【男声の出し方】・【両声類】ユージー法(仮名)……女性でも出せる「男声」のアプローチ方法!【短編版】
発見されてから数年で、未だ分からない事が多い発声法です。
個人的観測で「現時点でここまで分かっているよ」という内容を載せておきますが、正直な話それが本当に正しいかどうかすら謎です。
もし間違っている事が記されているようならば逐一指摘して下さい、必要に応じて加筆修正もして行こうと思います。
※アプローチ方法(ダンディー声)、その他諸々の部分に修正加えてみました。
※内容は全く一緒ですが、別に連載版も投稿しています。
見辛いと感じる方はこちら→「https://ncode.syosetu.com/n4562jr/」
※音質悪いですが、Googleドライブで音声リンク作成しておきました。良かったら参考に(尚筆者は男性)。
溜息→風邪声変声
→https://drive.google.com/file/d/1ITSJor2IooppqOGN-pF9yOKkvoFVsWcY/view?usp=drive_link
風邪声
→https://drive.google.com/file/d/1JfvGRW2yNI8bfUKaOLAGuIKi2d3CIWEQ/view?usp=sharing
ダンディ声発声「あ、え、い、お、う」
→https://drive.google.com/file/d/1PXoRgr0vpHXkcWfp5V6S0-_9P-raCXHA/view?usp=drive_link
風邪声→ダンディ声変声
→https://drive.google.com/file/d/1xUUZjWcgIgjHbRLCdq5Kf0THrsifnZYX/view?usp=drive_link
風邪声→カルグラ変声
→https://drive.google.com/file/d/1GDcJeLRZXUwaqUhDyzkRNatLoy4XDozj/view?usp=drive_link
※時間がありましたら、感想欄もご覧になってください。質問が何件か来ていたので、補足説明を兼ねて逐一返信させていただいています。
◎始めに
皆さんこんにちは、新発声法の発見者(自称)です。もしかしたら私より前に発見されていた方がいらっしゃるかもしれませんが、現状そのような情報は飛び交っていないようなので、現時点では上記内容を自称させていただきます。(違っていたらすぐさま返却します。)
そんな私も、一応セクシャルマイノリティの当事者です。身体は男性。性自認がMtX(Xジェンダー)の無性タイプ、性的趣向がアセクシャル・アロマンティックに該当します。女性目線の男声を発見したとか謳っておいて、FtMどころか女性の「じ」の字にすら触れておりません。
正直な話、この発声法を私自身が必要とは感じていないように思います。使えこそするものの、元々地声は低めなので…しかし今回新発声法について見直すにあたり、これを必要としている人は恐らく世の中に居るだろうとの事で、こうして発表する事に決めました。
本音では動画を上げたいところではありますが、生憎と発見者は動画編集の技術を持ち合わせておらず、まだまだ先の話になりそうなので、ひとまずこの場で大まかな内容をお伝えしようと思います。実例や実演が無いためイメージが湧きにくいとは思いますが、少しでも多く習得出来る人が出る事を心より願う所存です。
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◎概要
少し話は逸れますが、既に「男性が女声を出す発声方法」である「メラニー法」と呼ばれる発声法が、アメリカのメラニー=アン=フィリップス氏によって発見されていました。これは喉の手術を行わずして男性或いはトランス女性が女性の声に似た響きの声を出す為の発声法ですが、こちらに関しては世間に情報が多く出回っていますので、気になる方はそちらの方を調べてみて頂ければと思います。今回はあまり深く触れるつもりはありません。
しかしそれとは対象的な発声法である「女性が男声を出す発声法」に該当する発声方法は、現状確立されて居ないのではないでしょうか。私も嘗てネットや書籍においても見かけた事がありませんし、そもそも知りもしませんでした。当時、まるで根性論を突き詰めたような過酷且つ先の見えないアプローチ方法によって、数少ない方々が辛うじて男声を出せると言った状況となっている様子を目の当たりにした記憶があります。
現状男声を用いて活躍されている方々も複数見受けられますが、彼ら彼女らの習得経緯を一般人が準えようとしても大半は上手く行かないと思われますし、私自身それを見てみた感じ、余程の決意と覚悟が無い限り途中で投げ出してしまいそうな代物だと思いました。現時点では、それ程までに男声の習得は非常に困難なものだと言えるでしょう。
しかし2019年、当時高校三年生だった私が「女性が男声を出す発声法」を偶然発見。そして今年、この根性論と先の見えない習得経路に終止符を打つであろう、新たな発声方法を発表する運びとなりました。発見されて数年経ちますが、正式名称は現状定めていません。(ここでは「メラニー法」とは対の意味を為す発声方法となるであろう事から、ここでは私の名前である「ユウジ」から適当に持って来まして「ユージー法(仮)」と明記させて頂きます。サラッと本名と実年齢をばらす怖いもの知らずの私…)
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◎ユージー法(仮名)とは?
簡潔に言えば、女性や地声の高い方が男声に似た響きの声を出す為の発声法です。その他にも用途は無くもないのですが、それはまた後程紹介しようと思います。
現状恐らく多くの方々の共通認識として、男声の習得には「地声」から直接「男声」に繋げるような無理難解なアプローチ方法を取らざるを得ない、と言うものがあると思います。ところがこのユージー法(仮名)では、「地声」と「男声」の間に「風邪声」と呼ばれるプロセスを一つ挟む事により、男声の習得難易度を比較的容易にしてくれるものとなっています(メラニー法が「地声→カエル声→女声」とアプローチするのに似ています)。習得難易度的にも、個人的にメラニー法とそう大差無いと自負しています。
そしてメラニー法は日常生活でも使っていける素晴らしい発声法ですが、こちらもメラニー法と同様、コツを掴めば日常生活で使用する事もそう難しくないように思われます。洗練させる事で、比較的自然な男声を出す事も出来るでしょう。
余談ですが、私の言う新発声法とは、この「男声」に加え「風邪声」も含めて定義しています。つまり「新発声法=「男声+風邪声」」と認識しておいて下さい。(まあここは発見者のエゴみたいなものなので、無視してもかまわないとは思いますが…)
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◎習得経緯、発見経緯
※必要の無い項目ですので、興味の無い方や、一早く男声を習得したい方は全然飛ばして貰って構いません。
その場合は次項目の「用途」も飛ばして、その更に次の項目である「四大原則」にレッツラゴー!
