6・まだまだ続いたお勉強、どうやらチートは技術者じゃね?
俺への御前とやらへの教育は10日ほど続いた。
とにかく基本的なことだけという話だったが、疲れた・・・
まず、海面上昇の原因、っとそれにはこの世界の基本的なこと地理がひつようだったな。
この世界の地理は地球よりも簡単だ。基本的には3つの大陸で成り立っている。北の大陸、中央大陸、氷の大陸。基本的にはこの3大陸と東の様な島々。
まず、地球よりも地軸の傾きがあるらしく、恒星に対して地球ほどには傾きが変わらない。その為、南半球にある氷の大陸は夏が殆どなく、北半球は日本に近い緯度にある東ですら台湾から奄美諸島辺りの気候。屋島以北でようやくマトモな冬が存在する。このため、北の大陸は大部分が温暖で、ウルムのあるステップ気候帯も地球のモンゴルよりも暖かい。
北の大陸、
東から見た西端程近くに赤道を跨いで南北に広がる中央大陸は南アメリカに近い気候帯となっている。
さて、そんなこの世界で3000年ほど前から始まったといわれる氷の大陸の温暖化。始めは1000年かけて徐々に氷河が溶けていたらしいが、2000年前から破局的な崩壊が始り、僅か500年で氷の大陸の半分に達する氷河が無くなってしまった。これが急激な海面上昇を引き起きたと見積もられている。まるで縄文海進だが、こちらのペースと海面上昇高さはまるで違ったようだ。氷の大陸の隆起はまだこれからで、氷河の崩壊もペースは落ちたものの続いている。現状では海面上昇もほぼ止まったが、まだ数mの上昇はあるかもしれないらしい。
現在この世界の先進国は東の周辺国以外では、北の大陸西端から僅かに内陸にあるルーテシア、中央大陸のコロンバスが代表的らしい。元々海に面した海洋国家が軒並み水没したため、この様なお寒い状況が出来上がった。しかも、ルーテシアやコロンバスは周辺に多くの紛争を抱え、海路による大規模交易に乗り出す余裕は乏しい。
東の政治体制については、国政は大人の中から大臣が5人選ばれ、彼らが省を束ねる、日本で言えば事務次官と大臣、長官の2役を兼ねる省侯と協議して基本政策を決める。
地方については、各地方を治める権令、江戸時代の藩主ほどの独立性はなく、その為、治安部隊は権令の指揮を受けるが、軍隊は大臣の指揮下に置かれている。国の政策決定は巫女の夫か父親である御前が出席する御前会議で決定される。地方の格差の調整や国政から再び還流される資金の流れに目を光らせ、地方行政に対して指示を出したり国法に触れる政策やっていないか監査する議会がある。日本でいえば参院の決算委員会が近いだろうか。議会にはこれまで出てきた様に、権令を隠居した「ベテラン」が多く在籍しており、彼らを地方院と呼ぶ。
さて、スマホの件だが、都での会議の翌日には件の技術者が充電器を預かりに来たから快く預けて10日、勉強漬けの毎日が続いていた頃、早くも試作品が出来たと持ってきた。結果は上々で電池が膨れたり充電出来ないという不具合は起きていない。まあ、まずは予備のバッテリーパックで試したのだけどね。これから二度手間ではあるが、二段階の充電でやり過ごそうと思う。
しかし、たかが10日で未来の技術を修得する技術者って、チート過ぎじゃね?