発動可能。」
どれもこれも便利なスキルで大変結構。夜目は常時発動しておこう。気配察知は使ってみたが何故か情報が多すぎて頭がパンクしてしまうので常時発動はNG。
さて、梟を倒したのはいいのだがどうやって外に出るかという問題が残っている。やはり壁をぶち抜くしか無いのでは……