事の発端は、私が風邪を引いて声をガラガラに嗄らしてしまった事でした。この時何を思ったのか、「このガラガラ声を普段から出せないか?」なんて思いつきに至り、そのガラガラ声の感覚をみっちりと覚えておきました。風邪を治した後も、不思議と忘れる事は無かったですね。
そして更に風邪が治った直後に、今度は「喉ベースを習得したい!(結局出来ませんでした……)」などと思い立つ、変わり者の私がそこにいました(一瞬、先の思い付きは忘却の彼方へ…)。当時「その為には喉を鳴らす必要がある」と聞いて喉を鳴らしてみたのですが、この時に喉ベースの音ではなく、偶然ガラガラとした声のような何かを出す事に成功します(ここで伏線を回収しました)。これが俗に言う「風邪声」に該当します。
その後暫くの間このガラガラ声を出すのに何故かドハマリしてしまい、人が居ない時を見計らってガラガラ鳴らしていたのですが(一時期、近くを通りすがった見知らぬ人から白い目を向けられたのもいい思い出…)、その過程の中でガラガラ声の中に僅かながら鼻声が混じっている事に気付きます。そこで何かに気付きつつあった私は、喉のガラガラを弱め鼻声を強くしてみのですが…なんと件の男声(俗に言う「ダンディ声」に該当します)を出す事に成功し、同時に確証こそなかったものの不思議と「これ、女性でも出せるヤツだわ」と確信したのを覚えています。
その後は検証を重ねたり、実現可能そうなアプローチ方法を探したりしながら季節は巡り…半分遊び感覚で色々と試行錯誤してた結果、実際にこの発声法が女性に通用する事は確認出来ましたし、アプローチ方法に関してもある程度目処が着いてきたっぽいので、こうして発表するに至った次第です。
以上のように、この発生方法は発見されてまだ数年しか経っていません。私以外これと言った習得者もおらず、現状分からない事の方が多いので、詳細に関しては今後に期待と言う形にさせて頂きたいと思います(発見者は意外とその物事について無知なケースが多いのです…)。
余談ですが、発見者自身も声のコンプレックスを抱いていた時期があります。
自身の身体的性別は男性で、声も平均的な高さの男性の声です。これが性自認がヘテロセクシャルならば何事も無かったと思われますが、生憎と私はMtXの無性タイプであり、「何故私は男でも女でも無いのに、男性の声しか出せないんだ?」と疑問を抱いていました。今となっては懐かしい思い出です。それを克服すべく、とりあえずメラニー法を習得こそしたものの、これにてお悩み解決とは行かなかったのが現実です。
今度は「何故私は男でも女でも無いのに、地声と女声しか出せないんだ?男声は何処に行った?」と悩み始めました。しかしこれに関してはネットで調べてもこれという方法が無かったものの、実は悩み始めた直後に運良く男声を発見したので、私の中では思いの外あっさりと解決されたなと言う印象があります。最終的に今では「地声、女声、男声」と三種類を習得するに至りましたが、お陰様で声のコンプレックスに関しては何も抱く事が無い状況に落ち着きました(それぞれの精度には目を瞑ります)。この解放感や爽快感と言ったら、実に甘美で心地好かったですね(どうでもいい情報…)。
このように、恐らくですが「トランス男性だけど、女性の声しか出せない…」であったり、「男性だけど地声が高い…」などと悩んでいらっしゃる方々も少なくない筈。結果的に私にとっては自己満足以外の用途が無い宝の持ち腐れとなった訳ですが、これが当て嵌まらない人も大勢いらっしゃる事でしょう。個人的には、そのような「本当にこの発声法を望んでいらっしゃる方々」にこそ、この発声法を知って頂きたい!そして習得して頂く事で何とか、そのコンプレックスの解消に少しでも役に立てばと切に願うばかりです。(私個人に関して言えば、男声に関しては習得したはいいものの日常生活で使う場面が殆ど存在せず、先ほども申し上げた通り、完全な宝の持ち腐れとなってしまっています(泣)。しかし本当に必要とされる方々からすれば決してそのような事にはならないであろうと思われますので、こうして発表するに至った次第です)。
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◎用途
一応今回は「女性が男声を出す発声法」としてこの新発声法を紹介していますが、実はそれ以外の用途に関しても幾つか発見するに至っています。
勿論確定事項ではありませんので、飽くまでも発見者がこう思ってるんだ位の認識で居て頂ければと思います。間違ってたらごめんなさい、判り次第訂正します。
①女性や地声の高い男性でも男声が出せる。
この発声法を用いる事によって、どんな人でもある程度男性の声に近い響きの声を出せるようになります。これに関しては男性が女性の声に近い響の声を出す為の発声法「メラニー法」の真逆の用途であると認識して下さって構いません。
そしてその肝心の男声にアプローチする過程でも「メラニー法」に類似する点があり、「メラニー法」が「アニメ声」→ナチュボ(ナチュラルボイス)とアプローチするのに対し、「新発声法」は「ダンディ声」→ナチュボとアプローチする形になります。因みに風邪声は、この「ダンディ声」を習得するのに必要な必修過程と認識して下さればと思います。
無論人によって声質や声帯の特徴等の違いはあるので確かな事は言えませんが、検証結果を見る感じでも、大体の人が男性の中音域に当たる音域までは出せるようになるとは思っています(発見者は男声よりも地声の方が低い音程になる人間なので確実ではありませんが…) 。とは言えまだ分からない部分も多いので、もしかすると期待に添えない結果で終わる可能性も無きにしも非ずです…
尚、この新発声法の男声に対する基本的な考え方は「音域を下げる」事よりも「声の響き自体を変える」事に重きを置いた発声法であると自負しています。しかし同時に低音域を広げる役割もあると思っていて、発見者の体感ですが、この新発声法の習得によって低音域がより出しやすくなったような気はしています。正直ここは自信がありません…元々低音は結構出るので…
②風邪声
風邪で喉が枯れた時、その一番酷い時のガラガラ声を出す際、地声と適度に混ぜ合わせる事でリアルに表現可能です。そもそも風邪声と表現している辺り、出す時のメカニズムはガラガラ声と比べてみても体感殆ど同じだと思っています(上記のように、私の習得経緯も元を正せばこのガラガラ声でした)。
一応新発声法を応用する事によって健常者でも風邪を装う事が出来るようにはなりますが、くれぐれも悪用は厳禁です。その際に発見者は一切の責任を負いません、ご了承ください。
③最低音域の認知、低音域の開発
少しだけ話を逸らしますが、現代において「高音域」の開発に関してはそれなりに進んでいるように思っています。チェストボイスからミドルボイスに繋げ、その先にファルセットと言う形で基本形が存在し、そのファルセットの中にもヘッドボイス、スーパーヘッドボイス、ホイッスルボイスと言った様々な発声法が存在しています(発見者は基本的に高音苦手ですが……)。因みにこれを繋げて行く際によく「壁を超える」なんて表現をされますが、高音域に関しては比較的多くの「壁」が発見されており、ここに書いてあるだけでも最低四つは壁を超える事が出来ると証明されているようです。
しかしそれとは対照的に、「低音域」に関してはまだまだ未知数な部分も多く、現状チェストボイスが最低音域とされていました。そしてこれより下は存在しないと言うのがこれまでの定説だったのですが、実は今回発見した新発声法により、チェストボイスの下に一つだけ「壁」が存在する事が判明しました。その「壁」に相当する位置で、特殊な発声を行う事で出せるのがこの風邪声になります。
風邪声に関しては個人的に「声」と言うよりかは「音」に近いイメージを持っているので、正直な所これらを一括りにするのは如何なものかとは思いますが…知る限りだと、この風邪声が「人類に出せるチェストボイスにおける最低音域」に該当する声?音?であると自負しています。私自身の感覚もありますが、チェストボイスのままでは理論上、これ以上低い音を出す事は出来ないと思われます。
そして男声(ここでは「ダンディ声」)ですが、音域的に見ればこの風邪声と同等か、それより上の音域で発する事の出来る声となっています(息遣いを工夫すれば、風邪声以下の音域にも手を伸ばせるはずです)。
一応新発声法の基本的な考え方として、「人類に出せるチェストボイスにおける最低音域である風邪声を事前に習得してしまい、その後地声のある上方向に戻りながら、その間の音域にある男声を出す」というものが存在します。これまでは「下方向に対して無理矢理押し広げるようにアプローチしていた」所を、この発声法では「最低位置を知った上でそこから元に戻る方向性でアプローチを進める」ので、以前と比べて比較的労力を用いる事無く男声を出せるという寸法になっています。 低音域も伸ばせますが、男声の習得だけなら上方向に戻るアプローチで習得可能なので、一先ずはこの考え方で習得を目指してみて下さい。
④声帯の調整(※もしかするとデタラメかもしれません)
発見者に専門知識が無いので断言は出来ないものの、風邪声は声帯とは違う部位である「仮声帯」を振動させて出す「音」だと認識しています。そもそも風邪声の出し方は風邪で喉周り及び声帯が腫れ、まともに声が出せなくなってしまった時に出る「ガラガラ声」の出し方と殆ど同じです(声を枯らしてみれば解ると思いますが…)。そしてこれを言い替えてみれば、風邪声は「腫れて使い物にならなくなった声帯に負担をなるだけかけない」ような出し方をしている発声法であるとも言えるでしょう。
風邪声の音は、一見耳を塞ぎたくなるような大変聞き苦しい音に聞こえ、何も知らない人がそれを聞く限りでは「喉を痛めそう」だなんて思っても何らおかしくないでしょう。しかし出している本人からすれば、喉を痛めるどころか、適度であれば風邪声を出した後は若干喉の調子が良くなっているような感覚さえあります(無論やり過ぎは禁物です、やり過ぎると喉が痒くなりますし、乾いて声が掠れてしまいます)。
勿論発見者に専門知識が無いので確かな事は言えないのですが、個人的にこの風邪声は声帯の調子を整えてくれる役割もあるのでは無いかと推測しています(男声は地声と殆ど同じものという認識です)。局所を除いて全身の脱力も適っていますし、呼吸法に関しても理にかなった方法で行っていますし、風邪声自体が喉に無理な負担を与えるような発声法ではありません。とは言え何処かの部位を高速で振動させて出している音になるので、もしかするとここを痛めると言う可能性はあるものの、少なくとも声帯自体には非常に優しい出し方をしている可能性が高いです。
