①なんだこいつ
そんな無茶苦茶な...という人物がいた。私は大学生で、とある講義を受けていた。講義室は奥行きがとても広い。黒板を正面にみて左側には教壇があり、そこにいつも先生がいる。講義室は細長い長方形で、その先に黒板があり、黒板と平行になるように、講義室のちょうど真ん中にはモニターがある。私はよくそのモニターの手前に座って講義を受けている。私はいつもそこで、私の友人二人と一緒に講義を受けている。友達と一緒、といっても講義中に私語をしたりはしない。三人とも、互いを尊重しているからだ。互いのことを邪魔するようなことはしないのだ。
授業は百分間で、途中に休みはほとんどの授業で存在しない。この授業も例に漏れず、休憩はない。授業が九十分進んだ、と言ったところだろうか。突然講義室の後ろのドアが空いて、ガチャンという音が鳴る。私は、「あぁ、遅刻してきた学生がいるのか」と思った。しかし、なんということだろう。その学生はあろうことか、どんどんと講義室の前方へ進む。しかもよりによって、教授のいる講義室の左側へ。彼は勇敢に進む。しまいには、彼の背中に勇者の剣でも見えてきそうだと思った。
彼は講義室の先生の前。ちょうど前方の椅子に座った。
なんだこいつ。
これが私が大学で衝撃を受けたエピソードである。
本当になんだったんだろう。こいつ。