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僕の部屋には座敷わらしが住んでいる  作者: 峠のシェルパ
第一章 座敷わらしと寮室争奪戦!?
18/75

常軌を逸した蒸気

難産だった気がします、なんか話が間延びしている気がするけれど気にしない。

微風で思い出したけれどコートの彼は結局待ち人には会えたのだろうか…

まさか出会えて無くて何かの事件に巻き込まれて今もこの街の何処かを駆けずり回ってたりなんて思うのはきっとは考えすぎだよな…ぼーっとそんなことを考えながら「流石にそれはないか」と呟いて先程鳴った電子音の確認に向かう。


さてドアホンの映像を確認してみると廊下に蛍光灯の白色の光で照らされたいたものは実は…何もなかった。


「うーゆ…悪戯かな? ピンポンダッシュなんて古典的なことをする人がいたもんだよね。

そんなことしなくたってそんなことにエネルギーを傾ければいいものを…」


大人やら高校生にもなってそんな幼稚なことをするのかと思う。

もしかしたら微風が夕飯にでも誘おうとしていざドアホンを押してみてはいいものの、気恥ずかしくなって慌てて逃げたなんてことも万に一つもしかするとあるかもしれない。 多分あの人は悪い人じゃないと思う。

微風ばかりを悪者やら変人に仕立て上げちゃ駄目だね、僕の隣人なのだから丁重に扱わないとだね!


「さて、後片付けはのんびりやるとして今僕は何かやらなきゃいけないことがあった気がするんだけど、なんだったっけ?」


レイピアなら恐らく夢の中だから放っておけばいいし、そうだそうだお風呂に入る準備をしておかなくちゃいけないのか…簡単に言ったけどあそこって雑菌とか多いからバスタブ位は洗っておこうかな。


「それ用の洗剤は僕が事前に買え揃えてあるんだけど家事に炊事と着々と主夫になってゆく自分が怖い…」

料理をして、お風呂の用意と…それに加えて洗濯物までやり始めたら学生から家政夫にジョブチェンジするかもしれない。

将来的にはレイピアの身の回りを世話するメイドと言うか執事になればもしかして安泰なのでは…?

そっちの方が格好が付くじゃないかとは思いつつも自分にはかっちりした服は似合わないよと昔言われたことを思いだして少し凹んだ。


浴室に伸ばしていた足を止めたのはなぜかと言うと「ピンポーン♪」ともう一度電子音がしたからだ。

「うーん微風って案外シャイだったりするのかな?」

自炊出来るかどうかはおいておいて僕の知る人物から(とはいえあまりにも少ない気もするが)消去法で僕に声をかけてくるのを躊躇いそうな人は彼くらいしか思い当たらないのだ。


マリアさんならば二回目くらいで正直に出て来てくれるはずなのだがどうかな?

TVモニターホンまでついてるから誰が来たかは普通だったらはっきり分かるはずなんだけど…やっぱりヒトの姿はなかったから悪意のある悪戯か? と僕は考えてしまう。


流石にレイピアの父親か家の人が捜索して探し当ててきたのかな…そうだとしたら少なくともマリアさんがこっちに話をしに来るだろうし一体何なんだ?

レイピアは多分寝ているだろうからそんなに何回も鳴らされると近所迷惑だったりするので誰かの悪戯か意地悪だとしたら勘弁してもらいたい。それとも何か死角からやってるのか…?

「ピンポーン♪」

…はいはいわかりましたよ出ればいいんでしょ出れば…全くこの手の人は人が怒って出てくるまでやめないタイプか構ってちゃんなタイプだね、夜の確実に同級生がいるであろう時間帯にしてくるとか余計に質の悪い。


まだ夜は肌寒いので部屋の中で脱いでいたコートを軽く羽織ると僕はいかにも怒ってますという面持ちで寮の二階廊下へ出た。

「あの、どなたかは存じませんが、時間も、時間ですし、そのようなことは、やめていただきたいのですが?」

コツはわざわざ単語で切って語尾を強く発音すること不機嫌そうにすることで相手に威圧感を与えるのだ。

ドアを開けて階段のあるの方向へと言い放ったのは良かったのだがしかし問題が一つだけ、致命的なミスを僕は犯してしまった、ドアホンは開け放った扉の反対側にあるつまりは…

「こっちからじゃ見えて無いじゃん…」

小っ恥ずかしい限りなので恐る恐るそーっと扉の向こうへさぁ行くぞ!!

