第3話 入団試験
案内されたのは街の中心部にある兵の詰め所だった。
「………はい、わかりました」
上官の部屋の前で待たされていると先程の兵が部屋から出てきた。
「話は通した。
入っていいそうだ」
そう言って二人の兵は自分の持ち場に帰って行く。
すれ違いざまにリーゼの肩を軽く叩き、それに答えるかのように二人は頭を下げ礼を言った。
「……失礼します」
そう言って彼はドアをノックして部屋に入った。
部屋は左右に本棚と正面にある大きめな机と椅子、背後の壁には槍と剣が飾ってあるだけで小綺麗にされてあった。
ただ、机の上には無数の書類と思われる束が無造作に積み上げられていた。
「……話は聞いた。
入隊したいと?」
「「はい」」
「まず、いくつかの質問の前に互いに自己紹介をしようか…
私はナギト=マクスウェル。階級は少尉だ」
ナギトは紅蓮の髪に目付きは鋭く、掘りは深い。
肩幅も広く、筋骨隆々とした体だ。
「自分はリーゼ=ヴォルフです。
年は十七で刀を使います!」
「ファル=ナックです。年はリーゼと同じく一七で、武器は剣もしくは細剣を得意とします!」
ナギトは一瞬、リーゼの刀に眉を持ち上げた。
刀は熟練したものが扱えば鋼をも断つ。
ただ、欠点として強度だ。
刃こぼれや折れやすいのと同時にその刃に浮かぶ刃紋の美しさから芸術作品として高値で取引されている。
「刀か…」
と、だけ彼は呟くと視線をリーゼの腰に下げてある刀へ目を向けた。
(この年で刀を使う者がいるのか……
恐らくかなりの腕だろうし、なにより無銘の刀ではないだろう)
「……あの」
思案しているとファルが控えめに声をかけた。
「ん?……失礼した。
入隊を許可するがその前に君達の力量が知りたい
着いてきたまえ」
そう、言って彼は立ち上がってリーゼの脇を通り過ぎドアノブに手をかけた。
若干の設定不足は少しずつ直していきます。刀の記述も要修正です