また個人的に、正しい発声を行う為に必要な体中の筋肉を鍛える為のトレーニングにも役立つのでは無いかとも推測しています。声帯を使わずに、その「強くて短い息が必要」と言う特性上声を出すよりも局所により多めの負担をかける事が出来る為、鳴らし続けて居ると喉が痒くなると同時に局所(個人的には上半身全体)の筋肉が疲労している感覚に襲われます。確かな事は言えませんが、恐らく局所の筋トレのような方法としても使う事が出来るのでは無いでしょうか(誰かこの新発声法に興味のある科学者の方、宜しければ発見者に構うこと無く研究してみて下さい)。
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◎新発声法の五大原則
この新発声法…もといユージー法を習得するにあたり、抑えておかねばならない点が五点存在します。これらは男声を出すにあたって基本的な要点ともなりますので、習得前にしっかりと把握しておくと良いでしょう。それが…
①全身の脱力
②鼻と口と喉の空間を最大限広げる
③強くて短い息
④仮声帯を振動させる
⑤適度な水分補給
…となります。
また大前提として、ユージー法は「地声」→「風邪声(ガラガラ声)」→「男声(ダンディ声)」とアプローチして行きます。ユージー法に則った方法で男声を習得する為には、事前に「風邪声」を挟むのを原則としておりますので、それを踏まえた上で下を見ていただければと思います。
※余談、態々間に風邪声を挟む理由について。
実はこの「風邪声」は「低音域の開発に必要不可欠な「仮声帯」のみを震わせて出す音」に該当し、体感男声を出すのに必要なポイントを全て押さえた状態で出せる「音」になります(これをある方法で意図的に「声」に変換すると「ダンディ声」になります)。極端な話「風邪声」を習得するだけで、男声を出すためのノウハウやコツを粗方習得したと言っても過言ではないと思われる代物です。
そして一見遠回りに見えるとは思いますが、多分直接「声」を出そうとするよりも何倍も簡単に習得に至れる可能性が高いです。また一度この「音」を出せるようになっておく事でより男声に関心を持った上で練習が出来る他、仮声帯を振るわせるコツをいち早くつかむ事が出来、最終的にこの風邪声を出せるようになっておくだけで男声そのものに安定性が増すとも思われます。無論、風邪声を介さずとも男声が出せないと言う事はありません。しかし男声を安定させる為にも、コツを掴むためにも、私は風邪声を事前に習得しておく事をオススメしています。
①全身の脱力
……これが出来て居ないと、そもそも風邪声を出す事が出来ません。
力みは風邪声を出すのに最も邪魔になる要素の一つと言えます。しっかりと肩の力を抜いた状態で、リラックスして習得に臨むようにしましょう(とは言えやはり局所に力を入れる必要はあるので、完全に全身の力を全て抜くという訳には行きません。しかし習得前の段階でこれを意識する必要はありません、全身の脱力だけ意識して臨んで下さい)。
②鼻と口と喉の空間を最大限広げる
……これが出来て居ないと、そもそも声が低くなりません。
これまでの男声アプローチでは「喉を下げる」、「胸で声を響かせる」等の理論が飛び交っていましたが(無論間違ってはいません)、ここに関しては正直な所、私の中では「口内及びその周辺の空間をなるだけ広くとる」と言うイメージだけで構わないと思っています。その際に「鼻と口と喉の三箇所の空間を等しく広くとる」感覚で居るのですが、これを脱力した状態で体現出来るかどうかが運命の分かれ道となります(こう脅してこそいますが、コツさえ掴めば然程難しくない筈です)。後はこれに加えて①③④の三要素を押さえてさえ居れば、難しく考えずとも男声習得に行き着くことは可能だと思っています。
しかしこれに関しては、やはり他の三要素と比べてみても一番体現するのが難しい項目であると言えるでしょう。第一イメージがイマイチ湧きづらいかもしれません。後程アプローチ方法を記述しますが、その通りにやってさえ頂ければ意識せずとも自然とこれを体現出来るようになりますので、あまり深く考えること無く、気楽に習得に臨んで頂ければと思います。
ちなみに私のイメージでは「口腔内を立方体に捉え、鼻腔から下方向に向かって空間を押し広げる、或いは落とし広げる」ようにしています。腔内の左右は壁があって広がりませんし、前後は息の通り道な為そもそも押し引きが出来ない。故に上下いずれかの方向に広げるわけですが、地球には重力がありますから上に向かって押し広げるよりも、下にストンと落とす方がより脱力して口腔内の空間を広く確保する事が出来ます。少しばかり力を入れる箇所もありはしますが、やはり脱力がキーワードですね。これ大事、テストに出ます。
※なお、ナチュボを出す際には話が少々変わってきます。飽くまでもここでは「風邪声」の習得について重要な項目となるので、「ダンディ声」以降については後述をご覧ください。
③強くて短い息
……これが無いと、そもそも「音」が上手く鳴りません。
これは一応、「風邪声」に限った話です(男声を出す場合は太くて長い息を意識する事になります)。
風邪声は体感地声とは全く別のメカニズムで出している「音」であり、一回の息で長い時間出し続ける事はそもそも不可能だったりします(私の場合、持って一秒)。この音をしっかりと出す為には「ハッ!ハッ!」と言うような「豊富且つ強い息」が欠かせないので、躊躇せず「強くて短い息」と言うものを心掛けるようにして下さい。
そして態々風邪声を挟む理由にも繋がるのですが、男声は女性が普段使わないような身体の部位を用いた呼吸方法(俗に言う腹式呼吸?)を用いる必要があります。普段から使い慣れていないであろう出し方をするにあたってその呼吸方法の練習に風邪声が最適であり、この強くて短い息で音を鳴らし続ける事によって呼吸の感覚を掴める他、同時に男声を出すのに必要な局所の筋肉を鍛える事ができます。風邪声を出しながらここをしっかりと鍛えておく事で男声の出しやすさが格段に上がるので、やはりこの風邪声に関しては端折る事無く習得しておくのが最善だと思われます。
尚、息遣いが風邪声と男声で異なる旨を先述しましたが、この息遣いについては習得の過程の中で自然と移り変わるものなので、あまり気にしなくても構わないと思います。
④仮声帯を振動させる
……これが風邪声における根幹となるポイントです。
口述しますが、チェストボイス異常に低音域を広げるのに欠かせないのが「仮声帯の振動」になります。これは声帯の上部に位置する粘膜のひだで、普段の発生時に振動する事は無い部位になります。正式名称は余剰声帯とも呼ばれるようで、主に「発声時の空気の量を調整する」、「喉の保護」、「腹圧上昇」などの役割があるようです。
理論としては、この「仮声帯の振動」と「声帯の振動」を上手くミックスする事で低音域を拡張させる事が出来ます。その方法の一つにカルグラと言う特殊な発声法がありますが、男声はこれとは違った方法で発声を行う事で実践できる訳ですね。
ユージー法の習得以前に仮声帯の振動を体験した事のある人は多くないと思いますし、その振動のさせ方もコツを掴むまでは難しいと思われます。いきなり「声帯の振動とミックス?」なんて言われても大半の人がちんぷんかんぷんになっている事でしょう。しかし仮声帯だけを振動させる技術?である風邪声をいち早く習得しておけば、それも解消される事と思います。
ここでは一度難しい話は無しにして、感覚的に風邪声を習得しておくと良いでしょう。それに慣れさえすれば後はどうにでもなります。何れ理論的な理解が必要になる時は来ると思われますが、それはその時に学習するでいいと思うんです。何せ風邪声を習得するのにやり方さえ知っておけば、その段階では理論的な理解は必要ない訳ですからね。
⑤適度な水分補給
……これをしないと音が掠れて綺麗に出なくなります(一度に大量の息を吐く為、喉の乾きにはくれぐれも要注意)。
別にこの発生方法に限った話ではありませんが、喉は乾燥に非常に弱い器官です。今回紹介する方法は「発声法」なので必要以上に喉を痛めると言う事はありませんが、それでも何処かしらには、声を出すのと同じ位の負担はかけるものだと思っておいた方が宜しいと思います。そしてこのユージー法の練習をする際にも、こまめな水分補給は欠かさないように気を付けてください。
私も喉を強く鳴らし過ぎると、喉付近が痒くなる感覚があります。出している音の割には軽い負担ですが、全くのゼロと言うわけにはいかないので悪しからず。何事も無理は禁物なのです。
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◎アプローチ方法(主観)
※必ず、最後の「習得完了」の部分まで到達してから次のステップに進んで下さい。基本は大事なので、慌てずじっくり進めていきましょう。
※始めに。
アプローチ方法ですが、まず上の「五大原則」を見て大半の方は真っ先に「欠伸」を思い浮かべると思うのですが、実はこの新発声法は「欠伸」では無く「溜息」を用いてアプローチします(これ、結構盲点だったと思います)。
残念ながら「欠伸」は「鼻口喉の空間を広くとる」事こそ出来るものの、それを全身に力を入れながら行っている為に「全身の脱力」と言う点で条件を満たす事が出来ておらず、実は男声の習得に用いると言う観点からするとあまり相応しくありませんし向いてもいません。なので皆さん、習得の際には「溜息からアプローチする」と言うのを念頭に置いて習得に臨んで頂ければと思います。
さらにこの「溜息」ですが、男声(ダンディ声、ナチュボ)を出す上で基本または基準となる息遣いに該当します。かなり重要な要素なので、しっかりと脳みそに刻み込んでおきましょう。
そして今回ですが、現状最も可能性の高いと思われるアプローチ方法を紹介しようと思います。新発声法を習得するにあたって、それらの過程を四段階(4STEP)に分類する事にしました。基礎は大切と言う観点からも、基本的には各段階でこの「習得完了」の状態に到達出来ましたら次の段階に進むようにして下さい。
〇STEP1……音が出る溜息
ユージー法の第一関門、「風邪声」の習得にあたり押さえておきたい項目です。
