20話
前話をちょこっと修正しました。
修正点
異世界人→《異世界人》
ミツキの動きに対するアイリスの印象
《異世界人》はなんとなくこちらの方が、クラスとしての役割も担えると思ったので修正した次第です。もう一つの方は、読み直して作者自身が「ん?」となったので自分なりに修正を入れました。ストーリーに変更はないので改めてみる必要はないかと。
ミツキはまたしてもミスディレクションを使いながらモットーに近づこうとするが、その攻撃対象たるモットーの身体にうっすらと金色のオーラが出ていることに気がついて止まる。
(──あれは一体……)
まるで身体を守るようにして静かにモットーの周りを覆うオーラはユラユラと蠢いているにも関わらず、どこか硬さのようなものを感じさせた。特に腱を斬りつけて動けないはずの左足が、まるでオーラによって固定されているかのように存在しており、左足はしっかりと地に足がついている。完全ではないにしても、左足が動かないというアドバンテージが薄れていることは明白だった。
ここに来てミツキは自分が相手の実力を察するという行為、つまりは〝真実の眼〟を使っていなかったことに気がつく。
自分は不本意ながら真正面戦闘よりも、不意打ちの方が得意であるために、相手の実力を推し量ることを忘れていたことを後悔しながら鑑定に入る。
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[ネーム]モットー・ケオクレ(男:42歳)
[クラス]《究極武闘家師範代》
[スキル]金剛・柳ニ風・武術・気配感知・野性・教育
[タイトル]【柔と剛の共演】【一発逆転】【ただ一つを極めし者】【到達者】
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シンプルイズベストという言葉が似合うような、武術特化型のステータス。
ただ、どれをとっても侮れるようなものなどない、と理解できるだけの力を感じさせるようなクラスやスキルにミツキはより一層の警戒を強めた。一つだけ異色のスキルが存在しているが、そこはあえて無視する。
特に警戒すべきはタイトルだろう。
(……【柔と剛の共演】と【一発逆転】ね。普通〝柔よく剛を制す〟とかって聞くけど、どっちも持っているとか恐ろしいね。しかもタイトルにつくくらいに【一発逆転】を実行してきたのだろうか? なんとなく蹴りをするのがはばかられたけど、そのあたりが理由だったりするのかな?)
相手は確実に武術……つまりは徒手空拳が得意そうな相手であるから蹴りを入れる行為というのが危なかったのだと予想できる。
さらに言えば、この世の中を徒手空拳で生きて来て人間の頂に達した存在に対して、他の近接格闘を挑んでも苦戦することは必至だ。小太刀を当てることが出来たのは、最初に徒手空拳で闘っていたがゆえの、間合いの変化をうまく利用できたことと、単純なミツキの影の薄さが要因だろう。
こうなってくると、出来ることと言えば銃を打ち込むことと、あるいは今まで考えてこなかったミツキの強さの原点にして究極たる〝調和〟だろうか。
(────いや、それは逃げだ)
ミツキはそれなりに周りに影響を受けやすい人間であり、ミツキという存在の人間性は現在はネット小説に多分に影響されている。
例えば、ネット小説の異世界転生ものでは〝話を聞かない阿呆なキャラ〟は大抵のちにひどい目にあっているが、これを見たミツキは絶対そうはならないようにしようと思うなどである。
もちろんこれは小説、つまりは想像上のものであり、これがそのままその通りになることなんて言うのはそれこそ異世界転移をリアルに体験したとしても、滅多に起こることではないだろう。現実と小説は違うのだから。
しかし、小説とは人間が想像して生み出しているものだけに、あながち嘘でもない場合が多い、というよりもほとんどが、現実では小説内の物理的制裁とは違うものの、社会的制裁をメインとして行われるだろう。話を聞かない阿呆など誰もまともに相手をしてくれないのだ。
そんなわけで、ミツキは社会的教訓としていろいろとネット小説から考え方を得ており、その中の一つに〝安易に自分の必殺技を出す行為は逃げであり、その先に成長はない〟というものがあった。
地球ではまるで役に立ちそうにない教訓だが、今この場ではむしろ今の状況に見合っているだろう。ミツキにとって冒険者になって目立つためには目の前に【到達者】を前にしても真っ向から戦えるだけの力が必要だろうから。
そういうわけで、ミツキは自分の脳内で使える能力を選定する。
(可能性があるとするなら〝念動力〟と〝魔力操作〟かな?)
この二つが、一部の必殺の能力を封印して戦っている現段階で攻撃手段が乏しいミツキが使えるだろうと判断した能力だ。
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〝念動力〟(オリジナルスキル)
魔力を消費することによって、任意の物体を触れることなく移動させる。自分の体を動かすことも可能。
練度が高くなれば魔力消費量が減少し、また操作できる数も増える。
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〝魔力操作〟(モンスター・《魔人》共通スキル)
体内の魔力を操作できるようになる。これによって、魔力の消費量を抑えたり、身体能力を魔力で向上させたり、無詠唱魔法を使えるようになる。
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どちらも今まで使ってこなかった技だが、それでも〝第六感〟にある程度任せて使えば面白いことが出来るのではないかと、ここまでの戦闘で自分がある程度動けているためにミツキは考えた。
「どうした? 来ないのか?」
「いえ、こちらから行かせてもらいますよ!」
またしてもモットーの煽りに対してミツキは動き出した。
最近ちょっとずつ見てくださる人がいることが非常にうれしいです。(PV10000突破しましたし)
しばらくは毎日更新を続けることができると思うので、これからも頑張っていきたいと思います。
(もう少しブクマや評価が増えると個人的にはうれしいなぁ……)




