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7話

「さてまずは……」


 ミツキはすぐにリョウタロウの手から離れた拳銃一本と、ついでにどこの誰が手放したのかわからない小太刀を手にとっておく。

 その後、すぐにリョウタロウが持っていた銃を〝調和〟の一部である鑑定能力で効果を見てみる。


=====================================

『無名の神銃』

 異世界の神が創った魔法の銃。ノーリロードで弾丸を放ち続けることができ、また魔力を消費することによってあらゆる能力を込めた魔弾を放つことが可能である。

 また、使用者によって進化する可能性があり。モデルは異世界が生み出した最強の回転式拳銃で、それを趣味で神が魔改造してみたものである。

 銃身はオリハルコン製であり、圧倒的な硬度を持つので殴られれば痛い。

 使用者権限はリョウタロウ・アンジョウのみである。

=====================================


「殴られれば痛いってそりゃそうだろうね」


 オリハルコンと言えばファンタジー世界で登場する最高位の金属だ。そんなとんでもないもので殴られて痛くないわけがないだろう。

 説明がところどころアホっぽいことに、ミツキはこの世界のシステム的な何かはアホなんだろうと勝手に納得して目的の行為を行うことにした。


「〝調和〟」


 そうつぶやきながら、ミツキは意識をこの名もなき銃に向ける。

 現段階では使用できるのはリョウタロウのみなで、ミツキは使えない。

 まあこんなものを誰もがひょいひょい使えてしまえばそれこそ恐ろしい現象が起こってしまうが、それでは今はダメなのだ。

 だからミツキは銃と〝調和〟することにした。


 調和とは全体が程よくつり合うことであり、程よくつり合うとはつまりは矛盾や衝突などがなくなるということだ。

 今回はミツキと銃の〝調和〟するによって、ミツキと銃自体につながりをつくる。

 そうすれば、引き金を引く人間と引き金を引かれる銃がまさしく一体になって、それそのものを扱えるだろうとミツキは判断、否、確信したのだ。


 そして、かなりの集中を要する作業だったが何とか成功した。

 結果──


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『朧月』

 異世界の神が創りし名も無き銃と、ミツキ・オボロヨが調和したことによって生み出された魔法の銃。

 魔力を消費することによって様々な効果を持つ銃弾を放つことができ、そのすべてが認識不能の効果を持つようになる。もちろん、魔力を込めなくても普通の弾丸を認識不能状態で放つことができる。

 またミツキ・オボロヨが〝調和〟を使用しているときはこの武器自体も認識不能になる。

 銃自体はミツキ・オボロヨが実体化させなければオボロ・タテナシの体内に収納される。

 この銃を扱えるのはミツキ・オボロヨのみ。

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 となった。


「なんだか予想以上の強さになったな」


 認識不能の様々な効果を持った弾丸など恐ろしいことこの上ない。

 もちろん魔力という未知なるものを消費する必要があるというリスクもあるが、それでも破格の武器だ。ミツキとしてはこの銃が扱えればそれでいいと思っていたが、嬉しい誤算だった。


「さて、奴を殺すにはただの弾丸じゃ足りないよな」


 そう言いながら、慣れるまではと思って両手で拳銃をまっすぐに構えて作り出す弾丸をイメージする。


「イメージは魔王殺し……」


 魔王を殺す、聖なる弾丸をイメージしながら銃に弾が込められていくのを感じていく。

 だが、ここで問題が発生した。


(魔力が足りない!)


 自分の体内から不思議な何かが減っていくのをミツキは感じたが、それだけでは圧倒的に足りないのだ。

 どうしようかと思ったが、ここでミツキが出来ることといったら〝調和〟しかない。

 だからミツキはこの空間にある不思議な何か、おそらく魔力だろうソレと〝調和〟を開始した。


 今までの空間に溶け込んでいる状態から、さらに一歩進んで今まで自分の身体になかった不思議なエネルギーを自分の身体の中に取り入れるように〝調和〟していく。

 それだけで、ミツキの魔力が足りないという状況は収まって、気がつけばリボルバーには五つの魔王殺しの弾丸が込められていた。


「──くっ」


 ミツキはそこまで言ったところでいったん膝をつく。

 というのも、世界の一部と調和を取るというのはかなり集中力を使うのだ。

 もしも集中を切れば世界そのものと完全に同化してしまい、今度はミツキの意識自体が持っていかれるような感覚があった。


(……これは使用するときは気を付けないとな)