「風邪声」の一歩手前まで習得する事で「習得完了」となりますがこれが、一度ここで一早く風邪声のコツを掴んで頂こうと思います。風邪声は男声と直結する代物ですから、ここで得たコツは後程男声のコツを掴むのにも大きく役立つ事となるでしょう。これが出来るようになるだけで、風邪声の習得がグッと近づく筈です。
①溜息をつく。
特筆すべき点は特にありません、普段ついているように口を開いて溜息をついて下さい。息遣いは下方向に向かって、脱力すると同時に息が抜けていく感覚です。息を吐くと同時に、肩を落としながらため息をつくようにすると良いでしょう。
この時、羞恥心や周りの目はなるだけ気にしないようにしつつ、息を吐くと同時にきちんと全身の脱力が出来ているか確認しておいて下さい(ここでちゃんとした溜息をつけるかどうかが重要です、変に力んで「ただ溜息のように息を吐くだけ」にならないように気を付けましょう)。
余談ですが、ここで言う正しい溜息は、「大体2秒弱で息を吐き切ってしまう溜息」になります。もしあまりにも息が長く続く場合には、正しい溜息になっていない可能性が高いです。今一度確認してみて下さい。
②声または音を出しながら溜息をつく。
溜息をつけるようになったら、今度は「ハァー」と実際に声を出しながら溜息をついてみて下さい(物凄く疲れている時など、意図せずとも溜息に声または音が混じることがあると思います。そのイメージです)。この時、息を吐く祭に「意識的に声を出す」のでは無く「無意識に声または音が出る」感覚で行うように気を付けて下さい。
そしてこの時も前と同様、声を出しながらちゃんと溜息をつく際に全身の脱力が出来ているか確認しましょう(コツとしては、重心を落としながら息を下顎に沿って下方向に向かって吐き、どちらかと言えば喉声よりも鼻声を混ぜてやるイメージでやると良いと思います。力んで声を出しているだけになっている場合は、息を吐いている方向が前や上に向かってしまうと思います。飽くまでも「溜息をつく」と言うのが基本の形です。もしどうしても力んでしまうようなら、無理せず声を出さずに溜息をついてみて、その時の息の仕方や向かう方向等を確認するようにしておきましょう)。羞恥心は最大の敵です。
③上を向いた状態で、②を行う。
②が出来るようになったら、一度全身に力を加えて盛大に力ませた後、肩を落としながら上半身の力を一気に抜いてみてください。両手を握り、肩をすぼめ、歯を食いしばり、顔を顰めながら上半身を全力で力ませ、それを一瞬で脱力。それによって無意識に顎関節が外れながら開き、且つ頭の自重によって顔が無意識に上を向いてしまった状態を作って頂ければと思います(ここで周りの目を気にしない方が良いです、思いっ切り脱力してください)。それが出来たら、今度はこの上を向いた状態で②でやったように「声を出しながら」溜息をついてみて下さい(この時息をとりわけ多めに、大胆或るいは大げさに溜息をつくと習得しやすいです)。くれぐれも口から息を吐くのではなく、飽くまでも下顎の両関節の中央付近から息を真下に落とすイメージ、その上で鎖骨の中央付近を振動させるイメージを持ちましょう。
この時に上手く出来ていれば、声が裏返るような感覚と共に意図せずとも喉が鳴って、声の代わりにガラガラ或いはゴァァァと言う変な音が鳴るようになります(録音してみたり傍から聞いてみたりすると、物凄く喉を痛めそうな耳障りの悪い轟音が聞こえます。しかしその音を出している本人は、然程喉に負担をかけず音を出す事が出来ます)。ため息が鼻にかかっていた感覚が殆ど無くなり、代わりに意図せずとも喉が鳴るようになる筈です。この段階に到達出来れば「習得完了」となります(このガラガラ或いはゴァァァと言う音が風邪声の正体です。これは仮声帯を振動させた結果出る音に該当するのですが、これが出せるか否かが新発声法を習得出来るか否かを大きく左右します)。
ここで普通に声が出てしまう場合は上半身に力み(特に顎に注意)があるか、そもそも正しい意味での溜息になっていない可能性が高いです。もしくは、息を吐く方向が上擦っている可能性があります、その場合は真下(下顎の方向)に向かって息を落とすイメージを持って試してみて下さい。またはいっその事、「声を出す」意識では無く「喉を鳴らす」意識だけ強く持ちながら試してみてもいいかもしれません。
また別の可能性として、顎が外れた状態でポジションを作れていない可能性があります。その場合は顎をこれ以上開けなくなる位最大限に開き、そのまま上を向き…その状態で顎周り含め、可能な限り上半身の力を抜いてください。すると同様にポジションが作れると思います。
ただいずれであれ、しっかりと脱力しつつ「溜息をつく」という点を忘れないように行ってみて下さい。もし上手くいかなければ➁をももう一度おさらいしましょう。
※もしどうしても上手く行かない人は「荒い息切れ」を意識して試してみて下さい。STEP2の②にて後述してあります。
※もし風邪声が正しく出来ている場合、顎の筋肉が非常に疲れます。これはダンディ声にも同様に言える事ですが、風邪声の場合、鳴らしていると直ぐに顎が筋肉痛になる事でしょう。これは慣れを重ねたとて改善されるものでは無いので覚悟して頂きたい所存ですが、参考としてチェック項目の一つに加えておくと良いでしょう。
〇STEP2……風邪声
ユージー法の第一関門「風邪声」を本格的に習得していきます。とは言え、STEP1を無事突破できた方ならば比較的容易にコツを掴む事が出来るでしょう。しかしここで肝要なのは風邪声を安定して出せるようになる事。その為には局所の筋肉を鍛える必要があり、主にそのトレーニングが中心となる項目です。地味で退屈なSTEPではありますが、このトレーニングが意外と効果的。後々で殆どの人が「やって良かった」となる筈です。この地道な積み重ねこそがきっと、皆さんの快適な両声類ライフの実現に大きく役立つ事となるでしょう。
※必ずSTEP1で「習得完了」してから進んで下さい(息を強くする以前に、溜息を出すと同時に音が出る感覚を身体で覚える事が肝要です。何なら音を出す事に慣れてから次の段階に進んで貰った方が良いかもしれません)。
①溜息をする際に吐く息の量を増やす。
音が出るようになったら、次第にで良いので吐く息の量を意図的に増やして行って下さい。最初は溜息をつく直前に大きく息を吸い、吐く息の量を少しづつ増やすイメージで大丈夫です。それに慣れてきたら、今度は息を吐く際に勢いをつけて出すようにして行くと良いでしょう(兎に角、回数をこなすようにして下さい。決して焦ること無く、まずはこの音を鳴らす感覚をしっかりと自身の身体に染み込ませるようにしましょう)。
そんな感じである程度喉を鳴らす感覚に慣れて来たら、息を吐く祭、必要な箇所(鳴らし続けて行けば、何処に力を入れれば「音を出し続けながら息だけを強く出来るか」が感覚で分かると思います。これを私は「局所(多分顎の筋肉や腹筋周りが中心になるかと…)」と呼んでいます。この局所に力を入れる事で意識的に強くして行きましょう。
女性の方等は、初めの内は使い慣れない部位を酷使する必要がある為に気持ち悪く感じたり、物凄く疲れたりする事と思います。しかし回数をこなして局所に筋肉がついてくれば、その内に慣れるでしょうし、さ程苦手意識を抱く事無く大きな音を出せるようになると思います。
➁溜息を短く切る
次に「ハァー」と長く出していた溜息を、局所の腹回りの筋肉に力を入れる事で、強く短い息を「ハッ!ハッ!」と出すようにします。この時、息遣いのベースは溜息のままで、息を素早く吐き出すイメージで行うと良いと思います。この時私は、「腹筋を用いてお腹を潰す」位のイメージでお腹周りに力を加えています(これを意識すると、自然に息遣いを強める事も出来る筈です)。
別の言葉で例えるなら、運動後の荒い息切れのイメージが近いでしょうか。激しい運動の後に出る「ゼー、ゼー」と言う息切れに該当します。実はこの「ゼー、ゼー」と言う音も風邪声と同等の音になっていますので、息切れをすると同時に喉が鳴る感覚が体に覚えさせられるようになれば、この段階はクリア出来たと考えてよいでしょう。(但し息切れを意識する場合、息が浅くなり息の量も少なくなりますので、普段の息切れ以上に多くの息を使うように意識し、お腹の底から大胆に息を吐くようにしましょう。)
繰り返すようですが、息は豊富に使い勢いをつけながら溜息を吐くことで、それなりに大きい音や強い音が出せるようになるでしょう。この「強い音が出せる」というポイントが男声安定のカギになりますので、ここでは「息切れ」を用いる等で反復練習を重ね、強い音が出せるかどうか入念にチェックする事をお勧めします。
③溜息を使わずに音を出す。
溜息と同時にある程度意識的に強い音を出せるようになったら、今度は溜息をつかず、自然な状態から意識的に音を出すようにして行きます(①の段階である程度強い音が出せるようになって居れば、ここにはあまり苦労する事無く持って行けると思います)。➁が出来ましたら、➁の段階で溜息として出していた息の流れを切り替えます。厳密には下方向に出していた息を、主に僧帽筋の前方向への押さえを用いて前方向に強く出すようにしましょう(これが新発声法において基本中の基本となる「風邪声」に該当します)。
イメージとしては、溜息の形で下方向に抜いていた強めの息を、今度は喉に直接当てるようにするとよいでしょう。地声を出すのと同様の方向を意識し、息の流れを若干上方向に切り替えると➁以上に大きい音が出せるようになると思います。もしくはミックスボイスと同様に、僧帽筋を用いた方法を用いてもいいかもしれません(この項目については後述してあります)。あまり上方向に向けすぎると音が掠れてしまうので、飽くまでも前方向に強く出す意識を強く持っていれば問題ないと思います。
この時、しっかりと「顎の筋肉」と「お腹周りの筋肉」が使えていないと大きい音が出せないはずです。その場合は何度も反復して見に覚えさせつつ、尚且つ意識的に息の量を次第に更に強くして行くようにして下さい(ここでしっかりと回数をこなすようにして下さい、これが楽に出来るようになっていればより楽に男声を出せるようになります)。そして最終的に、音を出すと同時に喉が痒くなる位にまで強い音が出せるようになったら「習得完了」となります。ここまで来ればもう何も心配はありません、次のステップに進んでしまいましょう。
※リアルな風邪声を出すには?
