コント『空き巣』
住人「ふ~…。この家は電気どこだったかな?」
(家に帰ってきた住人が部屋の電気を点ける)
空き巣「おわ!?」
(タンスを漁っていた空き巣が、点いた電気に驚く)
住人「うわ!?」
空き巣「誰っすか!?いきなり!」
住人「いや、それはこっちのセリフだよ!お前こそ誰だよ!?人ん家で何やってんだよ!?」
空き巣「これはこれは失礼しました。私こういうものです…」
(ポケットから名刺を出して住人に渡す)
住人「は?なに?名刺?(おそるおそる名刺を取る)えーっと…『あなたの現在使っている宝石や金…」
空き巣「そこは『金』です。『かね』と『きん』では、だいぶ意味が変わってきますので、気をつけてください」
住人「…あ、そう。『あなたの現在使っている宝石や金、使っていない金品など、高価なものを奪わせていただきます。檜山 力』…」
空き巣「そう言うわけですので、何卒よろしくお願いします」
住人「いやいや、何卒よろしくないわ!要するに泥棒だろ!?なんだよこの、一見そういう宝石とかの買取屋みたいなノリの名刺は?」
空き巣「いや~、そういう買取屋っぽい感じで書いたら、ワンチャンそういう買取屋と間違えて色々と誤魔化せられないかな~と思いまして」
住人「間違えるわけないだろ!ていうか、不法侵入してる時点で色々アウトだわ!偽名も力って書いて『パワー』とか、ふざけた名前にしやがって」
空き巣「ひどい!それは俺の本名なのに…」
住人「本名かよ!ていうか、こんなところで本名使うなよ!即逮捕されるわ!」
空き巣「これでも空き巣歴20年です」
住人「空き巣のベテランだったー。いや、よく捕まらずに20年もやってこれたね」
空き巣「はい、20年捕まらずに頑張って今日まで空き巣をやってきました」
住人「うん、あの~…もちょっと真っ当なことで頑張った方が良かったんじゃないかな~?」
空き巣「あなたに俺の何がわかるって言うんすか!?普通に頑張って仕事しても怒られて、会社をいくつもクビにされて…まあ仕事中、会社のパソコンでエロ動画を見たり、毎日のように遅刻したりしてましたけど…それだけでクビにする社会なんて…あんまりですよ!」
住人「そりゃクビになるわ!!当たり前だわ!!」
空き巣「そうなんですか?」
住人「はぁー…もう、警察に通報するからな」
空き巣「ま、待ってください!今日のところは見逃してください。俺には最愛の家族が居るので、ここで捕まるわけにはいかないのです」
(土下座する空き巣犯)
住人「よくある、妻と幼い子供がいるから見逃してくださいっていう、同情を引いて見逃してもらおうって作戦だな?残念だが、俺にはそんなもの効かないからな!」
空き巣「はい…アリの巣キットで、たくさんのアリたちを育ててますので、俺が捕まってしまったら、アリたちの面倒を見る人がいなくなってしまいますので…」
住人「アリかよ!!…まあでも、俺もアリの巣キットでアリたちを育ててるから、気持ちがわかるよ。…わかったよ、今日のところは見逃してやるよ」
空き巣「本当ですか!アリだけに、ありがとうございます!」
住人「やかましいわ。いいから、俺の気が変わらないうちに早く行けよ」
空き巣「それにしても…ここの住人って、確か一人暮らしの女性でしたよね。あなたはその女性の恋人さんとかですか?」
住人「…そうですね、ゆくゆくは彼女とそういう関係になりたいと思っています」
空き巣「…え?ゆくゆくはって…じゃあ、今のあなたとここの家主の女性との関係は…?」
住人「…彼女に助けられた、ただのアリです」
空き巣「アリかーーーーーーーーーい!!!」