「おや、ここには少女がいるものかと思っていたのだけれど、そんなこともなかった様だが…お宅さん…どなた?」

どうやらうちの高校生らしい、春休みに僕がわざわざ学校まで行って買いに来たのと同じ黒地に肩に赤いストライプの入ったジャージを上下両方揃えた眼鏡の細身の男がこちらを少し小バカにした様な目線をわざとらしくこちらに向けていた。

「いやいや~駄目だよ~不純異性交遊はぁ~」


 君は何様のつもりでそんなことを言うんだ、開口一番に明らかに挑発的なセリフが飛んできている。

はっきり言って背後にも有るし廊下から見える街灯に照れされた夜桜が君のにやけ顔で台無しだよ?


僕はそちらから悪意を向けてくるのなら、無関心を貫いてくれるなら端的に明快な反応を示してあげよう

そんなやつはどうでもいい興味がないのだ、自分にとってプラスになるなら良いけどマイナスになるならその人にたいして非情になる自信がある。


僕は残念ながら聖人君主じゃない、血の通った人間だ頭のないやつってのは見ていて苛立ちしか覚えないが

もっと腹が立つのは能ある鷹は爪を隠すとかいって無能を装うやつだね…

「僕はこの部屋の家主なんですけどそれが何か問題がありますか」

正確に見れば学校の所有物なんだろうけども見かけ上は僕が借りている個室だからレイピアはあくまでもイレギュラーなのだ。

「いやいや~別に君に忠犬っぷりに恐れ入ったからね、街中で歩いているときの気の使い様はなんだい?

それこそ…なんでもないわw」


 本当に小馬鹿にした安っすい挑発には「一昨日来やがれ、」と言いたいのを堪えて平常運転で乗り切るとしよう、それにしても僕にはここらへんに知り合いなんていないはずだから君のまるで知り合いのような言い草が何だか気になる…何処かで見たことが有るような既視感と違和感が僕を襲う、

おいおい、これがループものとかだったらこの人あれだよね出会っちゃいけない人だよね、なんかこうキーパーソンなんだけど出会う場所間違えるとこっちに襲いかかって来て僕が殺されちゃう流れ…だったりしないよね?


 「なぁにを心配してこっちを睨んで来てるんだい?

止めてくれよーそんな怖い顔はさぁ~。

此方はまだ交渉のテーブルにすら座っていないってのにそれだけ好戦的な目をされちゃうと此方も先制攻撃をしたくなるじゃないか」

挑発に加えて次は喧嘩腰で暴力を辞さないだって?

何が目的かも分からない奴に殴られたらこのあとの夢見が悪い、


「その道化師気取った態度はいただけないよ。

君の意図と意思は全く分からないけれど今後もそんな調子でお喋りを続けたいならどうぞドアホンに向かってやってくださいな、もちろん此方は聞いてやりませんけどね?」

あくまででも争う気は無いけれど舌戦位なら受けてやろう、ただしまともに会話をする気になるのならな。

「ふぅ…分かった分かった、それだけ冷静さを保っていられるなら話をしよう、

君の人をみる目はこの歳ににしては有りそうだからね、なんでかまでは分からないけれど…。」

 目の前にいる少年の態度があからさまに変わったがわざとらしい身ぶり手振りは直ることは無かった。

まともにしゃべると思ったら口をついて出てきたのはかなり現実的な事で僕には痛い野次だった。


「君のその寮室には女の子が住み着いている、しかもその少女は家出少女ときた…見ず知らずの君が助けて何になるっていうんだい?

二束三文の得になるならともかく、高校生なんて男の子が一番はっちゃけて然るべき時期にだ、そんなのは損しか生まないだろう?」

言われてみればそうかもしれない。

レイピアに家賃三ヶ月分の半分は支払われているため一ヶ月は僕の部屋に滞在させなくてはと思っていたが、よくよく考えてみれば別に返金してしまえば済む話なのでは? 

まんまと相手のペースに乗せられそうになっている気がして癪だけど、彼の言っていることも一理ある…

もしかしてマリアさんが送り込んだレイピアと僕を説得しに来た人だったりするんだろうか… 

頭の中に浮かんだ憶測を並べる暇もなく彼は話を続ける。 

「はてさて、気を使ってばかりでのびのびと全く出来ない?

テレビのチャンネル争う敗れ、メロドラマを垂れ流される日々?

