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第42話 春の種蒔き

 春が来たので、そろそろ真面目なスローライフを開始する事とする。

 思えば年初めの書き初めで“もう少し真面目にスローライフする”と書いたのに、冬の間は寒くて全然ダラダラと過ごしてしまっていた。

 いや、それもスローライフとしては大正解なのかもしれないが。


 兎にも角にも折角ホームセンターで野菜の種を買って来たのだから、家庭菜園で作る野菜を入れ替えるとしよう。

 今回植えるのは化け狐と話していたトマトの他にキャベツ、ニンジン、ダイコン、カブ、ニンニク。


 イモ類も作りたいんだが、種芋を買って来るのを忘れていた。

 去年は秋にサツマイモを植えて収穫したが、普通に売られていたり収穫した芋を種芋にするのは、芋自体が病気に罹っている可能性があるので、本来はあまりよろしくないらしい。

 本当は無菌の種芋ってのを買って植えるのが良いのだと、暇な時にスマホで調べていて知った。


 まあうちの場合はあやかし達が謎の力を働かせるから、多分普通に売ってる芋でも問題無い。

 何ならフライドポテトを植えても普通に生えてきそうだよな。

 怖ろしい話だが。


「雪女、収穫が終わったら畑にある根茎を全部凍らせて粉砕してくれよ。

 震々回収してきたから少しぐらいはいけるだろ?」


「えー、暑いの嫌だぁ」


 冬の間あれだけ燥いでたお前は何処に行ってしまったんだ。

 あやかし総出で引っこ抜いても良いんだが、雪女による除草作業の楽さを一度覚えてしまったら戻れない。

 どうにか外に連れ出してキュウリ以外の場所を空にして貰った。


 種蒔きは久々に加夫羅太伊に乗って行う事にした。

 何匹ものミミズが横に並んで絨毯みたいになった上に俺が乗ると、いつもより大袈裟にうねって嬉しそうにしている。

 これだけうねられると、こちらとしても何だか嬉しい気分だ。


 種は袋から出したのを適当に蒔いていく。

 ある程度間隔を開けて蒔くとかは気にしない。


 今の所、この畑は蒔けば蒔いただけ野菜が出来る。

 もしかしたら世界一の肥沃な土地なのではなかろうか。


 適当とは言っても一応トマトはこの辺、キャベツはこの辺、と分けてはいるがな。

 これでも案外ちゃんと考えてやってるんだぜ。


 そう言えばふと思ったが。


「果物なんかも作りたいよな。夏にスイカが出来たし。

 果樹とかも植えたら早く育つと思うか?」


『わからんが、そやつらがいれば育つのではないか?

 我は桃が食いたいぞ』


 桃の木か。

 桃は植えてから収穫までに三年とか聞いた気がする。

 家庭菜園の野菜の育ち方を見るに、少なくとも三倍ぐらいは成長が加速している気がするから、一年もすれば収穫出来るようになるか?


 と言うか、さっき化け狐がそやつと言ったが、ミミズじゃなくて上を見ながら言っている。

 気になって俺も視線の先に何があるのか目で追ってみると、ピンポン玉ぐらいの毛玉が幾つか空に浮いていた。


 どうやら春になって、新しいあやかしが到着したみたいだな。

2月1日よりしばらくの間は作品を非公開とします。

続きはアルファポリスで最終話まで公開していますので是非そちらをご覧下さいませ。

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