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僕の部屋には座敷わらしが住んでいる  作者: 峠のシェルパ
第四章 路地裏と宣戦布告
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重い雨とタイムリミット

なんと皆様のご愛顧を受けまして「僕の部屋の座敷わらしがどうにも家出少女なんだけどどうすればいい?」が三年目、二周年と相成りました!!!


レイピア「そんなこと言ってもさ~あ、全くお話進んでないけど良いのこれ?」


涼くん「レイピア、それは言わないお約束なんだけどね。とはいっても流石に四十話で2日って、やっぱりこの話ってなんかどこか変だよね」


レイピア「あんまりにも進まないし、人多いし一年ぐらい登場してないと忘れられてる人とかいそうだよね!!」


マスター「……。」ニコッ?

マリアさん「……」ニィッ


涼くん「お二人とも落ち着いて!! 目が、目がまるで笑ってないです!!」


レイピア「きっとこれから僕たちのピンチにスタイリッシュに登場するよきっと!!」


涼くん「それでは少し長くなりましたが不穏な雰囲気ただよう本編をどうぞ」


「「「「せーの、僕とな!?」」」」


昔から「自由」を標榜されるのが嫌いだった。

あたかもそれは自分達が勝ち得たもので誰であってもそれを侵すことのできない至高で崇高なものあるとする。

刹那的な感情に任せて揺り動き結果としてものに失敗を重ねる、危ないという忠告も意味を成さず二度手間や三度手間を作り出す。

それ程に全くもって厄介極まり無いしろものだ。

無論失敗から学ぶことが多いのも事実であり集団心理に慣れさせる必要なあるのは認めるがそれも最小限で良いだろうと学校にはあまり行かせたくなかった。

あそこはその性質上同級生の質などは選べないからな。


未熟な自由というものに対しての返答として有効なのは「支配」とまではいかないが「管理」位は必要だろう。しかし私が正しいとは思えなくなったのは真っ向から否定される結果を生んでしまったからだ。

障害と壁を取り外し何の心配もない安心の道を用意したはず……それも成長の過程で必要なものなのかどうかはさておき、一先ず何か危ない事に巻き込まれていなかったのは幸いだが…

「さてそろそろ春風も吹きやむ頃合だ、だからこそあの子には戻って来てもらわなくてはならない。

私にはあの子達についてきちんとした教育を与え、社会で成功する人間に育てあげる義務と責任があるからだ。 そうは思わないかな我が子の執事君は?」


髭を蓄え年も少し老いた印象を周囲へ与えるだろう男はゆったりとした口調で俯いままの若い男へと話しかけている。

話というには少し独り言めいて芝居がかっていて少し反応があるものの若い男は黙ったままだ。


「足がつかない様に…と言うのは確かに大切な事だが、失敗された上に雇ったのはなんと学生さんと来た…安価で迅速に済ませようと画策するあまり少し杜撰でお粗末なんじゃないかな?」


この話し方は静かにだが確実に相手を威圧する、こと有利な交渉においては俄然効力を発揮する手段であり最善手だ。

この男は「最善策」しか選ばない、自分の利益を最大化し相手諸共手中に収めることを狙う。

先代である父がそうしてきた様に私は人を扱うのに長けているわけでもカリスマ性とやらがある訳でもない。 しかし、後を継いだ以上卒なくこなす以上の事をしてきたつもりなのだが…


「この際だ。 まどろこしいのは無しにしよう、楓君……君の屈託の無い真正面からの意見に私は耳を傾ける用意があるのだが、その本心吐露してはくれないだろうか?」

微笑む男と更に縮こまる男、縮こまる男は縮こまり過ぎてただでさえ華奢な体が女のそれに見えるほどだった。

恐らく求められている答え以外は恐らく聞き間違いか上手くはぐらかされてしまうだろう、彼の中での答えはもう既に出ているのだからそれを答えるしか立場上縮こまった男には選択肢がない。


「そ、それは…わたくし自らがお嬢様を連れ戻しに向かう…ので御座いますね?」

普段の業務ではあるはずのない不慣れな仕事したのだから少しぐらいは大目に見てほしいものだが……男は過小評価も過大評価も生憎として出来ない。


「……そうだね。 いくら安価で即席な方法を模索したとはいえ、現地の学生を人探しのボランティアとして雇った挙句位置まで割り出したが回収に失敗したとあれば次に行うのは雇い主である君の出番だ。

案外遠くへ行っていない事はまぁ、土地勘が屋敷の中以外にあまり無いから仕方ないにしても…地図ぐらい簡単に手に入るのだからもう少し広範囲に捜索網を広げる必要があるかと思ったが……」