普段喋っている時の息の量と同じ(ないしは若干多い位の)息の量で風邪声を出しつつ、適量の鼻声を混ぜて喋るとそれらしく聞こえます。喋っていると思た以上に息切れしやすいと思いますが、それで構いません(寧ろそれくらいの方がリアリティがあって良いです)。
分からなければ、一度風邪をひいて声を枯らしてみて下さい。くれぐれも悪用は厳禁です。
〇STEP3……ダンディ声
「ダンディ声」は男声を出すにあたって、それら全ての基準となる発声となります(メラニー法で言う所の「アニメ声」です)。ナチュラルボイス(ここではナチュボと表記します)を出す前に、この「ダンディ声」をしっかりと出せるようになっておくことを強くオススメします(ダンディ声は現状男声と呼ばれる声の中で最も低い音程の声になっています、ここをしっかりとマスターしておく事でナチュボに安定感と現実味が増します)。
そしてこのダンディ声を習得した暁にはきっと、皆さんが予想だにしないような低い声が出せるようになっている筈です。個人差や違和感はあるでしょうが、録音した際に感動する人が多いと思いますよ。
◎風邪声の形を維持したまま、息の方向を調整する。
風邪声を出している際に、ほんの少しだけ鼻声(鼻にかかった感じの声、または音の響き)が混ざっている事を確認してみて下さい。恐らく風声を強く出せるようになれば、若しくは口を閉じた状態で風邪声を鳴らすようにするとより顕著に、わかりやすくなると思われます。(これがダンディ声の正体です。風邪声の際、息の方向が上に向けば向くほど分かる人もいると思います)。
この時、風邪声を出している際には息の大半を口から下側(下顎)のラインに沿って意識強めに喉に直接強い息を通す、或いは当てるようにしていると思いますが、その息の方向を若干上方向に、もしくは息の通り道または声を響かせる位置を後方(自分の背骨、首の骨を意識)に向けましょう。すると息が鼻にかかり、所謂鼻声の成分が強くなる事でダンディ声に移行する事が出来ます。
ここで一度、息の出所(息がどこから出ているか)を入念に確認してみてください。すると、大体胸やうなじ付近を始点として、そこから息が喉を通って真っ直ぐ前に出ていく感覚が分かると思います。
それを加味したうえで、今度はこの出所を後ろ側の下方向に下げるアプローチを行っていきます。イメージとしては「息の方向を上向きにする」と言うよりかは「息を出す位置を後ろ側の下方向に下げたら息が上向きになった」或いは「息のラインそのものが低くなった(必ず声帯を通るため若干上方向にも感じる)」感覚が近いでしょうか。(因みに、息の方向を上に向けすぎると声が掠れてしまうので注意しましょう)そして息のラインを変え、背骨のライン上で声が響くようになるとダンディ声が出せるようになります。この時、風邪声の時みたく息を前方向に強く飛ばす意識は持たないようにしましょう、ダンディ声は後ろ側で響かせるタイプの発声法になります。
因みに風邪声は喉から出ていた所謂「浅い声」に該当しますが、これを重心と出所を下げる事でお腹の奥から出る「深い声」に変える事でダンディ声が出るようになります。深い位置から出て喉を通る息の流れを意識し、息の流れを切り替えましょう。しかし、飽くまでも息は背骨付近を通りながら下顎のラインに沿って出ていくイメージを持ち、息も下顎の先端か下の前歯(骨格によって変わると思います)に集めるようにしましょう。息が上顎の方に流れると形が崩れてしまい、息が前方向の意識強め、または鋭く細い息遣いになってしまうと上手く切り替わらないので要注意です。
この時、喉周りに力が入ると籠ったような不自然な声になってしまいます。なので喉周りは楽な状態を保っておき、そのうえで息を出す場所を下げる必要が出てきます。この時、先ほど力説しました「溜息」の意識が非常に役立つと思われます。特に音が出る溜息、鼻にかかった溜息が重要なポイントとなってきます。
一度ガラガラ声の出る溜息をついてみて、息の流れや出所を確認しておくと良いでしょう。そして胸から出ていた息をお腹から出るように、そして自分の背骨を意識して背骨のより低い位置、より深いところ(腰或いはベルト付近のイメージ)から溜息と同様の下方向の息を出すようにします。
※イメージ、突然の図解(雑)
上顎 上顎
╰─────────────╮ ╰─────────────╮
鼻 │ 鼻 │
╭─────╭───╮ │ ╭─────╭───╮ │
│ 硬口蓋 軟口蓋│ │ │ 硬口蓋 軟口蓋│ │
│╭────╰──╮│ │ │╭────╰──╮│ │
││ 口 ╰╯ │ ⇒ ││ 口 ╰╯ │
╭──────╮ │ ⇒ ╭──────╮ │
││ ╰╮ 舌 │ │ ⇒ ││ ╰╮ 舌 │ │
│╰── │ │ │╰── │ │
│ 下顎 │ │ │ 下顎 │ │
╰───╮ │ │ ╰───╮ │ │
│ │ │ ↙← │ │ │
← │ ← │息 │ ←☆ │ ↖ │ │
│ │ │ │ │息 │
│ │ │ │ │ │ ↖
│ │ │ │ │ │ ☆
具体的にどうすればよいのか。要点としては先にも挙げた「脱力」を押さえる必要があります。その上で可能だと思われる四つの方法をご紹介しましょう。
一つに軟口蓋を押し下げ、鼻腔を広げる方法があります。押し下げるとは言っても不用意に力は入れず、自然の重力に従って軟口蓋を落とすイメージです。軟口蓋は重心が上がらないようにする為の蓋として、軽く抑えるくらいで良いと思います。或いは上顎の奥歯で下顎を押さえるイメージ、または上顎の前歯や人中を前方に突き出すイメージでもいいかもしれません。これは各々の骨格と要相談と言う所でしょうか…強く抑えすぎると極端な欠伸の形になってしまい、声が籠るので注意。
二つ目は下顎を落とす方法です。特に下顎の付け根(エラが張る辺り)を意識し、ここを斜め後ろに向けて落とすようにします。もしくは下顎の底面(顎下)を意識し、この水平を保ったまま下顎全体を押し下げるイメージでも良いと思います(風邪声の段階で下顎に力が入っていると思いますので、これを更に強める事で対応します)。このやり方は慣れていないと顎が外れそうになるので、元々顎が外れやすい人は十分に注意して試みて下さい。
三つ目は喉の空間を更に広げる方法です。喉元に卵があるイメージで喉を開く、欠伸の要領で喉の空間を広くとるイメージでも良いかもしれません。この時風邪声の形が崩れないように、軟口蓋を用いて上から押さえる、鼻腔を広げるようにすると良いでしょう。顕著にやると極端な欠伸の形になってしまい、声が籠るので注意。
四つ目は先にも軽く触れた「口を閉じた状態で発する風邪声」です。口を閉じた状態で喉を鳴らして頂き、その際に鼻声を強める事で対応できると思います。この状態で口を開き、下顎の先端若しくは下顎の前歯に声を集める意識で発声すれば、ダンディ声を出せるようになる人も居るでしょう。
くれぐれも、風邪声の時に比べ息を若干上方向に切替える必要がある為、形を崩して元の状態に戻らないように注意しましょう。息を上に向ける際にも、軟口蓋や上顎で上から押さえる事で形を維持するか、溜息の意識を強く持ちながら「息の出所を下げる」「お腹(腰)の深い場所、厳密には背中または腰付近から息を出す」イメージを大切にしてみて下さい。或いは男声の基本となる「風邪声」を反復練習しておき、この形をしっかりと体に覚えさせるのも重要になってくると思われます。
やがてこれが成功すると、地声または裏声にガラガラ声の成分が混じったような低くて変な声(普段の地声と全く質の違う「声(人によっては音に聞こえるかも)」になるので、人によっては一瞬声と認識できないかもしれません。ガラガラという響きも多少は残り、風邪声とも少しだけ違う気持ち悪い低い音に聞こえるでしょう。ただ息は風邪声より続きます(私の場合は長くて5秒程度)し、風邪声との明確な違いだけは判るはずです)を出す事が出来ます。これこそがダンディ声の正体です。
