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11・家庭教師豊音と電球のはなし

「何回言えば解るんじゃ、そっちへはねるんじゃない」


 豊音ちゃんが呆れている。


 何をやっているかって?字を書いてるんだよ。必要最低限の読み書きが出来ないとダメだと豊音ちゃんに叱られ、それから毎日読み書きの時間がある。

 今日は缶詰の指導に行っていたから夕飯後に行われている。


 東の言葉を喋っているから日本語が通じていると思っていたのだが、どうやら違うらしい。喋っているから俺自身は違いを理解できない。文字化するとそれがわかるのだがこれがちょっと難解だ。なんせ、パッと見では漢字とカナに見える。いや、正確には、漢字様の文字とカナ様の文字だから、読めはしない。ややこしいな。そうだな、英語とロシア語、アルファベットとキリル文字みたいなものかな。Jと書いて、レやしと読むなら混乱もない小さいが、これで「き」ってどうよ。


 全てがこの調子だ。あ、たまにそのままのじもあるぞ?、「の」なんかはそのままだ。読みは「か」だがな。キリル文字には文字を輸入するときに船が難波してぐちゃぐちゃになったから並びや変な字があると、嘘かほんとか知らないが聞いた覚えがある。ホンマかいな・・・


 まあ、そんなわけで未だに難しい。


「ほら、何で『ふ』がそんな字になるんじゃ、もう」


 可愛いから和むが、ちょっと辛い・・・


 缶詰についてはカシメ方が決まって器具の作成に入ってる。この国の技術者達がチートでホント助かってる。しかし、俺は何で缶詰のカシメ方なんか知ってたんだろ?震災直後にテレビでやってたっけ?それとも、ドラム缶の方法だったのかな?まあ、とりあえず方法は決まったから後は専門技術者達が何とかしてくれるだろう。


 そんなことをやっていたときに、技術者さんと話す機会が出来た。

 圧縮については熱効率や密度の問題だと既にわかっているようだが、ちゃんとした理論を発表するにはあと一月くらい欲しいそうだ。きっとディーゼルエンジンを同時に伝えても大丈夫ではないかと思う。


「電球の実用化は目処が立ちそうなんですが、現在の鉱石照明も今後の開発で同等以上の可能性があるんですが、高鉢様の居た世界ではどの様な住み分けがなされていたのですか?」


 そう聞かれてしまった。確かに、両方がほぼ同時スタートだとどうなるんだろ?


「私の居た世界では、電球が100年先行していたので、様々な所がLEDに変わって行く途中でした。ただ、LEDは光は出しても熱源にはならないので、熱を必要とする用途については、使われていましたね。ただ、信号機みたいに電力消費を考えてLEDにしたら、熱源にならない事で、冬の雪対策が必要になったりしましたね。それと、こちらの照明が発する光の波長次第なんですが、植物の育成には赤白以外の発光物質を見つける必要が出てくるかも知れませんよ?」


 技術者さんが何の事かわかっていない。


「えっとですね。植物は光を受けないと育たないでしょ?農産物や花に関しては、夏や春の植物を照明で日照時間を錯覚させることで、冬に花や実を付けさせることが出来るんですよ。そうした効果を得るのに、今の白色照明が使えるかどうか、心配なんですよ」


 技術者さんはウ~ンと唸ってから


「農務技術者に伝えてもおきましょう」


 と、思案顔だった。


「つまり、日常品としてなら、鉱石照明が有利で、専門的な分野に電球が必要になってくるんですね。まずは双方の特長から調べて、どう発展させるか考えてみますね」


 これ、そのまま発展したら、真空管と半導体もほぼ同時に出来たりするんかな?

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