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9話

「ゆ、幽霊……ですか?」


 予想外の言葉にミツキはどう反応していいかわからず恐る恐る聞く。


「ああ、幽霊だ」


 それにソウタもその顔を真剣なものにしながらしっかりと頷いた。

 ソウタの反応からまず間違いなく幽霊がいるとわかったミツキはすぐにその問題についてちゃんとした知識が必要だと感じて、すぐに実行に移す。


「あの、その幽霊っていったいどんな感じなんですか?」

「ああ、君もここにいたのならわかると思うんだけど、さっきモンスターたちが勝手に死んでいっただろう?」

「ん? モンスターが勝手に?」


 そんな光景はミツキは見ていないので何だろうかと疑問に思う。

 その反応からソウタはミツキがあの恐るべき怪奇現象を見ていないと気がついた。


「もしかしたらミツキ君はさっきまで意識がなかったのかもしれないね。もっと正確に言うと、モンスターたちの首がポンポン飛んで行ったり、モンスターたちがどこにあるのかもわからない銃に撃たれてしまったりといった不思議な死に方をしていったんだ」

「そ、そうなんですか……」


 確かにそれは幽霊の仕業と言えるかもしれないとミツキはここに来て事の重大さを痛感する。

 そして自分もネット小説などを読んでいることからその知識で何とかならないかと情報を整理することにした。


(──よくわからない状況で首がポンポン飛んでいって、尚且つモンスターたちが銃で死んでいく……………ん?)


 頭の中でもう一度ソウタが言っていた情報を整理してみると、なぜか自分がモンスターを殺していいた状況に酷似している気がした。

 そしてあれれ~となんとなく嫌な予感を感じながら、もう一度〝調和〟の説明を見てみた。


=====================================

〝調和〟(オリジナルスキル)

 その空間、事象、生物、無生物すべてと調和をとることができる。これをその空間に使うときは、誰にも認識されなくなり、また、生物や無生物などの情報を他者に気づかれることなく得ることが可能となる。さらに本来扱えないものなどもこのスキルを使うことで扱えるようになる。

=====================================


(はあ、〝誰にも認識されない〟って結構しんどいことなんだな……)


 説明を見た瞬間にガックリうなだれるミツキ。

 なぜならソウタが幽霊といった存在はどう考えても自分だったからだ。

 おそらくソウタたちが見た光景というのは認識不能状態のミツキがどんどん敵を屠っていく光景だったのだろう。確かに認識できない存在が攻撃しているのだから周りから見てみれば十分怪奇現象と言える光景だ。


(というかこれ、俺が無双しても全部がぜんぶ怪奇現象扱いされるのか? …………されるだろうなぁ)


 なんとなくそんな光景が想像できて、そんな自分で自分という存在に嫌気がさしてきて落ち込むミツキにソウタがどう思ったのか慌てたように「大丈夫かい?」と声をかけるが、ミツキは自分の能力がいかに目立つという目的から遠くにあるのかに気がついてしまいそれどころではなかった。

 そんなことをしていると、ソウタとミツキのもとに一人の生徒がやってきた。


「そんなところで何をしているのかな?」


 やってきたのは《KUNOICHI》生徒会長シノ。

 ソウタにほとんどのメンバーが体力回復をしたことを伝えに来たのだ。


「ソウタ君、その生徒は誰?」


 ソウタに連絡を済ませると、シノがオボロを見て質問する。


「ああ、こちらはミツキくんと言って、どうやら召喚に巻き込まれたそうなんですけど、何故か神様に会うことが出来なかったそうなんです」

「…………」

「そう、つまりかなり不憫な子ということね。可哀想に……」


 ミツキが自分の能力についてうなだれているのをシノはどういう勘違いをしたのか憐みの表情を向ける。

 が、すぐにソウタの方を向くと周りを見渡しながらシノが発言する。


「まあそれはともかく早くこの場から出ましょう。魔王は倒すことに成功したのだから、その後に起きた不可思議な現象を考えるならすぐ行動すべきだわ」

「……そうですね。了解しました。すぐに指示を出します」


 ソウタとしてもこの場所に長居する気は毛頭ないのですぐに動くことを了承した。


「よろしくお願いするわ。このような環境ではたとえ物語であっても多少の知識のある人の方がいいものだから」

「はい、どこまでその知識が通用するかわかりませんが、頑張りますよ」


 そうして二人は動き出した。


 それから少しして──


「…………はっ!?」


 ミツキがどうやって目立てばいいのか考えている間にすべての生徒たちがこの場を後にしようとしていた。

 このままではおいていかれると思ったオボロはすぐに勇者軍団の最後尾についていく。


(う~ん、とりあえずさっきの戦闘は俺がやったっていえばいいのかな?)


 そんなことを考えながらオボロは今更ながらに気がついたことがあった。


(そうだ。あのハヤカワくんの〝真実の眼〟で俺の能力を知ってもらえばいいんだ!)


 これならば自分が暗殺特化の能力持ちだということで判断してもらえるだろうという考えだ。


(ってそういえば今の俺のステータスはどんな感じなんだ?)


=====================================

[ネーム]ミツキ・オボロヨ(男:16歳)

[クラス]《異世界人Lv.50》《大英雄Lv.5》《暗殺者Lv.60》《魔人Lv.50》

[スキル]調和・存在希薄・言語理解・万能召喚・念動力・超成長・気配操作・魔力感知・気配感知・第六感・真実の眼・威圧・暗殺術・状態異常無効・魔法耐性・物理耐性・全属性適正・魔力操作

[タイトル]【神さえ気がつかない存在感の男】【影が薄い異世界人】【魔王を暗殺せし影が薄い大英雄】【暗殺の達人】【幾万の呪いを身に纏いし者】

=====================================


 ────ナニ、コレ?

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