Grand King③
■皇崎学園 グランドアリーナ施設内
今期【学園ランキング】の発表が終了し、出場生徒達がゾロゾロと控え室へと戻って行く。
「シルバーおめでとうございます!カイトさんっ」
今期SilverKingに選定された東雲カイトに何者かが後ろから話しかける。パッと振り向くとそこには、城ヶ崎ライカが少し瞳の端を赤らめながら東雲に笑顔を見せていた。
「わー!金ショタくんありがとう〜!」
「ショタって・・・もう!子供じゃないですってば!これでも高学の2年生なんですからね!」
と言いながらポコスカと金髪童顔145cmの少年が黒髪185cmの少年の背中を叩く様は他人から見たらどう見ても子供と大人の戯れに見える事だろう。
「いたっ!いたいって!ごめんごめん!」
「もう!いっつも子供扱いするんですからカイトさんは」
「可愛い後輩だからついついね〜」
「良い風に言って誤魔化してもダメですよー」
「てか、泣いてた?さっきちょっと泣いてたっしょ!目赤いよ〜?」
「しょっ・・・照明が眩しかっただけですよー!」
東雲にからかわれ、城ヶ崎は不満そうに唇を尖らせそっぽを向いた。
「ははっ、いや〜それにしても!初エントリーでGSB入りは本当に凄い事だよ〜それこそ覇王以来の快挙じゃない?なあ!マサトー!」
東雲が呼びかけた先には緑色の髪に紫色の瞳の生徒が控え室の扉を開こうとしていた。
「な・・・なんだ・・・」
「あっ・・・・・・ごめん・・・今期はTOP5に入れなくて落ち込んでた?大丈夫だって!俺だって四回出場してずっとTOP10にも入れなかったんだから、マサトも次はTOPに入れるさ!」
「違う・・・うぷっ・・・・・・お前ならわかるだろ・・・・・・」
「え?・・・・・・・・・・・・あっ・・・・・・あ〜もしかして・・・・・・」
「か、カイトさん!あの人どんどん顔が青ざめて行ってますよ!大丈夫なんですか?」
「まずそう・・・」
「救護出来る人をコールしないと!」
「ああ、それなら大丈夫。俺が治すから」
東雲は顔を青ざめながら控え室前通路の壁に寄り掛かる緑色の髪の生徒に開いた状態の片手を向ける。
「〈フィール〉」
東雲がそう口にすると、『コォォォ……』と緑色の髪の生徒の身体の周りに【青い光のモヤ】が発生した。
その青い光のモヤは発生してから1秒半程で消え、すると真っ青だった生徒の顔が瞬きをする間もないほど一瞬で血色を取り戻した。
「ふぅ・・・危なかった〜〜あと少しで吐く所だったぜ」
「マサト〜人酔いするんだから酔い止めアイテムボックスに入れときなよ〜?」
「ランキング発表前に酔い止めカプセル飲んでたんだが、最後の方で効果が切れちまった・・・ありがとう助かったよ」
「おっけー!今度奢りな!」
「お前ちゃっかりと・・・でも、わかったよ」
「ところで、何の用だ?・・・って・・・君はブロンズの」
「初めまして!城ヶ崎ライカです!」
城ヶ崎が東雲にマサトと呼ばれている生徒へハキハキとした挨拶をして見せた。
「俺と同じマンションの同じ階に住んでる後輩くん」
「あ〜!お前が金ショタくんって言ってた」
「きっ・・・金ショタくん!?」
「あ・・・それは・・・・・・」
城ヶ崎が東雲に向かって片眉を吊り上げたが、その瞬間にマサトが東雲の肩を掴み、2人はぐるりと城ヶ崎に背を向けた。
「彼、本当に高学の2年生なのか?小学部から飛び級して来たんじゃなくて?」
「あぁ、俺も最初会った時は信じられなかったんだけどさ〜マジらしいよ?でも幼すぎるよな!流石にな!」
「何コソコソしてるんですか!」
「いやいや」
「な、なんでもないぜー?そっ、それにしてもランキング初エントリーでTOPofKing入りなんて凄いな〜君!未来の大統領とまで言われる学園ランキング史上2人目の四冠を成し遂げたあの覇王以来の快挙じゃね〜か?」
「そして、今日で五冠になったんだよな、まったく・・・勢い止まることを知らないよな、あの人は」
「覇王って、もしかしてGrand Kingの轟先輩・・・?」
「そうだけど・・・まさか・・・知らなかった?」
「初耳です」
「ええええ!?!?」
マサトと東雲は驚愕の声を上げた刹那、お互い顔を見合わた後、東雲が先に口を開いた。
「あのね後輩くん、今の学園ランキング界で轟レンが覇王って呼ばれてるのは常識なんだ・・・」
「俺達の前だから良かったけど、今は轟のファンもエントリーしてるからソイツらの前で知らないなんて言ってたら危なかったぞ・・・命すら危うかったかもしらん」
