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僕の部屋には座敷わらしが住んでいる  作者: 峠のシェルパ
第一章 座敷わらしと寮室争奪戦!?
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座敷わらし少女の自分語り

これからするのは取るに足らないしやむにやまれない事情も特に無いし理由も分からないけど私がお人形だった頃のお話になるよ。


小学校の頃からなんだけどね、英才教育っていうのかな?

私はどうにも体力のない病弱な子供だって学校側には言っていたみたいで私は小学校の特に高学年になるにつれて学校にいけなくなった…なんでがっこうに行っちゃいけないのと言う疑問ももちろん持っていたけど親は詳しいことを教えてくれなかった。

自分の中で勝手に解釈して

体力のないの無いなんて嘘っぱちで学校に行かせないための…生かせないための口実に過ぎなかったって今なら分かるよ、

それが普通と違うってことも何となしに感じてたけど親の決めたことだから正しいんだ、間違ってなんかいないし私の為を思ってやってるんだって

笑ちゃうよね? でもね?本当のことなんだよ。

二年生くらいまでが一番楽しかったなぁ…

みんなでさ、校庭に出ておにごっこするのもう無我夢中で駆けまわって時にはどろんこになってたっけ?

子供の頃って大人の人みたいなお芝居みたいな嘘も付かないし、そんなの一回で見抜いちゃうんだよね

力関係っていうのかな

?難しいことはあんまりかんがえなくていいしなにより人の顔色を見て頭なんて下げなくても済むもの

家庭教師がなんとか大学の附属だかに入れるために今日も勉強明日も勉強なんて…

こーんな黄金虫みたいな目をした女の人があーでもないこーでもないってずっーーーっと捲し立ててくるんだもの、嫌になっちゃうよ。


 レイピアの話を要点と無駄を省くとこのような感じになる

逃げ出せたのはある意味運が良かったとも言っていた。

何せ隙を見て僕にに話をふるので本筋つまりはレイピアの話に戻すのに時間がかかった。

しかし僕らがこれから通う学校に中等部から入れたとしたらその努力(一概に彼女は自覚をもって努力したとはいえないけれど)はある程度果たされたのだ。


「ぜーんぜん、そんなこと無いよ? だってここの中等部なんて第…4希望ぐらいだからね、いやー怒られた怒られたー!

黄金虫にも親にも!」


レイピアは自分にとっては苦労と苦難のエピソードを事もあろうに笑いながらさも軽い失敗談のように僕へ語る

怒る? 親が期待した成績を残せなかったからって子供を叱ることなんて出来るのか?

この疑問の前に僕は黙っては居られなかった。

レイピアもおかしいよ、中学校出たての(僕もだけど)少年・少女が

あたかも若いときにやらかしたヘマを懐かしむみたいに失敗談を語るなんて

そんな言い方をしたって、君にとっては辛いことなんじゃないのかい?

親や家庭教師まで付いて勉強をしてたんだから君は自信をもって受験に望んで…


「…涼くん、笑うところだよ? 親心も分からずにその期待に全くもって答えられなかった私のダメっ子加減をさ?

後、憐れむのだけは止めて。

涼くんが私を哀れんで慰めようとする優しさなんてのは

私にとっては君のエゴにしか見えないからね…?

なぁんて! 私は暗いのは嫌いだからね!

ほらほら! 涼くん!」

明るく振る舞おうとするレイピア

一見すると今までと変わらない明るさだけど

違う…僕そんなの認めない

認めたくないそんな君の親も多分君も


「まってレイピア、親ってそんなことで子供を叱れるの?

たとえそのお父さんまたはお母さんが君を有名だったり自分の出身校に入れたかったとして、それでも小学生なんてしたくないことしないんだよ?

お受験っていうの? 僕は公立だったから知らないけどさ

大変さだったりはね?

あっ、でもそうか僕も高校は受験したよ、うん

(もうやりたくないけど三年後待ってるとか今は忘れよう)

結果からすればさ! そんなの当たり前じゃないか!」


頭の隅っこで天使だか悪魔だががもうやめろと言ってくる

けど嫌なこった。

僕はねそこまで理性的じゃない、打算と合理性だけでなんとかなるほど、押し止めておけるほどまだ僕は大人じゃない。


「やりたくない事をやらせて

やりたい事をやらせないで、そんなの人としてって言うのはおかしな話だけれど成長できるわけないよ

何にもならないじゃないかそんなのは

その上叱るって何さ! 怒るって何さ!