それはそうだろう、外出するにしても学校と屋敷の間位でいざ外の世界へ出られたとして知識としてはあるがいざそれを使うとなると応用や機転など効くわけがない。

未知ではないにしろ追われる立場の人間は必然的に高まると言う恐怖と疑心暗鬼に襲われるのだから視野は狭まり、正常な判断は時間と共に奪われてゆくのだから。


「それではわたくしは何日以内にお嬢様を連れて帰ればよろしいのでしょうか?」

楓君と呼ばれた男はいらない質問をしたと問い詰められる理由を作ってしまったと少し考えて後悔した。

「それは楓君、私に期日を決める権限を譲渡してしまう悪手だね。 ここは長めに期日を見越して相手との交渉に出るべきだ。」

そんなもんなのだろうか、なら適当に長めに…

「それでは一週間で説得致しましょう、それでダメな様でしたら如何様にも」「そうだね、明日がいいな」


幾ら何でも暴論過ぎると言いたいところだが実際のところはそこまで急いでいないと言うのはいい男の余裕からも読みとれる。何せ今しがたこ話を聞けばそうしろと安易に言われた様なもの、そしてそこから察せと言いたいのだろう。


「それなら三日から四日と言うところですね」「おや、話が早いねいい事だ。」「…これ以上当主様のお心を割かせる訳にもいきませんので」


全くこちらに好意が無い笑みを見るのは慣れているが今回のはとびきり感情がない顔で内心恐ろしいものがあった。

「それでは私はこれにて失礼致します。 もしもの事があり一週間経って連絡が無ければ何かに巻き込まれたとお考え下さい」

「あぁ、そうするとしよう、 その際には事情はどうであれ君の席をこの家から無くしておくよ」「……畏まりました。」

事実上の解雇通告だが楓と呼ばれた男は微動だにもせずにただ深々と頭を下げるだけだった。

クビだというのは暇を貰って失敗や気まずい雰囲気が消えるまで待っていなさいという意味でよくこの人が使う文句の一つなのでそこまでの心配はしていない。

呼び出された仕事部屋から退出が許可されたのはそれから間も無くの事である。


「それと呉々もあの子と話すときは慎重に頼むよ、場合によっては下の子よりも不安定な存在になりつつあるからね器も中身も壊さないように」


背中に当主から掛けられた言葉に楓君と呼ばれた彼は何も答えずに部屋を後にする。

あの場所は例えるなら無菌室か何かだと男は感じて閉ざされた扉を振り返る、誰にも聞かれ無い様に小さく呟く。

「あのお方にはお嬢様を何だとお考えなのでしょうか……」


日に日に陰る少女の無垢な笑顔をあの男は興味も碌に示さなかった。

秒単位で予定を決める彼の頭の中でお嬢様が入り込む余地などは丸っ切りなかったのです。 誰がそこから情を学べるのでしょうか、わたくしには毛頭理解が出来ません。

「お嬢様のいる場所は分かっているのであればこの度の事は順調に事が運びそうですね。 待っていてくださいお嬢様必ず私が貴方様を救ってみせますから……!」

襟で結ばれたポニーテールを揺らす事無く清潔感のある白の手袋をはめ直して楓君は廊下を進む、外には今にも泣き出しそうな暗雲が立ち込めていた。

「泣き出しそうなのはこちらだ全く…」

主人を諌めるのが執事たるものの務めであると信じて疑わず、そしてある男を頼って再び登場するのだがそれはまた別のお話ですることにしよう。


ところで僕らはそんな話は全く知らないまま無事に寮室へと戻っていた。

「おっ帰りなさいわーがやー!!」

鍵を開けるとレイピアが勢いよく洗面所へ向かうので転ぶのを心配しつつ僕はその背中を追わずに昨日のカレーに火を入れてカレーうどんにでもリメイクしようかと考える。

「涼くん涼くん! そう言えばなんだけど!!」

「レイピアレイピア、どう言えばなんだけど?」

今更ながらに昨日の出来事とか家出した理由とか話してくれるのかな…なんて淡い期待をしていたらなんの話を始めた思う?


「おゆはんどうしよっか!!?」

さっきスイーツ的なもの食べていたというのにもう既に次のご飯の事を考えてるんだね…まじかー

「夕飯はカレーうどんだよ」


二日も自炊するのは面倒なので昨日買っておいた冷凍うどんを入れてしまおうと考えた。

後は適当にサラダ作れば事足りるよね?

