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【毎日更新】魔法戦士のお仕事~とある画家の死にまつわるエトセトラ~【45話で完結】  作者: 鷹茄子おうぎ


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勘違い

「ところで…何で花の咲く時期なんて気にしたの?」

管理人のお爺さんとのツバキ話をたっぷりと楽しみ、邸宅を後にしたところでウィズモアはシンザーに尋ねた。


あれだけツバキについてあれこれ話し込んでいたのに、そのことを覚えているとはね…これにはシンザーも感心してしまった。とは言え、ウィズモアは肝心なことに気付いていないようだ。まだまだだな…だが、それを明かすのは早すぎる。


「疑問に思っていることがあった…その答えが見つかるかもと思ってね」

ウィズモアは食い入るようにシンザーを見つめている。ものすごい視線の圧を感じ、シンザーは苦笑した。


「二輪目のツバキはロマネラでもノガラでもなかったってことさ。俺達は勘違いをしていたのかもな…」

すべてを明かすつもりはないが、まったく明かさないというのもシンザーの主義に反する。だから、シンザーはヒントを出してやった。


「勘違い?」

「いや…勘違いさせられていたんだ」

ウィズモアの疑問に答えると同時に、自らに生じた疑問に答えるようにシンザーは言った。


ここまでは手の平で踊らされていたがな…これからはそうはいかないぜ。シンザーは不敵な笑みを浮かべながら、今後の捜査に考えを巡らせていた。


「ん~…」

「考えすぎると知恵熱が出るぞ」

ウィズモアが難しい顔をして唸っているので、シンザーはケラケラと笑いながら茶化してやった。


「それで…これからどうすんの?」

少しばかり不機嫌になったウィズモアは、ジト目でシンザーを問い質した。


「お前に大人の世界を見せてやる」

「大人の世界…」

目をキラキラさせながら、ウィズモアはその単語を復唱した。何を想像しているのかは知らんが、思いっきり外れだぞ…シンザーは思わず苦笑してしまった。


シンザーはウィズモアを連れて、『風のささやき亭』へ向かった。このライラリッジにおいて、ここは何でも屋の拠点の一つになっている。シンザーと一緒ということもあり、ウィズモアはわくわくしていた。


昼下がりの『風のささやき亭』は、ごった返している夜と比べると閑散としている。それでもこんな時間から飲んだくれているヤツも、ここでは珍しくも何ともない。さすがにこの時間から潰れているヤツはいないようだが…何にせよ、これぞ何でも屋の巣窟である。


先日のことがあるので、シンザーに向けられる視線は冷たい。一方でそのシンザーが可愛い女の子を連れていることに、好奇の眼差しを向けるヤツもいる。もっともシンザーが何者なのかは誰もが知っているので、誰も絡もうとはしなかった。


「いらっしゃい。よく来てくれたな。今日は何の用だ?」

そんなギスギスした雰囲気などお構いなしに、シンビネは満面の笑みでシンザーとウィズモアを出迎えた。


シンビネの反応に、何でも屋のヤツらは戸惑っているようだ。とは言え、シンビネが歓迎しているのに疎んじる理由はない。ピリピリとした空気は潮が引くように消えていった。


「調べてほしいことがある。テネラニ・キリマベラジのことだ」

「何を調べればいい?」

単刀直入に切り出したシンザーに対して、シンビネは身を乗り出して聞いてきた。


「テネラニは恋愛には奔放なタイプという話だが…その裏付けが欲しい。ただし調べなくてもいいヤツがいる」

そう言いながらシンザーはカウンターに置かれているメモ用紙を1枚取り、そこにノガラ・ラベルフィーユの名を書いた。


「分かった。明日の昼までに調べさせる」

それを見ながら、シンビネは自信を持って答えた。興味本意で、テネラニと噂のあった女のリストアップをしていたところだ。それが思わぬ形で役に立ちそうだ。


「任せたぜ」

簡潔に依頼を済ませると、シンザーはウィズモアを連れて『風のささやき亭』を後にした。


しばらく『風のささやき亭』で無駄話をしてもよかったのだが、今日はウィズモアもいる。何を想像しているのかは分からんが、何やらトラブルの可能性がありそうな気もする。ここは長居しない方がいいだろう。『風のささやき亭』の初体験があっさりと終わってしまったことに、ウィズモアは少し不満そうではあるけれど。


迎えた翌朝、ウィズモアは少しばかり思い悩んでいた。悩みごとがあるなら、それは誰かに相談した方がいい。そんなことは百も承知だが、そうはいかない事情があったりする。


「ん~…」

「どうかなさいましたか?」

「ん…何でもない」

ウィズモアが何度となく難しい顔をして唸っているので、ソムニアとしても尋ねない訳にはいかない。もっともウィズモアには言葉を濁されてしまったが。


大人の世界ってどんな世界なんだろう?これはソムニアには聞けないことだ。年上とは言え、1歳しか違わないし。聞くとすれば、2人の姉に聞いた方がいいと思うけど…お子ちゃまにはまだ早いとか言われるのは目に見えている。


そうこうしているうちに、シンザーがやって来た。ウィズモアはこの一位武官に胸中を察せられるのではないかとヒヤヒヤしていたが、それは杞憂に終わった。離れで朝食をとりつつ今日の打ち合わせをすると、まずはノガラを訪ねることにした。

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