僕はそんなのやだよ! レイピアもそう思うでしょ!」


何処かの総統のように熱が入ってしまってしまいにはボディランゲージまで入る始末いやはや…どうしようもないね僕は

一番始めにあんなことを言っておいてその実そこまでさめているわけじゃない、

スイッチが地雷が巧妙に自分でも分からないように仕掛けてあるのだ。

とこんな具合に後悔と自虐をしながら一息ついて今度は黙り

…レイピアはこんな僕をどう思うのだろうか。


「ねぇ…涼くん」

気まずいと個人的に思っていた沈黙は意外にもレイピアによってポツリと破られることとなった。


「私ってさ、あんまり感情的になったことって今までも無かったんだよ?

予想外だと思うけどレイピアさんは明るい子ではあったんだけれどドライな子だったのです、達観してるって言えば良いのかなぁ? なんでかって言われるとね…

な、何でだろうねぇ?あ、あれ?何て言おう思ったんだっけ私

ありがとう? 怒ろうとした?

あれ…あれれ?」


彼女は言葉が後から先から喉に詰まってしまっているかのように言葉が脈絡が無かったり単語になってなかったりしている、

本人も困っている様子だがこんなときに冷静に出来る言葉が出てこないのに僕は後で歯痒く感じたのだが、今はそんな後悔をしている場合じゃあない。

女の子という生き物は男なんかより数段複雑で脆いガラス細工出できている

実際はそうではないかもしれないが男の視点からはそうであって欲しいのだ。

混乱と困惑がレイピアの顔色を染めてゆくのを黙って見過ごすほどの僕は冷めてなどいない

そっと手を彼女へ伸ばす

彼女の顔はくしゃくしゃと歪んでしまっていた、生まれて初めて湧いて出た感情を抑えきれない子供のように、「ドライな子だったんだよ」という彼女の発言はこうもあっさりと自分から逆の意味で証明されてしまった。

どうしようかと少しだけ悩んでいた僕は小さくすすり泣きに近いレイピアの嗚咽が聞こえた瞬間に腹が決まった。

ここであたふたしてしまっては男らしくないからね…

感情を露わにすることはストレス発散には効果的だからカラオケっだたり運動だったりをすることによって僕らはそれを消費・発散をして上手いこと付き合ってゆくのだけれどたまにこれとの付き合い方を間違えて

ひたすら悪いことだと禁じてしまって突然爆発してしまうなんてこともない話ではない、

僕は上手くやってる方だと思うけどレイピアは後者のようだ

さてさて、

頭を撫でるというのは初対面に近いから(僕としては二度目なのだが)いくらなんでもやり過ぎなんじゃと単純に臆病風に吹かれた結果であるんだけれどせめて、攻めて

手を握るくらいはしても大丈夫だろうか?

人には触れていいテリトリーみたいなものが雰囲気で分かる

今の彼女は感情が高ぶっているからそれが掴めない

僕という未知の人物の行動をどれだけ許してくれるのだろうか

此方もおっかなびっくりでは有るんだけれど行動をしないと

話も何も進まないからね

「レイピア、落ち着いて…そうだね…ゆっくりでいいから深呼吸でもしてみようか?

人は焦ると事を損じちゃうからね、「急がばまわれ」だよ?」

決してまくし立てるのではない、深いゆったりした口調で手を握りながらそうレイピアに問いかける

何回か言葉を別にして語りかけると頭をかきむしったり癇癪のようなレイピアの行動は僕の


「今は僕しか居ないから自分のペースで話してみよっか? せっかくのお顔が台無しだよ?」

のセリフを最後にピタリと止んだ。

その後のものの数秒の静寂が五分にも感じられたのは自分の言ったことの意味を理解した僕の後悔とレイピアが俯いたままで


気分を損ねたり逆に恥ずかしがってしまうことも最悪考えているしそれで彼女が結果的にこの部屋は僕と一緒は嫌だとなってマリアさんのところへ行ってくれるのも有りといえば有りだしそれが当たり前だよね?


僕のかけた言葉に素直に従ったわけではないがレイピアは一度沈黙をし俯いたた後で

「すぅぅぅぅぅぅぅぅl!」っと思い切り息をお腹いっぱいに吸い込む座高がちょっとだけ上がってと此方もわざとらしく大きく横においてあるシーツが浮き上がってしまう位に息を吐いた。


「レイピア、風船じゃあ無いんだからそんなに大げさにやらなくたって…」

僕がレイピアが落ち着いたかどうか確かめるために念のために切り出すと殆ど間髪をいれずにこの言葉がレイピアから帰ってきた。


「ありがとう!!」

はちきれんばかりの笑顔ではなかったけれど少なくとも僕に感謝しているのは確かだけれど

いや、素直にこんな言葉が飛び出してくるとは思わなかった。驚いたのはこっちの方だ

なんだって?

