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新しい感情を覚えたホムンクルスちゃん

 開いた蓋から、何かが勢いよく飛び出してくる。

 思わず伸ばした私の両手の上に、その何かが乗っかった。


 ずしりとした感触。

 そして、キラキラとした輝き。


 白、いやそれは白銀と呼ぶに相応しい輝きだ。私が生まれてこのかた目にした中で、最も美しい色をしている。


 その手の上のもちもちとした丸っこい何かが、ぷるぷると震えたかと思うと、にゅーんとその体を伸ばす。その延びた体の一部が、そっと私の頬を撫でる。


 ひんやりとして気持ちいい。


「きれい……」


 そのあまりに美しい色に、声がもれる。それは、怒り以外では初めて感じた情動だった。


「あなたは、なんですか?」


 思わず、話しかけてしまう。


「ぷぅ。ぷぅ」


 その目の前のふるふるとした存在から、まるで返事のような、そんな音がする。どこからか空気を取り込み、声のように音を出しているようだ。


「ぷぅ、ですか」


 ゆっくりと手で握るようにすると、そのもちもちふわふわとした感触が伝わってくる。

 そして私の手の動きに合わせて、ぷぅの体の表面にさざ波のように、光の色合いが生まれる。

 白銀の体表面に生まれたその色のグラデーションは常に変化し、思わずうっとりと見とれてしまう。


「どうしましょう。この子」

「ぷぅ。ぷぅ」


 ぷぅのその声は、まるで私の問いに返事をしているかのようだ。それだけではなかった。

 私が手にしたままのゴブリン達のスキル・ラビッシュを、そのみょんと伸ばした体で指し示してくる。


「ぷぅぷぅ、ぷぅ」

「お礼を言っているのですか?」

「ぷぅー」


 ──もしかして、培養槽を殴っていたゴブリンから助けた事で、お礼を言っているのでしょうか。


「どういたしまして」

「ぷぅーぷぅ」

「……ふふ」


 その仕草に思わずもれた吐息。なんだろうと、今の自分の反応を不思議に思う。


「一緒にいく?」


 気がつけば、私は、そんな言葉をぷぅに語りかけていた。

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