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つながりはベランダだけで

 僕は夜勤明けの眠気と闘いながら洗濯物を干すべくベランダに出た。


「おはようございます」


 隣のベランダから聞き覚えのない女の子の声がした。


「えっ? お、おはようございます・・・?」


 隣の205号室ってずっと空き室だったはずだけど、まさか家族連れが引っ越してきてたなんて、まあ三交代制で昼間寝てることが多く近所付き合いないから仕方ないか。


「今日、学校休み?」

「今日は祝日でお休みです」


 中学1年か2年って感じの女の子が洗濯物を干している。って、オイオイ! 下着を外から見えるトコ干したらやばいって!


「あ、ちょっと・・・」

「はい?」


 うわっ、しまった! 今ここで下着が見えやすいから場所変えた方が良いなんて言ったら、僕が変態扱いされちゃう!


「何でしょうか?」

「い、いや。余計な事かもしれないけどお父さんやお母さんはお留守?」

「お父さんは顔も見たことないです。お母さんは仕事で家にいない事が多くて」

「そうなの? 大変だね」


 少し寂しそうな彼女に情が湧きそうになったが、無責任な事は出来ないので冷たいオジサンに徹する事にした。


「じゃ、オジサンは夜のお仕事で疲れてるから寝ます。お休みなさい」

「はい、お休みなさい」


 僕は彼女の顔を見ないようにして床についた。


「すみません! 辰巳川署の者ですが」


 インターフォンに起こされドアを開けたのは、午後2時過ぎだった。


「はい?」

「お休みだったんですか? すいません、こう言う者ですが」


 スーツ姿の男女が警察手帳を提示したので、先程の彼女について聞いてみようと思った。


「刑事さん? あの隣の中学生らしき女の子について」

「その女子中学生、女サギ師の娘でしてね」

「女サギ師?」

「独身男性を狙って情に付け込んで信用させて金品を盗む常習犯なんです」


 どうりで見えやすいトコに下着を干す訳だ。


「その女子中学生があなたを取り込めなくて、サギ師の母親に『もうやめよう!』って言ったらしいんです」


 いやいや、むやみに他所の子どもなんか部屋に入れないって。


「とにかく、署で事情聴取お願いできますか?」

「は、はあ・・・」


 僕は子どもが苦手の熟女好きで良かったと思い、上司に事情を説明して有給休暇を取得した。


〈終〉



いつもご愛読いただき、ありがとうございます!


前作「カレンダーをくれなくなった新聞屋」に多くのアクセスをしていただき、とても嬉しいです。


今作も「小説家になろうラジオ」大賞向けに執筆致しました。


アクセスやブックマークの登録、ご感想などいただけたら嬉しいです。


では、良いお年を!


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