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21話

 まずミツキは先ほどと同じように、ごくごく自然なミスディレクションと〝気配操作〟の能力によって、自分の存在をモットーの視界から消失させる。

 これに関してはさしものモットーもミツキのもともとの存在感の無さが合わさっているためか対応できず、またしてもミツキを見失ってしまうが、


「ふっ、攻撃したいなら存分に攻撃するがいい!」


 不敵な発言をするモットーに「言われなくてもやりますよ!」と気合を入れながら『朧霞』を今度は右の腱を狙って斬りつける。金色のオーラで左足と同様に固定される可能性もあるが、意識を分散させるのは良いことではないかという判断だ。


 だが──


 ガギイインッ!


「!?」


 なんと小太刀の刃が金色のオーラに止められてしまったのだ。あまりの硬さにミツキは驚きながら、しかし思考を止めることはなく後退した。

 なぜなら次の瞬間にはミツキがいた場所に太い腕が通過していたからだ。


「────!(あっぶね!)」


 ミツキは《暗殺者》であるために戦闘中に声を出さないようにしているのだが、今の攻撃は鼻先をかすめたので思わず声が出そうになってしまった。それくらい危険な攻撃だったのだ。


「むっ、これを回避するか!」


 モットーはミツキに回避されて唸る。悔しそうだが、ミツキとしてはひやひやものだ。


(さっきのはどう考えても俺の攻撃が通らないことを想定しての攻撃だった……これが〝金剛〟ね)


 ある程度の距離を取って、気配をこの空間になじませながらミツキは分析する。そしてそれは実に正しい分析だった。


=====================================

〝金剛〟(コモンスキル)

 自身の身体を魔力で覆い、防御力を大きく向上させる。また、攻撃時も自身の身体を覆う魔力がもつ硬さによって威力が上昇する。

=====================================


 コモンスキルは誰もが取得できるスキルである。


 ミツキやソウタが持つ〝真実の眼〟は相手という存在がどういうものかを見る眼であり、スキルの能力などについては正確に把握することはできない。そういう点では鑑定の方が詳しく詳細を知ることが出来たりする。〝真実の眼〟は偽装されたものを本当のステータスを認識できる能力であり、相手のステータスを知ることが出来るのはその副産物に過ぎないのだ。


 それ故に、ネット小説などの知識からテンプレな防御系スキルかなと予想しつつも、とりあえずという感じで攻撃してみたのだ。手痛いカウンターをその後食らいそうになったのでなかなか危なかったが、それでも一つ情報をゲットできたわけである。


 あとは〝柳ニ風〟がその効果を理解できないものだが、これは〝柳に風と受け流す〟なんて言葉があることから、柔道や合気道のような相手の力を利用する武術の上位版ではないかとミツキは判断する。そしてそれは実に正しい。


=====================================

〝柳ニ風〟(《柔道家》スキル)

 相手の物理的攻撃を実にうまく躱し、いなし、受け流すことができる。

=====================================


 魔法攻撃などについては効果はないが、それについては〝金剛〟で防げばいいので、防御面に関してはもはや敵無しというレベルである。【柔と剛の共演】のタイトルは伊達ではない。


 肉体の驚くべき防御力と体形や性格などからは想像もできない卓越した技術を併せ持つ。

 それこそが〝柔剛〟のモットー・ケオクレと呼ばれる【到達者】なのだ。


 だが、ミツキには策がないわけではない。

 そもそも、現段階で自分がまるで敵わないと思うなら、それこそ〝調和〟をした後に『朧月』でドパンッとやって終わらせればいいのだ。

 それをしないのは自分なら勝てると思っているからに他ならない。そもそも勝負を行うときに負けると思ってやることなどミツキにとってあってはならないことなのだ。


 だからこそ、ミツキは誰も見ていないけれど不敵に笑って動き出す。


 まず行うのは〝魔力操作〟。


 モットーは〝気配感知〟は持っているが〝魔力感知〟は持ってないため、魔力の変化についてはそこまで感知できないだろうという判断だ。


 唯一の不確定要素といえば〝野性〟というスキルだが、これは〝野性の勘〟的なもので〝第六感〟と似たようなものだろうと予測できるので、どうしようもないからスルー。体内の魔力の流れを知覚して、その魔力の流れを意識する。

 そして、その魔力の流れを自らの意志で操るように意識すると、『朧月』で銃弾を作るときや〝万能召喚〟を使ったときなどに勝手に身体から出て行った魔力の流れをコントロールすることが出来た。


 ここまで完了したミツキはニィといたずらっぽい笑みを浮かべると、その魔力の流れを感じながらモットーに向けて疾駆する。

 そのまま音もなく、未だミツキを発見できないモットーに向かって接近する。


 が、ここに来て【到達者】としての力なのか、あるいは本当に野性の勘なのか。


「そこだ!」


 これまでずっと後手に回っていたモットーが正確にミツキのいる場所へと掌底を放とうとしていた。


 モットーの対人戦における基本の戦闘スタイルは、向かってくる相手にカウンターとして体の芯に響くような〝金剛〟を纏った掌底を一撃入れて相手を止め、そのまま突き出した手で相手をつかんで相手に関節技をかますというものだ。モンスターに対しては力で勝てないものも今のモットーに回ってくる依頼などでは多いので、受け流しなどをメインにするようにしているが、人間相手ならこれだけで十分に対応できる必殺とも呼ぶべき黄金パターンだ。


 そんなモットーは戦闘経験の豊富さとスキル〝野性〟による勘によって的確にミツキに一撃を浴びせる。────はずだった。


「なにっ!?」


 ミツキの顎に当たるはずだった掌底は何ゆえか空を切っていて。


 スパッ!


 気がつけばモットーは右足の腱を断たれていた。

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