纏めると
①風邪声の形を作る(溜息や息切れの意識)
②全身の脱力、自然な状態をキープ
③重心や息の出所を背中側または後ろ側に下げ「深い声」にする事で、息の方向またはラインを切り替える
と言ったイメージでやると良いと思われます。加えて
④下顎の先端または下の前歯付近に息を集める
イメージを持っても良いかもしれません。
(改めて、「風邪声」の形は男声を出すのに必要なポイントを全て押える事が出来ています。具体的には
①脱力した状態
➁下顎の筋肉を用いた喉を開く形
③溜息の如く「柔らかく太い息」を出せる形
④男声を出す際に必要な「下顎の筋肉」と「お腹周りの筋肉」を使える形
⑤男声の基本となる「背骨を軸に下顎のラインを通る息遣い」
⑥低音開発の基本となる「仮声帯を振動させる」形
といったところでしょうか。一度風邪声の習得で息遣いを溜息から切り替えはしましたが、これは筋トレの意味合いが強いです。結局ダンディ声のアプローチの段階で溜息の息遣いに変化させますが、一度風邪声の溜息から切り替えた形を経由する事で、息遣いを変える際前の形に戻るのを防止する事が出来ます。やはり筋トレを怠ると男声の形を維持できず、それに応じて男声が安定しなくなってしまいます。なので事前に筋トレをしておくことは非常に重要なことなのです…
それは兎も角、要は風邪声の形を維持さえ出来れば、それを基に男声を出す事が出来るという訳です。なのでまず大前提として、男声を出す前にしっかりと風邪声の形を身に覚えさせるようにして下さい)。
そしてこのダンディ声を意図して出せるようになりましたら、息遣いを太くしたまま「ハッ!」と短く切るのではなく、「ハァー」と溜息の息の出し方を用いて柔らかく長く出すように心がけてください。そうすれば地声程長くは続かないはずですが、数秒間は声を出し続けられるはずです(高音より低音の方が息を多く使うため、地声に比べ息が続きにくいのは自然なことです)。
初めはダンディ声で歌ったり喋ったりする事は困難だと思われますが、僧帽筋や軟口蓋を軽く抑えることで形をキープしつつ、息遣いを変えると不自然ながらも喋れるようになると思います。後、自分のダンディ声に合った喋り口調を探す必要がありますが、こちらは実際に男性の喋り口調等を観察して真似てみると良いでしょう。ある程度馴染んできたら、男性と比べても遜色ない…寧ろ本家よりもよりダンディな男声を出せるようになるはずです。
そうこうして、安定してダンディ声を出せるようになったら「習得完了」となります。お疲れさまでした。
※余談ですが、ダンディ声もメラニー法のアニメ声と同様、息の方向と喉の移動方向が交錯する現象が発生します。アニメ声では「声帯が上方向に動きつつ息の方向が下方向に向く」形にりますが、ダンディ声はその逆。「声帯が下方向に動きつつ息の方向が上方向に向く」形で発声する事が出来ます。ダンディ声が出せている状態だと、息の方向と声帯の移動方向が真逆を向いていることに気付くと思います。息の方向が上を向くとか言っておきながら溜息の息遣いをするので矛盾しているようでややこしいですが、風邪声の形を軸に色々と息の切り替えを試みていただければ、その内自分なりの感覚が掴めると思います(ふわふわしていてごめんなさい)。
〇STEP4……ナチュラルボイス
ダンディ声を安定して出せるようになったら、今度は自然な男声「ナチュボ」ことナチュラルボイスの習得に取り掛かってみましょう。正直に言って、ナチュボに関しては明確にこれと言う正解がない代物となります。故に各々で自分に合ったナチュボを目指して細かな調整をしていく必要がありますが、ここではナチュボの調整に役立つであろういくつかのポイントを紹介して行こうと思います。
①「ミックスボイス」の活用。
ナチュラルボイスと呼ばれる声は、もし明確に定義する場合「男性の喋り声」に該当する事と思います。そしてこの「喋り声」を出すために欠かせないのが「ミックスボイス」の概念です。
「ミックスボイス」とはその名の通り、地声と裏声の中間の響きを持った声を指し、大抵の人が無意識下でこの「ミックスボイス」を用いて会話を行っている事でしょう。「ミックスボイス」と聞くと主に「歌う時に使う声」と言う印象があるかもしれませんが、同時に普段喋る際にも必要不可欠な要素となっています。実際、男性の大半も普段はこの「ミックスボイス」を用いて会話を行っている訳ですからね。
ここで大前提として「ナチュラルボイス」とは何か?解釈によっては「男声のミックスボイス」に該当するとも言えるでしょう。
筆者の感覚ではありますが「ダンディ声=地声」、「ナチュラルボイス=ミックスボイス」と置き換える事は可能だと思っています。筆者の地声はダンディ声と非常に酷似しており、ミックスボイスの要領で喋り声を出している訳ですからね。そうなると、これに準えてナチュボの調整を行う事も可能なのではないでしょうか。
要するにです。「ナチュラルボイス」を出すにあたって「ミックスボイス」の活用も大いに検討すべきと言う事です。身も蓋も無い話ですが、「ミックスボイス」についてはネットのありとあらゆる場所で既に情報が出回っている事ですし、そちらを参考にすると良いでしょう。
筆者では確認しようがないので各々で試して頂きたい所ではありますが、「ミックスボイス」の考え方を転用してダンディ声の調整を行えば、ナチュボを習得出来る可能性は大いにあると睨んでいます。細かい事や調整に関しては、各々の持ち得る「ミックスボイス」の知識や感覚と照らし合わせて確認して頂ければと思います。
一応まとめです。
①「ダンディ声」は、男声における「地声」に該当すると思われる。
②「ナチュラルボイス」は男声における「喋り声orミックスボイス」に該当すると思われる。
③「ミックスボイス」は「地声」に「裏声の要素」を混ぜた声であり、「地声と裏声の中間」に位置する声に該当する。またその際、「地声」と比べ若干音程が上がる傾向にある。
④「ダンディ声→ナチュラルボイス」と変化させるには、男性が「地声→喋り声orミックスボイス」とアプローチするのを参考にすると良さそう。
⑤また男性特有の口調、イントネーションを真似るのも忘れないように。何と言っても「喋り方」自体が最終的な完成形を決める。
〇筆者的ミックスボイス
念の為、筆者が思う「ミックスボイス」についても軽く触れておきます。
私が行っているアプローチは「地声から裏声に近づけた声」と「裏声から地声に近づけた声」の二種類を確認し、それらを繋ぎ合わせる手法です。
しかしこの時、人によってはこれらに差異が殆ど生じなかったり、「どちらも地声と何ら変わりない」と仰せの方もいらっしゃるようです。対して私は「別の声」であると認識しています。と言うのも私の地声が低く、裏声と比べた際にどうしても声質に大きな違いが生じてしまうからです。
その反面、別の声とは言いながらもこれらを限りなく近づけるアプローチは可能でした。可能な限り両者を互いに近づけつつ、それらの繋ぎ方を工夫する事によって、声が切り替わる際の落差を極力小さくすることは出来るようなのです。
具体的なやり方ですが、実はどちらの声を出す際にも要領は大きく変わりません。
前者「地声から裏声に近づけた声」の場合は地声の音程のまま、若干裏声の成分を混ぜていきます。地声の時と比べて、同じように出そうとしても音程が高くなると思いますが、それで構いません。後者「裏声から地声に近づけた声」の場合は裏声のままで結構です。
この状態で喉周りの調整を行う事でミックスボイスを出していく訳ですが…私が刮目すべきと考えるのは二点だけです。
それはズバリ「軟口蓋の抑え」と「うなじの抑え」になります。
前者「軟口蓋の抑え」に関しては、ユージー法の習得に勤しんでいらっしゃる方々なら嫌と言う程試した事でしょう。口周りまたは喉周りの形が崩れないように上から蓋をするかの如く、軽く押さえるイメージです。またこの時、軟口蓋の抑える向きを幾らか前方に向ける事で声が籠るのを防いだり、更に度合いを強めて鼻先に息を集める事でエッジボイスに切り替える事が出来る、と言う側面も存在しています。