「    」

意味を理解するのに僕は数秒を用意しなくてはならなかった。

そんな言葉を言われるようなことなんてしていない、僕はただ偽善にも近い主観的視点を彼女の家庭環境に用いて勝手に怒っただけだ。

彼女の考え方もその親の価値観も置き去りにして勝手に僕自身の感情だけで怒ったのにどうして


「落ち着かせようとしてくれたのも、私に怒ってくれたのも素直にうれしかったんだよぅ!!」

嬉し恥ずかし照れ隠し僕が握った手を反対側の手で叩くレイピアさん

はっきり言って痛いからやめてくださいお願いします。

「なんだかいまいち嬉しくなさそうだね涼くん?

こんな可愛いげのある女の子から笑顔をもらえるなんて滅多にないよー? もっと嬉しいとか思わないのかな?」

思わない…訳ないけどそれ以上に今は反応に困ってるの!

今度は僕が照れる番だったようで男の子の照れる姿なんて殆どの人が喜ばないからさっさと次の話にいこう


「ええと、それからそれから…少し恥ずかしいからその…」

レイピアの視線の先にはぼくの男らしくごつごつとして来たと最近思っている右手があってそっとレイピアの左手を未だに握っていたのだ。

「あっ! ご、ごめんね! 何時まで握ってんだって話だよね!」

慌てて手を離してもとあった場所へもどしてゆく

レイピアは少し名残惜しそうに僕を見つめると


「暖かくて良い手だったよ?」

と柔らかく微笑みかけるのだ…。

いやいや、可愛すぎません? 反則だよ反則

サッカーの審判がボールをキャッチしたままタックルとスライディングを駆使してそのままゴールに突っ込むレベル

なんて血迷ってるとしか思えない反応をする位に良い感じにいかれてしまっている、これは…まずいですね

意識からはずそうとすればするほどはっきりしてくる心臓はかなり早鐘を打ってきた。

まさか…

目の前の少女に僕はまさか…

自分では否定したい謎の動悸、自分はそんなに軽い男であるつもりはないから落ちるにしたってもう少し時間がたってからだろう?                

混乱するのはいつでもできるが今はレイピアに説いた冷静さを見せる時である。

「忘れてた忘れてた! 涼くんプリンだよプリン忘れてるよ!」

僕が深呼吸をする直前に目の前にあって未だ手付かずのそれに僕らの視線が重なる

それは茶色くまん丸の円卓にそっと置いてあって何故か急な存在感を放ち始めていた

僕らはそこに見えるぷるんとしたナニカに意識を向け…

とどこかの詩人の様になってしまったがともかくプリンを食べよう

今は恐らくそれが最優先課題だろうからね、プリンは大事だよ?


「どうせだからさ」

とレイピアにある提案を持ちかける、元は彼女のものだったのだからこうするのが良いのだろう

簡単にいえば…共食い?


「半分を先にレイピアが食べて後で僕が食べるから

さぁ! 食べちゃって!!」

カーテンも開けて曇りながらも鈍い光が差し込む南側を向いて開いている窓を開けて4月前の少し冷たい風をじ感じながら(空気が悪いから開けちゃいましょう!! と勢い良くレイピアが窓を開けてくれたおかげで若干寒い)


「うーん、そんなにまでしげしげと見られると何だか恥ずかしさというか気まずさすら感じるんだけどー?

もう少し人に気を使うことが出来るはずだよ? 涼くんならね!!」

不満気に頬をふくらませるレイピアを何だか温かい目で見ていたのは内緒である。

いや、バレてるか…なら堂々と!!

「もう!」

少し怒った様子のレイピアだけど僕はきみが照れるまで眺めるのをやめない!!


「食べづらいことこの上ないんだけどなぁ涼くん?」

まあまあ、パクっと勢い良くやってくれればいいからさ

「むぅ…」

観念したのか銀色のスプーンでその黄色い大地を侵略し始める

ゆっくり、ゆっくりと銀色が鮮やかな黄色に突き刺さり

カラメルという名のマグマを吹き出させながらスプーンに収まる

「ねぇ…こんなの見てて面白いの?」

レイピアが疑問を呈してくるけどそんなのは関係ない

僕はレイピアがプリンを食べる様をみたいのだから☆


「ま、良いんだけどさー

じゃあいただきまーす。」

はむっ!

レイピアとプリンの載ったスプーンは恐らくそんな効果音を建てたにちがいない。

口の中に甘さとほろ苦さをレイピアが感じているのを考えつつ

「じゃあちょっと待ってねスプーン持ってくるから」

とレイピアが食べ終わり立ち上がりかけた瞬間に僕も残りのプリンをパクパクと流し込んでしまった。


「………。」


「てへっ?」


んんんんもぅ! 涼くん!

なんて恥ずかしいやらビックリしたやらでまたもや混乱する少女の姿なんて僕はきっと見ていないし勿論落ち着かせもしなかった。




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