不馴れな家事を疲れてるから~と言う適当な理由でやらされ拒否をすればたまにはわたしの苦しみも味わいなさいよ! なんて

そんなやり取りに飽々していませんか?」

別に僕とレイピアはマンネリぎみの夫婦では無いのでそこまでの事態は起こってはいないのだけれど…


「あらら、その様子だと早くもあれやこれやとやってしまったのかな?」 

なんだろう、こーいうお節介でお説教をしてくるような人近所が最近はほとんど姿を消してしまった気がする、(テレビの時代劇とかなら良くみるけど)

「あれやこれやなんてする気も起きないよ、今は色々考えることがあって忙しいんだ、何処の誰だか知らないけれど帰ってくれるかな?」(曲が流しっぱなしだし)

夜の八時過ぎに一体何をやってるんだと思いたくなるけれど知らない人に道を尋ねられたら速攻で防犯ブザーを鳴らすとかよく言うよね!? 言わないか…いつの間にかこの名前も知らないと仲良く喋ってるのだけれどもう切り上げていいかな?


「ええっと僕はもうこのへんで失礼しようかと思うのですが…夜も遅いですし今日はもうこの辺で良いですか? 最後にお名前だけでもいいですかね?」

こんなところで不毛な会話をし続けるくらいならさっさとお風呂の用意をしてしまいたいんだけど構わないよね、別に話をするんだけならこの人がこの寮に来たりすればいつでも出来るんだし、

とニコニコ笑うジャージの彼にお別れを告げようとしたときである。

「良いのかい、僕は交渉のテーブルに座るつもりなのだけれど

君はそれを何も聞かずに追っ払い争い事にする腹積もりなのかな?」


言葉の真意はもしかしたら僕の予想とは違うのかもしれないが一先ず僕は閉めようとして引いていた寮室のドアを開いて再びジャージ男と相対することにした。

確かに話を先伸ばしにして僕を動揺させるには彼の言い方はうまいやり方だなと感心は後でするとして…

「君はさっき僕の部屋に女の子が居るって言ったね?」

沈黙と首を縦に振るのは肯定と見て良いんだろうか…


「どこでそれを知ったかは知らないけど彼女は色々複雑なんだ、だからあまり」

「あまり事をおおきくしたくない?

何故なら自体が露見すれば学校と言う組織に迷惑が掛かってしまうかもしれないしこの寮の寮母さんであるマリアさんが不味い立場になるのではないか、

家出をした少女、未成年者の場合は警察に届け出が出ているのが普通であり、一個人の判断でそこの学校の学生だからと言ってこちらで保護するのは色々と問題を起こしかねない!

ま し て や 高校生男子と共同で生活するとは不純異性交遊があってもおかしくはない!

社会的に見ればこんな行動はどれだけの複雑な経緯やら理由が有ってなし崩し的に今の様な状況にとしてもアウトだ!!」


急に早口にまくし立てられても対応と反応に困るけど、彼が言うには困ったことになる前に爆弾になるうるレイピアみたいなのは爆発して周りに被害が及ぶ前に不発弾処理をしておけと…?

どうにも僕の例えは分かりづらいと思う一方で彼が言ったような最もらしい正論への反論をあたまのなかで組み立てている最中だ。


「そうか…君は目が鋭いんだね、」

でも僕はどうしたいんだ…?

言葉に詰まる僕を置いてきぼりにするかのようにジャージ男は自分のペースに話をもっていこうとしているのだろう、どんどんとまくし立てるかの如く情報を流し込んでくる、

「いやぁ、目が鋭いんではなくて吾が輩は事情を知っているのだよ、君がレイピアと呼ぶ女の子の事をね」

流されるなよ…まてまてそれは僕にとってあまりに有益な事じゃないか、彼女の事情をこの人から教えてもらえれば上手いこと反論出来る!


「この学校にはね、ボランティア制度ってのが有るんだよ。

地域性に富んだ学び舎をってのが最近のお上のスタンスらしくてね、ボランティアをすることで高校の単位を補えるのさ!

期間と拘束時間等によって10回行けば1単位足りなくてもokって寸法さ」 

話には聞いていたけどこの人まだ学校も本格的に始まっていない時期からそんな活動してるのか…

暇を潰すのと単位の穴を埋める手助けになるからやっているのか

それともこの人は最初から勉強したくないからもうとっとと単位を埋めようとする気なのか…どちらにしてもそうやって計算付くで動ける人は羨ましく思えるよ…

あくまで僕はその場凌ぎって考え方をしてしまって貯まったツケが大変なことに…嫌なこと思い出したな。


「おーい、なんか苦虫を口のなかで咀嚼している様な顔をしてどうしたなんか嫌な思い出でも思い出したか?