「そ、そんなに!?」
マサトと東雲はコクコクと頷く
「き、気をつけます・・・」
「あぁ、くれぐれもな」
「そう言えば、その覇王さんみかけないですね、別の階の控え室なのかな?」
マサト「いや、確か轟さんの控え室は俺の三つ横にあった筈だぞ?」
「はいっ・・・はい・・・・・・はい・・・・・・・・えええっ!?レンさんがいなくなった!?」
超小型汎用通信機で何者かと通話をしながら通路を歩いてた黒服の秘書らしき人が3人の前を通り過ぎた。
その秘書らしき人が目の前を通り過ぎる瞬間に発していた言葉が耳に入ってしまった三人は顔を見合わせる。
「今のって・・・?」
■皇崎学園第三シアター付近のファストフード店内
私は友達が推しのビジュで勝負する姿を横目にアップルバイを食べていた。
「このカイト様をみよ!」
「ぐぬ!ならばこのレン様ならどうよ!」
「ぐわー!汗を拭う一枚は反則だってー!!」
「ふふっやはり、レン様のビジュが最強なのだ!はっはっはっはー!!」
「くそぅ・・・ならばオフショットのカイト様を食らえ!」
「ぐわー!!萌え袖ピースは俺に効くうううう!!」
2人は推しの写真を見せ合い、どちらのビジュがより神か競っている。主観のぶつかり合いだし、この勝負どうあっても決着つかないでしょと私は内心で思っている。
「ふ・・・2人ともテンション上がり過ぎだって声大きいよ」
「って、アヤノも参加しないの推しビジュカードバトル」
「しないよ、だってレン様のビジュは全部神だし優劣を付けるのは失礼だよ」
「たっ確かに!!!」
「ふぁ・・・ファンの鑑!!!」
一瞬だけ二人の顔が某古典漫画の「恐ろしい子・・・!」の一コマと同じ絵面になった気がしたけど、きっと気のせいだろう。
「そう言えばさ・・・あそこの席の人フード外さないのかな」
「え?」
「あの席の人」
ララが視線を向けた先にはフードを被ったままフライドポテトを一本ずつ口に運ぶ人の姿が
「なんか、変な人だね」
「ちょっと・・・二人とも失礼だよ」
「でも、よく見るとレン様に見えなくもない?」
「ええ〜!それはヤバいよ流石に〜」
「だ・・・だよね!チラッと見えた横顔が似てる気がしたんだけどそんな訳無いよね〜!あははは……」
「あはは・・・・・・」
私も一緒になって笑ったけど、ララの発言を聞いてからさり気なくもう一度チラッとフードの人へ本当に一瞬だけ視線を向けた際見えたフードの中から半分だけ見えた彼の瞳が確かにララ様に似ていて、もうそうとしか思えなくなってしまった。
「じゃあ、また学校で〜」
「うん、また〜」
ファーストフード店を出て私達は解散した。
私は自宅付近で止まるワープバスが到着するまで停留所で待つ。
ワープバスを待っているとファストフード店に居たフードの人がやってきて私の隣に並んだ。
心臓が鼓動を速める、「いやいや、別人別人・・・そんな訳ないって・・・・・・」
「すみません・・・・・・」
「ひゃ・・・ひゃい!?」
「アナタ、轟レンのファンですよね?」
「えっ?」
「バッグにぬいぐるみ付けてるので・・・・・・」
「あっ・・・あぁ・・・!そ・・・そうですけど・・・・・・もしかしてライブビューイング見てたんですか?」
落ち着け・・・きっとこの人はただのレン様のファン私と同じただの一ファンに違いない・・・・・・!
と、私は自分に言い聞かせるが、その意味は次の瞬間無に帰す事となる。
「なら、アンタに頼みたい事がある」
そう言いながらフードの人は顔が隠れるまで被っていたフードを脱いだ。
艶々と先端までキューティクルが整った絹糸の様な銀色の髪と美しすぎて畏怖の感情を覚えるくらい整った顔が顕となる。
その顔はそっくりさんにしては似すぎていて
それでいて、例え本物ならあまりにも現実味が無さすぎて受け入れ難い。
つまり、轟レンその人の顔があった・・・・・・。
「えっ・・・・・・ちょっ・・・・・・えっ・・・・・・??」
人間は本当に驚くと叫ぶでも泣くでも無く、固まってしまうとはこの事かとばかり全身が凍りついた様に固まってしまった。
どうしよう・・・まだそっくりさんかもしれないけど、この顔は間違いなくレン様だ。
私が見間違えるはずが無い、脳が目の前で起きてる現象が現実だと理解すると、次第に体温が上がり鼓動か更に速まり、私の顔から蒸気が噴き出す。
しかし、レン様な衝撃的な言葉を私へ発した。
「俺のネガキャンしてくれない?」
レン様の発した言葉に私は耳を疑った。




