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あのにます:怪奇幻想断片集  作者: 現観虚(うつしみうつろ)
19/27

注文の多い赤ずきん —第四夜/第五夜—

 四日目。


 ようやく腹以外の部位が食べられる。両腕、両足。


 太ももは血を抜いて冷肉に。このムチムチとした食感——たまらない。


 二十本の指先はソテーにして頬張る。


 そして腕は丸ごとフライに――顎を使って、骨から肉を引きはがすのが快感だ。


 最後に抜いておいた血を酒の様にグイっとあおる――喉の奥がかっと熱くなる。本物の酒のようだった。


 やがて私は、そのまま酔いつぶれて眠りに落ちた。




**************************************


 五日目。


 今日も血のジュースに酔いしれる。

 この前からずっと部屋に干してあった腎臓と子宮をつまみにした。

 もはや原形をとどめないくらい水分が抜けていたので、かなり歯ごたえがある。しかし、その分うまみが凝縮されていた。


 だがそろそろ……飽きてきた。


 バリエーションを楽しむのは良いが、何といっても私は狼だ。文明的なグルメ志向など気にせず、ひたすら野蛮にすべてを貪り尽くしたい――


 だが、もう少しの我慢だ。


 あと二日、あと二日で――


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