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理の外  作者: 931N
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プロローグ

ラノベ好きの中2野郎が書いたものですので、いい出来ではありませんがよければ読んでください!!

<プロローグ>

「奏!目を開けろよ奏!!」

横たわるその体を揺さぶり俺は叫ぶ。

周囲では爆音が響き、俺の声はかき消されて行く。

一人、また一人と倒れて行く戦友から目を背け、腕の中で動かなくなった少女を必死で起こそうとする。

認めるのが怖かった。

希望はまだあると信じていたかった。

しかし、奏と呼ばれた少女の瞳に光は無く、腕はダラリと垂れている。

ー我、理を枉げし刻の叡智をもって、認めぬ真を覆すー

「原点回帰!」

何度目とも知らない復元呪文を唱えるが、もはやなんの効果も現れない。

服にも身体にも傷は無く、その表情からは恐怖が消えている。

しかしもう目を覚ますことはない。

蒼井 奏の死の事実はこの世界に定着してしまった。

「・・・・っ!」

すぐ目の前を爆裂の魔法が過ぎて行く。

それは着弾後、周囲を巻き込み爆発する。

生者も死者も関係無く、焼かれその身には無数の切傷がつけられていた。

これを人間がやっているのだから、可笑しく思えてくる。

人は科学では乗り越えられない理を魔法によって捻じ枉げてきた。

俺自身も、自分の魔法で事象を、理を枉げてきた。

知っていたはずだった。

死という事象はいかなる魔法も寄せ付けない、何人も曲げられない理だと。

刻へ干渉する「原点回帰」すら死は覆せないと。

知っていたはずだった…。

自分が詠唱した呪文に皮肉を感じた。

なにが"認めぬ真"だ…と。

覆せない真実が目の前にあるじゃないか…と。

俺では、俺の魔法では、死の理には干渉できない。その事実がとても辛かった。

彼女は最期になにを思ったのだろうか?

劇的な別れも無く、気がついたら、すでに事切れている。

そんな戦場では当たり前のことを、俺は認められなかった。

彼女以外のことはどうでも良くなっていた。

故に…



その戦場で生きているのが自分一人だと、覆せない現実は一つだけではなかったと、気づいたのは爆音が止んでしばらくしてからだった。



すでに敵兵はおらず、味方の血の海の中に、俺だけが取り残されていた。

「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

誰の耳に届くことのない叫びはただ、血に染まった荒野を走って行った。

あたりは暗く、一日の終わりを告げる夜の闇が支配していた。

その闇は取り残された俺の今までに終わりを告げているようにも感じた。






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