 少なくとも誰かから認識されなくなる程度の調和であれば特に問題はないということは体感で分かっているので、普段はこのあたりに抑えたいものだと考えながら、まず目の前の状況を解決することに意識を戻す。


「別に殺しはしませんよ。そこの勇者が言った通り、私の戦力として扱ってあげますから。クククククククッ」


 そんなふざけたことを抜かすファウルハイトにミツキは銃を向ける。


「これだけ外道だと、だいぶ楽に引き金を絞れるな」


 ミツキとしても、過去の経験から人殺しについて特に何かを思うことはないが、善人を殺すような趣味はない。

 目立つのについても悪目立ちするつもりはないのだ。

 だから外道相手なら楽に殺すことが出来るので、そんなことをつぶやいて眉間に魔王殺しの弾丸をぶち込んだ。


 ドパァァン!


「クク、く?」


 唖然とした顔をしたファウルハイトの今度は心臓と肺に弾丸をぶち込むと、そのまま魔王は倒れてしまった。


「やけにあっさりだな……」


 そのことに安堵したミツキだったが、すぐに他のモンスターたちがいたことも思い出す。


「なんかやけに身体が軽くなったような感じがするし、ちょっと小太刀も使って戦ってみるか」


 そう思って武器との〝調和〟を行うと──


=====================================

『朧霞』

 異世界の神が創りし名も無き小太刀とミツキ・オボロヨが調和したことによって生み出された妖刀。

 ミツキ・オボロヨが〝調和〟使用時は不可視になり、魔力を消費することで刀身に様々な属性を付与することができる。

 また、他者を認識させないまま殺し続けるとその切れ味がどんどんと増していく。刃こぼれはなく、自動で切れ味が最高の状態を維持されるので手入れの必要もない。

 普段はこの小太刀はミツキ・オボロヨの体内に収納されて、任意のタイミングで出現させることが可能。

 この小太刀を使用できるのはミツキ・オボロヨのみ。

=====================================


「やっぱりチートな気がする」


 性能が強いのはもともと神が創った武器だからだが、ミツキと〝調和〟したことによって、明らかにスペックが跳ね上がっている。

 ただミツキには不満があった。


「これは完全に暗殺特化だよなぁ」


 高性能な武器や奇想天外なものというのは異世界でこれから生活していくにあたって目立つ要因になるだろう。ミツキとしてはむしろアイテムチートで目立つのは大歓迎だ。

 だがこれらの武器は残念なことにミツキの〝目立たない〟とか〝認識できない〟だとかを色濃く反映してしまっているのだ。これではアイテムチートで目立つことなんて絶対に出来ない。不可視の銃弾なんて所見ではいったい何が起こったか分からないだろうし、小太刀の方だって不可視になること以外は他のチート能力者たちのもつ武器と変わらない。これだと目立てない可能性がたかいのだ。


 そんなことを言いながらも、実はすでにモンスターたちをどんどんと倒していっているわけだが、ミツキはひたすらにぶつぶつと文句を言うのだった。


 それからしばらくは銃と小太刀で一切の反撃をさせずにすべてのモンスターをあっさり掃討していった。

 途中で多くの生徒たちが怯えているのに気がついて、銃声がうるさいのだろうか? と思って銃声がならないように意識を向けたら、音が消えたので調整が聞くようだった。

 実はミツキが銃声が鳴るようなイメージで弾丸を作っていたから音が鳴っていただけで、通常の弾丸は音もなく完全な認識不能状態である。サイレントアサシンなどそれこそ鼻で笑ってしまうような性能だ。


 ちなみにミツキの考えは完全に的外れであり、むしろ音がなくなった状態でどんどんとモンスターの頭や体が爆ぜていくさまは生徒たちをひたすらに心胆寒からしめた。


 こうして、気がつけば召喚されていたすべてのモンスターは息の根を止められて、勇者たちは目の前で起きた怪奇現象に恐怖した結果、魔王の玉座の間は物凄く静かになってしまうのだった。


「あれ? なんでこんなに静かなんだ?」


 お前のせいだよとミツキにツッコむ人間はもちろんどこにもいないのだった。

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