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僕の部屋には座敷わらしが住んでいる  作者: 峠のシェルパ
第四章 路地裏と宣戦布告
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第二次203号室会談その2

大人は僕達に「どんな人間になりたいか」とよく聞いてくる。

これに対しての100%の回答としては「こんな目標の偉人が自分の目標であり、彼の語録や伝記を読んでます!! 将来はこんな人間になりたいです!!」と答えるべきなのだろう。


だけどね、僕は「大人から見た正解」というのが大嫌いだからこんな問いをされたら違う言い方をする。

「下らない人間になります」とか「なる様になります」と言った回答をして、進路について熱く語ってくれた先生の出鼻を挫いた事があった。


そんな事よりもレイピアに先の出来事を伝えるべきか迷ってるんですけどどうするのかな…


「だ〜か〜らぁ、飲まず嫌いじゃなくてコーヒーは苦くてダメなのさ〜」


そうかグダグダしてしまう程にそんなに駄目なのか…ならレイピアにはブラックのコーヒー以外のコーヒーを知ってもらうとしよう。


「ブラックだって加糖とか微糖だってあるけど飲まず嫌いじゃ無いのならそうだな…どれを飲ませればレイピアはコーヒーを好きになってくれるのかな…?」


レイピアにコーヒーの美味しさを知ってもらおうと、僕はあの手この手を講じてみるのはまた別のお話。


「涼くんはなんでそんなにわたしにコーヒーを飲ませたがるの!?」

「うん? どうしてだろうね?」


苦手なものがあるとその分で損をしているんじゃ無いかなと、それが自分の好きなものであるなら余計に是非是非と勧めたくなる。


「うわーん、涼くんがいじめるー! わたしはビターな感じとかまだまだ分からない子供舌なのにぃ!!」


レイピアをいじめるとかそんな気はさらさらないのだけれどな…

「嫌いなものを人に強要するのは良くないんだよ! ぎるてぃ!」

「これが正しいと」思っている人に何かを言い聞かせるはとても難しい、別にここは僕が折れてしまえば早いんだけどな…しかし僕に譲る気はないんだ。



「そしたら僕がレイピアにコーヒー牛乳を作ってもレイピアは全然飲んでくれないんだね」

食わず嫌いは良くないんだよとただの親心的な何かでもあるんだけど単純に僕がコーヒーが好きなので勧めたいというのもある。


「え…そ、それは…ずるいよ涼くん」

今回は是非とも飲んで欲しいものを僕は彼女に教える予定だったけど何も矯正したいわけじゃない。

「そーだね、少し卑怯だったよ」


彼女の興味を引けそうで僕の好きな「ウインナーコーヒー」を用意していたのだけどここはレイピアに任せるとしよう。


「お茶って言ってもお茶菓子とか無いんだけど大丈夫?」

昨日の買い物で買ったモノの中には菓子類はあんまり無かったと思うんだけど、レイピアはマリアさんとこところから先程ちゃっかりとマドレーヌを貰ってきたらしい、


…本当に許可を得て持ってきているよね、大丈夫?


「ん…?これレイピアさんやレイピアさんや、君が入れようとしているのはもしや…」

「え? 嫌だな〜涼くんteaだよtea、お茶だよ?」


レイピアの言う通りだとするとおかしなお菓子を貰ってきたよね、この分だとおおよそ暖かいお茶に合うものでは…

「はい、どうぞ! 私がちょっと前に買っておいたお茶を取り出して淹れたよ!! 美味しいのだから飲んで飲んで!」


レイピアが笑顔でお盆に載せて持ってきたのはマドレーヌと角ばったティーポットだった。

「…ええっとレイピアさん、一つ聞きたい事があるんだけど…」

「うん?なにかななにかな?」

「うん、お茶を淹れてくれたんだけどさお茶って言うと…僕が想像していたのはgreen teaなんだよね、もしかしてレイピアってお茶を飲むって言って紅茶を飲む人だったりするの?」


レイピアはお盆に載せたお茶会セットをテーブルに置いて僕の隣の席へ腰掛ける。


「なるほどなるほど、涼くんは私がてっきり緑茶を淹れるモノだと思っていたんだね?」

そういう事になるね、お茶にしますって言われて緑茶以外のものが出てくるのは珍しいなって思っただけ、


半分はお茶でも飲んで落ち着いたところで話がしたいと言う意図がある。


十中八九レイピアの関係者であろう人がこの部屋に訪ねてきた。

今ではなくこれから先彼女自身が家族付近の人間関係をどうするのか、ある程度区切りないし決着をつけない限りにはレイピアは安心して学校へ通えないのだから。


「お茶を飲もうって聞いたら日本人ならまず緑茶を飲むよねー、江戸っ子なら尚更に熱々の煎茶をさ」


江戸っ子という性質というか気風を持った人がまだいるのかどうかはさておき、毎日お茶を飲む習慣はこのご時世珍しくなっているのだろうか…


「え…まさか未だに世の中には忍者と芸者とフジヤマが残っているって言うの!!」

君は時代劇かアニメから日本文化に触れたてで来日した外国人の方じゃないんだからと言いたくなった。、


「少なくとも富士山はまだ残ってるよ。 爆発噴火して吹き飛ばない限りは、それに芸者さんだってまだ京都で見かけるよ」


そんな話はさておき、僕は話を勿体ぶる人ではないので素直に紅茶を飲んだついでにレイピアに切り出した。


「そーいえばなんだけど、あと数日経たないうちに学校が始まるのは分かっているよね?」

マドレーヌを美味しそうに頬張るレイピアに僕は何の話をする素振りもなく爆弾を投下する。


「うんうん、勿論そーだね。 それでもやっぱり一緒のクラスになれるといいよね!!」

無邪気に呑気なその顔が、午後の微睡んだ貴重なひと時が崩れ去ってしまうとしても僕はこの爆弾を彼女との距離数十センチの間に投げ込むのだ。


「レイピア、学校が始まる前に僕達には解決しなければならない事がある…この意味分かるよね?」


マドレーヌに手が伸びていた彼女の手が止まりじっと僕を興味深々な様子で見つめている。


間違いを間違いのままに正しさを正しいままにする為には「時間」さえあればいいのかもしれない、

だけどもさ、それだけで済ませられないのが悲しいところなんだよな…なんて嫌な予感を感じながら彼女がどう出てくるかアクションを待つ僕だった。


次回へ続く!!

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