後者「うなじの抑え」に関してですが、これがミックスボイスにおける最重要項目であると考えています。ミックスボイスの調整で「喉は締めないんだけど実際には締まっている」なんてあやふやな表現も飛び交っていますが、私が思うに「うなじ周りの筋肉を使って喉を絞める」と表現したいのではないかなと推測しています。イメージとしてはうなじ付近、または首の後ろ側の付け根付近の筋肉に力を入れ、これを前方に押し出すようにして押さえます。
感覚が良く分からない場合には、前方を向いた状態で(この時顔の向きが、上にも下にも向かないように気を付けます)、うなじ(僧帽筋に該当します)に両手を当てて押さえながら調整すると解り易いと思います。そして僧帽筋に力を入れながら、うなじ(手を抑えた中央付近、背骨の極端に骨が出っ張っている付近)を始点とし、鎖骨の中央付近を通りながら前方に息が通るイメージで発声するのです。こうする事によって喉が絞まる感覚を殆ど感じないまま、音程を上げていけると言う寸法です。
但し今回の男声における活用の場合、少しだけ視点を改める必要があるでしょう。
男声におけるナチュボの場合は、裏声と比べてかなり音程が遠い声になり、且つ歌声のように高音域で出す訳では無い事を踏まえるに、ここで特に刮目すべきは前者の「地声から裏声に近づけた声」になるでしょうか?
つまり「ダンディ声から裏声に近づけた声」もしくは「ダンディ声に裏声のテイストを混ぜた声」こそが、ナチュボ習得に大きく近づくのではないかと言う事です。
②音程を変える
皆さんも①の段階で音程は上げていると思うので「今更何だ」と思うかもしれませんが、一応ここで男声における音程の変え方を紹介しておこうと思います。ここでは今までよりも「男声の成分を保ったままより上の音域に上げる方法」、或いは「下方向に音域を広げる方法」について取り扱って行こうと思います。
〇音程を上げる
ナチュボの項目で紹介していますが、特に歌う際や声色を変える際など、様々な局面で必須となってくる重要な項目です。勿論ナチュボにおいても、通常ダンディ声よりも高い音域で発声する必要がありますので、やはり避けては通れない項目となってくるでしょう。
その肝心の上げ方ですが、先にも出た「ミックスボイス」の要領が役に立ちます。
まず男声を出す際に「軟口蓋の抑え」と「僧帽筋の押さえ」が効いている事を改めて確認してみて下さい。そして男声の音程を上げる際には、「軟口蓋の抑え」をキープする事を念頭に置きつつ、「僧帽筋の押さえ」を強める事で対応すると良いでしょう。この時息の流れは変えないように注力しつつ、「軟口蓋の抑え」は音程が高くなるに従って強める意識で(風邪後の形をキープするイメージでもいい)、「僧帽筋の押さえ」も同様に強めつつ、その押す方向を上方向に向ける、或いは力を加える際の始点を下げる事で対応します。僧帽筋の中央付近を始点としていたイメージを、背骨のラインに沿って、肩甲骨の中央を通りつつ腰に向って下げる事で安定感を保つ事が出来ると思います。息の通し方や質は変わりません。恐らく男声を保ったまま音程を上げていくと肩甲骨の下側付近が限界で、腰付近まで始点を下げると力が分散してしまい声が裏返るのではないでしょうか?
そもそも男声の特殊な響きは鼻声による所も大きく、何なら「鼻にかかった溜息」が軸になっているといっても過言ではありません。喉を下げた状態で、この息遣いを用いて胸にガラガラ声を響かせながらショタボを出すと男声になる訳です。そしてこの形を保ったまま音程を上げる必要がある訳ですが、何も考えずに音程を上げようとすると、風邪声の形が崩れてしまい、一気にガラガラ声が抜けて只のショタボになってしまう筈です。故に男声の音程を上げる際には、如何に風邪声の形を保ったまま音程を上げるかが命題となります。
しかし音程を上げると、どう頑張っても喉の位置は上がってしまいます。これは人体の構造上どうしようもない事実です。但し風邪声の形を維持するだけであれば、ある程度の音程までは我慢する事が出来る筈です。喉の位置こそ上がれど、鼻にかかった溜息を維持しつつ胸にガラガラ声を響かせる事は、ある程度の音域までは何とか出来るのではないでしょうか。その後はミックスボイスの出し方を応用して適所に力を加える事で、もう少し音域を伸ばす事が出来るでしょう。
この時、風邪声の形を保つ上で欠かせないのがやはり「上顎(軟口蓋)の抑え」と「僧帽筋の押さえ」の二つとなります。特に喉が上がってしまう高い音程において、二つの要素を強く意識しましょう。喉が上に上がるにつれて崩れそうになる風邪声の形を、僧帽筋と軟口蓋を用いて無理やり押さえつける事でキープするのです。
何度も言うようですが、くれぐれも息の流れは変えないように、下顎のラインに沿って出す形を崩さないように注力しましょう。音程が上がるにつれて舌全体が持ち上がってくると思いますが、ここで息の流れを上方向に向けないように、寧ろダンディ声の時以上に下方向の息の流れを強く意識して発声すると思います。軟口蓋の抑えをキープして溜息に近い息を出せば自然と鼻にかかり、同時に下方向も向くと思いますので、後は僧帽筋を押して下顎のライン(難しければ舌のライン)に沿って息を出すように調整しましょう。
因みにナチュボの場合は音階を一つから三つ程度上げたくらいで調整すると良いと思います。これは人によって異なりますので、ナチュボの調整の際には自分に合った音程を探っていただければと思います。
※大前提として、人間誰しも高音音域の限界が存在します。地声の低い男性でも声が裏返ることがあるように、男声を出している女性または地声の高い男性諸君も何時かは声が裏返ります。そうなりましたら、そこがあなたの男声の限界音域(高音域)だと認識していただければと思います。この限界音域があることを前提において、自分の音域を模索して頂ければと思います。
〇音程を下げる
逆に音程を下げる場合ですが、こちらについては低音強化の基本「ダンディ声発声」と「カルグラ」の二つを紹介します。これらを用いて、各々で工夫して頂ければと思う次第です。
※その前に
ここで紹介する二つの発声ですが、そのどちらも「風邪声」をベースとして発声にこぎつける事が出来ます。一度風邪声の形を作ってから、それぞれへの移行を試みると解り易いと思います。
チェストボイスのまま音程を下げていくと、何れこれ以上下がらないと言う音域に辿り着く事でしょう。その音域で前方向に強く鋭い息を飛ばす意識で発声を行うと風邪声を出す事が出来る筈です。これはメラニー法におけるカエル声に該当する発声になりますので、今一度確認しておくことをお勧めします。
・ダンディ声発声
こちらは主に「溜息の息遣い」もしくは「後ろ側で響かせる発声」を用いて、自分の低音における限界音域を広げる方法になります。この声の出し方が喉声やチェストボイスとは異なる要領になりますので、この場では「ダンディ声発声」と呼称しようと思います。
これは端的に言えば「低音域における裏声に該当する発声」に該当するでしょう。自分の地声の最低音域に到達した段階で、息遣いをより溜息に似たものに切り替える事で声が下方向に裏返って音域が広がると思います。
原理としてはダンディ声と同じです。但し音程を更に下げる場合として、音程が下がるにしたがって上顎や軟口蓋を押し下げながら鼻腔を大きく取るようにし(低音域は主に軟口蓋の抑えを用いて調整を行います)、同時に下顎を前側下方向を意識して外すようなイメージを持ちつつ自重を用いて落としながら喉を開き、溜息の要領で普段に増して息の量を多く柔らかく使う(軟口蓋を押さえると鼻声の成分が強くなるので、これを喉に多く通すイメージ)事で対応します。そうする事で力強さこそ感じられないものの、音域を下げる事だけは出来ると思われますが…どうでしょうか?