「カレー、うどん? え、何それどういう異種格闘?」

なんで若干引いた感じでこっちを見ているだレイピア、カレーうどんだよカレーうどん、やっぱり彼女の舌は庶民派では無いらしい…… 美味しいのにカレーうどん


「昨日のカレーにも少し驚かされたんだけど今日は更に驚かせてくれるという事だね!!」

なんかハードル上げてくるし…そんなに目を輝かせるんじゃありません、

「レイピア、なんで只の夕飯なのにそんなに楽しみにしてるの?」

「えー? 涼くんはご飯食べてて楽しく無いの?」

そこまで何食も抜いたとか無いし…大体食事なんてしようと思えば今ならどこでも出来るから有り難みみたいなものは確かに

「そ、そこまでは…」「だって楽しいよ!他の人とおしゃべりしながら食べたりテレビ見て笑ったりするの!」

僕も最近はあんまり他の人と一緒にご飯を食べられていなかったので確かにと思い、にしても殆ど手抜き料理なのでどうしよっかと首をひねる。

「いいのいいの、お料理は調味料を間違えてなきゃいいから!」

「じゃあレイピア、料理のさしすせそって全部言える?」「砂糖、塩、お酢…せ…せうゆ、そ…みそ?

あれ、でもせうゆってなに?」

完璧じゃないか、最後の一言を除けばね


「ねぇねぇ涼くん、外は雨降りそうだしちょっと洗濯物私畳んで来ちゃうね!!」「おっけー、因みにせうゆは醤油の事だから」「はーい!!」


慌しく賑やかな君を僕はいつまで匿う事が出来るのだろう…昨日の夜の様な事が今日もし起こったら…?

本気でボディガードみたいな人を止める自信は僕には無い。

こんな事を続けるのは間違っているというのは 僕もそうなのだから、レイピア本人だったら尚更にとっくに気が付いている。

間違えを知っていて答え合わせをしないのは気づくのが怖いからだ、それが正しい判断ではなくて現状を変える気が無いとか只の逃げで一時的なものだったとしても僕らを大人は咎めるのだろうか…


「じゃあ夕飯の支度をするまでなんかしよっか涼くん!?」

気合い入ってるなー、ねえレイピアその勢いのまま僕の残りの課題を代わりにこなしてくれない?


「うーん、適当にテレビ見てればいいんじゃないかな? それともマリアさんのところで映画のDVDでも借りに行く?」

僕も何かしようと思っていたけどね、図書館で微風と旅人さんの課題の惨状? を見た後だとそれを片づけなきゃいけないかなって思って…そこで僕は課題である教科書問題集(国語)と小テスト集(理科)を僕は召喚!! 後顧の憂いを無くす為、ここで決着をつけよう!! 春季課題供!!

「じゃあ私はマリアがいたら何かDVD借りてくるね〜」

はいはい、いってらっしゃーい。 それじゃあ張り切って課題を終わらせにかかりましょうかね!!


気合いまでは入れないものの、やる気にならないとやらないので一先ずエンジンを吹かすところから手短に始めるとしよう。

お気に入りの曲をラジカセにセットして二、三曲を

自動巻き戻しして流すのだ!!

僕の勉強におけるスタンスは「平均順位が取れればいい」なのでテストが絡まない勉強は趣味の範囲を出ない、だって誰もが知ってるLEDだけど白熱灯と何が違うのって疑問に思ってわざわざ大学の図書館まで調べに行かないでしょ?


勉強だってすればするほど謎は深みを増すばかり、なんだってやってしまえば後は案外どうにかなるのかもしれないと柄にもなくそう思った。


「雨が降りそうだってレイピア言っていたけどまさか本当に降ってくるとはね…」

それから少しして静かになった僕の寮室に雨脚がやってきた。久々の一人きり。これが本来のこの寮の部屋なのか…

平和で何もなく過ごせるのが一番だよねやっぱり!!

……とは思うんだ。 でもさ……レイピアが本当に望むのならば僕はあの子の為にたとえ悪魔とでも手を組めるか……

折角ペンを走らせようと思った矢先にこんなことを考え始めてしまうから僕は勉強が苦手なんだ…

雨足に耳をすまして雑念を片手間に有名らしい文学作品の作者の考えを抜き出すのだっ\ピンポーン/

「……レイピアがマリアさんからなんか借りて帰ってきたかな?」

鳴ったチャイムから少し間をおいて僕は玄関へと向かうのだった。 続きは是非是非また今度!!


次回へ続くよ!!

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