それはさておき…本題に入らせてもらおう、吾が輩が今回受けた依頼は迷い人の捜索と保護なんだけどさ…貰った情報が昼間に君と二人で歩いていた小さめの女の子にそっくりなわけ、

どこで見つかったんだみたいな顔してるけど実際にその足掛かりが掴めたのは昼間だったかな? 

二日前に依頼は受けたは良いものの手がかりなんてそんな簡単に掴めるものじゃないしここはのんびり走って来るかとロードをしていた時だった。

あれは大銀支線と牛橋支線の…ガード下の付近だったか…」


たしかに僕らはガード下を潜ってゆずのきへ向かったからその近辺で目撃されてもおかしくは無いけれど…

「いやいや、勘違いかと思ったからその後ちゃんと依頼書の中に乗ってる写真を見てみたらどんぴしゃだった訳さ」

ガード下のレイピアの行動が不可解過ぎてその時は飲み込めていなかったけれどまさかあの場面に目撃したのか…? 

僕も薄々思っていることだけどレイピアには何かあるんじゃないかってことだ、

「あの女の子から話を聞いていないのかな

そうだとしたら君は彼女から何も聞かされていないんだね。

優しそうな君のことだ、

その顔は聞いてやらない方が良いでしょ話したくない事情もあるのだろうからとそう思い自白を無理強いするのは可哀想じゃないかとでも言いたそうだね?

そんなのは気を使っているんじゃない、その子から逃げているだけだ。」


この人はなんで急にこちらを煽るような文句を言ってくるんだ、

挑発して僕を怒らせたとしてポロっと失言が飛んでくると思ってるのかな…?

「そーしてさ、一度回って冷静になって相手の意図は何かと探るんだそうだろう? そうやって君はまるで喜怒哀楽の感情を上手くコントロールしているかの様に相手を、自分を騙しているんだろ、そうじゃないのか?

吾が輩が言っている言葉に即座に言葉を吐いて来ないってのはそう言う事なんだろ、違うか?」

反抗して話す台詞や話題ならこんな屁理屈をこねくり回すジャージマンより持っているはずなのだが最初に出てきそうな言葉がかなり汚ならしいものになりそうなのだけれど…

「うるさいな、結局何が目的なのかはっきり言えよ。

その過程で僕を陥れたいのかは別に関係ないからいいけどさ」

後からしたらこの男はこの言葉を待っていたのだろう、

眼鏡の奥で悪戯を楽しむ子供のように目を輝かせている、

「おうおう怖い怖い、そんなに睨むなよ?

安い喧嘩は買うもんじゃないぜ、値を上げてから買い叩かかなきゃ。

此方から出す要件はこうだ、吾が輩はある家出少女を探す依頼書を受けている、

その詳細が知りたければ後で幾らでも見せてあげるがそれの捜索中次いでにランニングコースとか無いかとこの格好で走っていたところ、たまたまある場所にて一つの若い男女カップルに出会った。

犯罪の事案かとも思えるほど少女は幼げに見え、男の方はくたびれて見え…訂正だ大人しく見えた。

何処かで見た顔だと思い小・中のクラスメイトとかだったら事情があるからとっとと今走るコースを変えねばとよく考えて見れば最近見た顔だって事に気がつきこっそり遠巻きから追っていたら案の定此処にたどり着いたと言う訳だ。」 


とどのつまりレイピアと僕を探し当てたのは偶然ってことで良いのかな?

長いよ、この人のしゃべり方は。

僕も色々と考えすぎなところあるから全然話が前に進まなかったりするけれど彼はもっとだよ、長台詞で此方を挑発するどころか呆れてしまって何も言えないよ。


「君が今の状況をどう思っているかは知らないけれど子供の家出を放っておいて同学年の子供に任せて…

国家公安委員会の地域駐在員さんにも頼らずに一体何をやっているのかさっぱりだよ! もちろん親としてね!

だから居場所を教えたければ教えると良い、だけどこんな小間使いみたいのを差し向けるのなら此方としては考えがあると伝えて下さい、以上!!」

相手側がどう考えているのかは知らないけれど子どもの事を他人に任せる奴なんか知らないよ。

今関係無いことだけど地域ボランティアをこなすことで単位が貰えるのか、良いこと聞けたな。

ジャージマン、君は交渉のテーブルには着けない。

この問題においては単なる中継役に過ぎないからだ、次は本当に親御さんの一人や二人連れてくる事だね…

僕はその場凌ぎでジャージマンを突き放そうとしたわけではなくこれより関わるなと警告も込めてそう言い放って寮室のドアを閉めようとしていた、お風呂を洗わなきゃ…。


「…おいおい、つれないなぁ.もう少しお話を聞いてからにしてくれても良いんじゃねぇか? 親に言われなかったかい、「人の話は最後まで聞きなさいそしてこちらが知りたい情報を絞りきってから捨てなさい」とな!!」


