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油断の末に

 模擬戦が近づく、改めて俺の武器を確認してみる。


 体術、唯一の戦闘特化したスキルでおそらくだが元の世界でやってた柔道の影響だろうな、一般人が近接武器を持った程度なら余裕だが相手は戦場で戦ってきた戦士、現代武道なんぞ一発限りの奇策だろうな。


 先読み、俺の生命線になるであろうスキルだ、どこまで確かなのかは分からんが武道やってた時の感覚なら、相手の次の手が分かるかもってレベルだな実際樹の戦闘を見てた時のは外れたに近い。


 分解、スキルの使い方を覚えた時に試したが、これは割と使えそうだ、半径1メートル圏内の生物以外を分解できる。でかいのは分からんが人工物なら分解するくらい一瞬で終わる。


 油断、初手を貰えて尚且つ手を抜いてる。油断とも言えないような隙だが樹がやったように介入する余地もごく僅かだがあるだろう。


 武器は右手に片手剣、左手には小手だけだ、正直盾持っても防げねえし、視界が塞がり武術も使えなくなるから得がない。


 あとは一つだけ試しておくか、特に俺がやってた武道とは全く関係ないが、覚えりゃ使えそうだったから練習してたものだ。



……よし出来るな、これならワンチャンがある。




「よろしくお願いします。」


「ああ、よろしく怪我する前に降参しろよ。」


 俺の模擬戦がついに始まった


 アゲットさんは動かず剣を構えている、先手を貰えるというのなら俺はスタスタと互いの間合いの手前で止まる。


「どうした、うってこないのか?」


「なら、そうさせてもらいますよっと!」


 俺は剣を構えて相手の間合いへと踏み込み剣を無造作に一線し、即離脱した。


 別に先読みで負けが見えたわけでもびびったわけでもない、剣を持った互いの間合いに入ったのだ、こうもなるだろう。

 相手を見ると剣の刃だけが落ちていく様子が確認できた。俺が振るったのはたったの1度、もちろん刃の潰している剣を使っている


「凄いじゃないか、そうなると君のスキルは……いや、やめておこうさっきみたいになりそうだ。」


 俺はもう一度踏み込み、で剣を振るう、先程模擬戦用の剣が真っ二つになってたこともあり相手は後ろに飛ぶ。

 手応えはなく当たっていなかっただろう。しかし後ろに飛んだ先でアゲットさんの鎧の上半身と下半身を繋ぐ部分が外れ鎧のズレでカシャン、と音がなる。


「……なるほどな、そういうスキルか、だが間合いは見切った、最初の踏み込みや先程の距離で当たったならおそらくは君を中心に1メートル、その領域全てが君の持つ不可視の剣の間合いだろう。」


 そうだ


「分かったところで見えなきゃ対処もできないでしょう、良いものを見せてあげまよ。」


 俺は左手の小手を外し上へと放り投げる。

 小手に意識を集中する、小手が落ちるとガシャ、ガシャンと手も守る部分と腕を守る部分が二つに分かれていた。


「接近戦はおススメしませんよ、切っちゃうかもしれません。」


 俺がとった行動の一つ、それがスキルの偽装である。


 人間なんて注意力をそこまで多くのものにはさけない、ましてや見えないものを警戒するんだから見えるものへの警戒が疎かにあるはず……なるといいなあ。


「こんなでも俺はこの王国の騎士団を預かる人間だ、不可視とはいえ流石に近接戦闘で引くわけにはいかんな」


 そう言うとアゲットさんは拳を構えて突っ込んできた。

 鬼すら一撃で気絶させる拳だ、懐にに入れさせることも出来なければ一発すらもくらえない、ただし俺のスキルの間合いは1メートルで相手に何か出来る距離でもない。


 そう、相手じゃなけりゃいいんだ。


 俺は剣を目一杯振りかぶるった後、あのスキルを発動させながら思いっきり振り下ろした相手との距離は2メートル本来なら当たることはないだろう距離、だが相手には刃が迫る、そう刃だけが。


「うおっ、なんだこれは」


 そう声を上げながら飛んできた刃に対しスピードを落とし回避する。

 俺は振り下ろした瞬間に自分の剣に向かって分解を使い持ち手と刃を分解させたのだ。

 相手の剣が切れたように見えたのもこの方法で、鎧もそう上半身のものと下半身のものを分解したに過ぎない。


 その後俺は2メートルの距離を瞬時に詰め相手の懐に潜り込む。

 相手がスピードを落としたその瞬間に俺が発動するのは体術を用いて多少なりとも上手くなった縮地、俺がしていた柔道とは全くの無縁だが何かに使えないかと練習はしていた。


 相手もそこで驚くような人間ではないようで落ち着いて右ストレートを放ってくる……だが、それは読めている。簡単に勝てないことは分かってたからな、確かに早いがあらかじめくると分かってたなら対応出来る、俺はその右手に左手を添え体を回す、いわゆる一本背負いというやつだ。


「なん、だとっ!!」


 そう現代武道なんて一発限りの奇策、だが一発なら確かに効くのだ。

 相手の驚愕の表情が目に見えるようだな、今回の模擬戦は俺の勝ちだ。


 ガツン、そんな音が脳内に響き渡る、こいつっあの状態から俺に掴まれた片腕を支点に膝蹴りを…入れて……きやがっ、た。


 俺が意識から手を離し次に起きた時には模擬戦も終わり晩飯時だった。

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