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黄泉比良坂(仮)〈ヨモツヒラサカカッコカリ〉  作者: 長岡まさ
第一章 始まりの合図の始まりは如何に
8/14

__CALLING

<FROM eyes認証ユーザー Rise_MIKAGE_368K5521d4>

<TO eyes認証ユーザー Kaede_SAGARA_341G6772w6>


__ON


「あ、カエデ、ごめん。今、時間平気?」

「うん、平気だけど、どうしたの!? 大丈夫!?」

「え、大丈夫だよ?」

「リセがコール掛けて来るなんて、珍しいからさー。何かあったのかと思って。心臓飛び出るかと思ったー」

「え、驚かせてごめん。何かちょっと、珍しい事してみたい気分だったから」

「何それ」

「ふふ」

「部屋、用意する?」

「ううん、音声だけで良いよ。私、自分のアバター、仕事用のしか作ってないし」

「ほんと、リセはズボラなんだから」

「あはは」

「で? 学校出てから初使用でしょ、アイズコール。それ程の事件って?」

「え、卒業してから使ってなかったっけ、私」

「うん、あれから初めて」

「そっかー。あ、じゃあ、大学の卒業旅行の時のが最後かな?」

「そ。あれからもう三年以上、リセからコール来たことありませんよー」

「あー、そんなにかぁ」

「で?」

「あ、そう、それがね。カエデにはいち早く教えたくて。今日ね、あの後、例の少年と話したの!」

「例の少年?」

「前に話した子、覚えてる?」

「ああ、あの、リセにしか見えないっていうストーカー少年?」

「そう! あ、だけど違う!」

「ははっ。ちょっと何、どっち?」

「ふふふ、ごめん。前に話してた少年っていうのは合ってるんだけど、ちゃんと普通に存在してたの。勘違いとか、幽霊とかじゃなかった」

「行く先々に現れるストーカーってのは?」

「それは――、半分正解? かもしれないけど」

「はははっ、何それ本当?」

「ほんとだって」

「会ったこと全部、リセの妄想とかだったら、流石のあたしでも引くよ?」

「そんなことないもん。ちゃんと手繋いだ時、感触あったし、すっごいあったかかったし」

「何? 手繋いだ? 何でいきなり、そんなことになってんの?」

「それはうーん、話すとちょっと長くなるんだけど」

「えー、気になる。なら、次のランチの時のツマミは、リセの妄想話で決まりだね」

「だから、妄想じゃないって」

「はははっ」

「その子に、素敵なバーも紹介してもらってね」

「え、子どもにバー?」

「あー、その子の、知り合い? の人がマスターさんで」

「へー、何て店?」

「あ」

「どうしたの?」

「これって、言っちゃいけない事だったのかも」

「何それー」

「うーんと」

「ん?」

「カエデ、誰にも言わない?」

「あたしは言わないけど。大丈夫? 何か、話しにくい事だったら」

「ううん。そんな深刻な話じゃないんだけど、うん。お店の名前ね、“黄泉比良坂”って言うの」

「ヨモツヒラサカ? あ、黄泉比良坂か」

「うん、U市の駅から、そんな遠く無いとこ」

「聞いた事無いなー。U市はよく行くのに。黄泉比良坂、あれだよね、死んだ人の世界との境目? みたいな」

「うん」

「確かリセ、前に仕事で取材してたよね、現物。あたし、記事見せてもらった気がする」

「――うん」

「リセ?」

「ううん、ごめん。今度、カエデにも紹介するよ。あ、でも、勝手に友達連れてったりしたらダメなのかな?」

「ちょっとー。やっぱり妄想なんじゃ」

「違うよー」

「はははっ」

「一見さんお断り、みたいなとこで。今度、マスターさんに会ったら聞いてみる」

「はいはい。楽しみにしております」

「あー、やっぱり信じて無いでしょ、カエデ。絶対連れて行って、私の妄想じゃないって、証明するんだから」

「そんなこと言ってー、訂正するなら今の内――」

「カエデ?」

「あ、ごめん。仕事先からかな? コール入った。切るね」

「うん」

「また近い内に連絡する。次のランチの計画立てよ。じゃね」

「うん、じゃあね」


__OFF

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