寮の壁の色に雰囲気を似せ高級感を何故か演出しようと黒塗りのドアが何か強力な磁石にでも引っ張られるかの様にドアが外側へ簡単にこのままでは持っていかれるかな…歯を食い縛ることは出来なくても急に手を離したりして虚をついて早く閉めてしまおうとしたのだが…時すでに遅しドアノブから手を離す前に廊下へ引きずり出される形になってしまった。


ジャージマンはしてやったりと小さくガッツポーズなんてして僕を挑発でもしているつもりかな?

「そうだ、これだけ喧嘩腰になっている最中でなんだが自己紹介でもしておこう、この四月から一年生になる。

一年生ってのはいつも緊張感が有って良いものだ新しい環境はよいぞ…っと自分の名前だったな、吾が輩は「デゴイチ」名前の由来は日本最大級にして傑作機の蒸気機関車の愛称から来ているのだが…どうしたんだねその顔はら鬼が出るか蛇が出るかと選んだ道の先に鬼も蛇もいたみたいな顔をして…?」 


これか…こいつか…微風が気を付けろって言ってた…

てっきりこの寮の近くに定期的に汽笛でも鳴らす保存された機関車でもあるのかと思ってた…

まさか人の名前だとは思わなかったよ。

「まあ、なんだ一先ずは依頼書に載ってた女の子が無事ってことでいいんだよなぁ?

することしちやって今は君の部屋でさめざめと泣いてるなんて言われた時にゃ殴り殺す自信があるぞ」

真顔でこんなことを言ってくる辺り少なくともこの人と上手くやれる気はこの先しない…。

感情の起伏が激しいと言うか話し方に一貫性が無さすぎるでしょこの人と内心で思いつつ


「そんなことをしても僕が損をするだけじゃないか、これでも僕は合理的なんでね、あと世間体ってものもあるしやってはいけないことの分別位はつけてるつもりですよ」

と僕は落ち着いて、今はとにかくこの人との妥協点を見つけなきゃいけない、明日辺りにレイピアを交えて話し合うとかイメージで決着されよう。

何が何だか…


「話し合うとか考えてそうだけどあんまりおすすめはしないよ、吾が輩の彼方への伝え方次第で君の立ち位置が変わるからね…」


僕の考えを見透かした様にD51は口笛を吹きつつ僕の反応を楽しんでいるのが僕としてはすかしていて気に食わない。

「そんなに気にくわないから理性なんて捨てて殴りかかってきたらどうだ?

吾が輩の受けてきた依頼は家出少女の発見じゃなく強制帰宅まで請け負っている。

君がもしその子の肩を持って吾が輩の依頼を妨害するってんなら男同士が女の子の奪い合うなんていう構図に…ならないかも知れないが、このD51…力ずくでも依頼を完遂する為に動いちゃうぞ☆」


「それはもう言ってることがはちゃめちゃだ!」

考える前に考えが突っ込みとして僕の口から吐露されたけど

それよりも問題は彼方が暴力沙汰も辞さないなんて言ったことが問題だ、僕がそこまでしてレイピアの為に動く必要は何処にもない。 ペンは剣より強いかもしれないが拳によって壊されてしまっては意味がないからね。


「めちゃめちゃでも吾が輩はその手に出ても依頼は果たせるからな、別に構わないな」

駄目だあの人もう喧嘩する気満々じゃないか!!

なんでポキポキ関節鳴らしてるんだよ指太くなるぞ!

やーいやーい!!


「こっちは君の依頼を妨害するって気は更々無いよ!

むしろ同じ屋根の下に女の子がいるって言うのはかなり僕の精神衛生上宜しくないからいない方が良い…とまでは流石に言わないよ?! でも…」「お前さ、つまんないな」「え…?」


つまらない? 僕はただ早く君が帰って欲しい一心で話をしていたんだけど、そんな感想は今は関係ないだろ、なんの脈絡も無い暴言を吐いてくるんじゃないよ腹立つな…。 この時点で僕とD51の長きに渡るかもしれない敵対が始まった瞬間だった、そんなひどいセリフを臆面も無く言う人間を爆破久し振りに目の当たりにしている。

このあと起こる出来事はなんとなく予想できていたけれど僕が向かないことだとは先に言っておこうと思う、

レイピアが寝ているうちに早く終わらせたいんだけどね…

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