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第7話 入団試験5
(分の悪い賭けになるが防げば勝機がこちらに引き寄せられる。
居合いは一撃必殺。
一撃さえやり過ごせれば……勝てる!)
ナギトは斬り掛かかるべく歩足を踏み込もうとした。
刹那―――
「はっ!」
気の入った息吹とともに彼は踏み込んだ。
太刀の煌めきがナギトを襲う。
リーゼの腰から放たれた一撃必殺の刄。
ナギトの横を駆け抜けると太刀が鞘に収められた。
するとナギトの左後方に彼の剣が突き刺さった。
「……」
彼は自身の剣を見つめ呆然とし、周りにいた下士官も状況を飲みこめずにいた。
(バカな……剣を折ったのではなく斬った…だと)
完敗だった。
呆然としたナギトの首元に後方から太刀が突き付けられた。
「…私の負けだ」
それを聞いたリーゼは喜びの表情を浮かべずに刀を引いた。
「手を抜かれたので?」
ナキは上官に近付きタオルを手渡しながら恐る恐る聞いた。
答えはわかっていたが彼女自身、いまだナギトが負けたことに衝撃を受けている。
「…完敗だ」
汗を拭き、タオルを返すとリーゼと意気消沈中のファルを連れその場をあとにした。
少し。中途半端な長さになりました