この時気を付けることが三つ、まず一つが「リラックスする」事、二つ目が「息の量をケチらない」事、三つ目が「声を遠くに飛ばそうとしない」事です。低音域を広げるにあたって喉周りに力が入ってしまうと喉がつっかえてしまい、声帯が下がらなくなってしまうので、何よりも力みを誘発するアプローチは厳禁です(これが原因で、チェストボイスにおける最低音域に行き着いてしまう訳です)。その為に一つ目のリラックスを前提とし、尚且つ豊富な息を溜息のように柔らかく使う事を前提に、そして声を無理に遠くに飛ばそうとするのでは無く、近くで囁くようなイメージで発声すると上手く行くと思います。
基本的に音程の調整は基本的には「軟口蓋の抑え」を用いて行い、音程が下がるにつれて口周りの力を抜いていき、自重を用いて軟口蓋を落としながら一緒に喉を下げるように意識すると良いでしょう。低音域に向かうにつれて、リラックスしながら、喉が絞まりにくい体勢を作り、溜息の割合を強める事で上手く広げられる筈です。
またここで一度ダンディ声を出して頂きたいのですが、この際に「軟口蓋の抑え」と「僧帽筋の押さえ」が効いている事を改めて確認してみて下さい。そして男声の音程を下げる際には、「軟口蓋の抑え」をキープする事は前提なのですが、こちらは最初の内はあまり注力しなくても構いません。最も重要なのは「僧帽筋の押さえ」で、この押さえ方自体を変える事で対応します。厳密には息の流れに着目し、これまで僧帽筋の中央から鎖骨の中を通っていた息を直接鎖骨に当てるようにし、鎖骨全体を前方に向って押し広げるように力を加えるのです。こうする事で音程を下げるのに最も肝要となる「喉元を開く」と言う動作を体現しつつ、最低音域を幾らか広げる事が出来るようになると思います。
この時収束させていた息を太くし、自分の鎖骨全体を面と捉え均等に押し広げる事(鎖骨の押さえ方が中央に寄っていた場合は喉元が開き切らないので音程が広がりませんし、外に寄っていた場合は力が入らずダンディ声発声になってしまいます)で、喉元を押し広げてつっかえを無くす事で最低音域を拡張しつつ、並行して胸部での共鳴も強化します。また前方に向って息を押している為、ダンディ声発声に比べればある程度は力を加えて発声出来る筈です。このようにして、幾らか低音域のパワーを強める事が出来たりもします。
これが出来たら、今度は「軟口蓋の抑え」に着目し、この抑える力を強める事で低音域を押し広げていく事が出来ます。そして軟口蓋の抑えで音程が下がらなくなった場合は口周りの形を崩さないように気を付けつつ、鎖骨を前方向に押す力を抜いてリラックスしつつ軟口蓋と喉を落とす事でもう少し音域を広げられると思います。これを続けていくと喉が閉鎖し、次に紹介するカルグラの発声に繋がる事と思います。
・カルグラ
これは別名「仮声帯発声」とも呼ばれる発声方法で、他に「がなり声」や「唸り声」と表現される事もあります。「仮声帯を声帯の1/2の周波数で声帯と同時に鳴らす」という中央アジアで盛んな喉歌のテクニックの一つで、こちらは「前側で響かせる発声」を用いて、自分の低音における限界音域を広げる方法になります。
具体的なやり方としては、先ず風邪声の形を作って頂き、その時に出している息を前方向により強く押し出しながら細く絞る、喉を前方向に押し出すイメージと共に閉鎖させる事で発声を行う事が出来ます。この時「前方向に押し出すイメージ」を強くイメージしながら、何なら風邪声以上に息を前に押し出すイメージを持つと安定し易いと思います。ここでチェストボイスが自然と混ざることで喉が閉鎖し、出せるようになる人も居るでしょう。この時口周りのポジションは「お」の形で、下顎の下のラインを意識しながら発声するようにしましょう。息は下顎の先端に集めるイメージで、それより前方を意識しても良いかもしれません。
カルグラの発声では、ダンディ声発声とは異なり声帯が閉鎖している感覚が強く感じられます。しかし高音域の発声とは異なり、のどが絞まって苦しくなる感覚が無いのが特徴です。後音域が下がるにつれて下顎が疲れますね。
因みにカルグラの高音域では声帯の振動に加えて、仮声帯の振動がミックスされた状態で発声がされていますが、ここから音程を下げていくにしたがって声帯の振動を加える事が出来なくなり、やがて仮声帯の振動のみになる事でしょう。これがあなたに出せる最低音域に該当します(因みに先述したダンディ声発声においても、何処かの音域で生体の振動を加えられなくなり、仮声帯の振動のみの発声に移行してしまいます)。ここまで下がると音程の調整を意図的に行う事は不可能なのですが、基本的には声帯の振動を混ぜ合わせられる音域の範囲内では「声帯の振動(地声)」を用いて音程の調整を行うようにしましょう。カルグラの発声では必然と喉が閉鎖しますので、低音域に向かうにつれて「お」のポジションのまま、下顎を落としながら喉を開き、下顎のラインに沿って前方向に息を出す事を意識すると幾らかやりやすいと思います(解らなければ、ボイストレーナーの方に聞くのが早いとも思いますが…)。
正直ナチュボの調整で用いる事はあまり無いと思います。主に歌う時やダンディ声の幅を広げる時、また安定感の増強と言った場面で役立つ項目となるでしょう。しかしこちらも高音域と同様、限界音域がありますので、くれぐれも自分の音域に合った男声を使うようにしていただければと思います。
③ショタボとの比較
恐らくこの男声習得に向けて日々邁進されている方ならば「何をいまさら」といった内容になると思いますが、予めショタボを習得しておきましょう。ショタボに関してはここでは深く触れません、多分身体が男の私より皆さんの方が関心も深いでしょうし…
ここで注目していただきたいのは「音程の変化」です。ダンディ声を一度出してみて、その形を保ちながら「アー、アー」と音階を踏み徐々に音程を上げていってください。するといずれショタボに声が切り替わる事と思います。このようにダンディ声とショタボは比較的近い発声を行っており、(ショタボに風邪声のガラガラ声を混ぜたものが所謂ダンディ声に該当する訳ですが)慣れてくれば音程の変化に合わせてショタボとダンディ声を行き来させる事が出来るようになると思います。しかし逆に言えば、ある特定の音域(厳密には別物ですが、メラニー法における「スポット」に該当します)を境に、ナチュボとダンディ声がくっきりと切り替わってしまうのではないでしょうか。声が裏返る現象とは若干異なりますが、地声が裏返ると裏声になるように、ダンディ声のガラガラ声が特定の音域を過ぎた辺りから混ぜられなくなり、結果ショタボに代わってしまうと思います。歌うだけなら何とかなる人もいるでしょうが、ナチュボとして活用しようとすると、どうしても声に違和感があったり、出し方に無理があったりと皆さん頭を悩ませる事となるでしょう。
これを踏まえ、大前提として「ナチュボを出すには音程を変化させるだけでは不十分」である事をご理解頂きたいと思います。要するに、音程の変化以外にも複数のアプローチを用いてナチュボを作り上げていく必要があると言う事です。ここからは男声に乗算可能だと思われるアプローチの方法を幾つか紹介しようと思いますので、各々で必要なものを取捨選択しながら調整を行って頂きたいと思います。他にも独自に工夫できるポイントやアプローチを見つける事が出来ましたら、そちらも個々で試していただければと思います。
〇筆者的ショタボ…の考察。
筆者は女声を用いたショタボしか出せないのですが、これを基にショタボが何たるかを考察してみました。
まずショタボの前提として、どのショタボであっても後ろ側、主に背骨のライン上で響かせる声である事が挙げられると思います。恐らく前方向に息を飛ばしながら出せるショタボは存在しないのではないでしょうか?これが先程「ショタボとダンディ声が近い発声」と呼ばれる所以で、どちらも後ろ側で響かせる発声、息遣いを軸としています。故にナチュボの調整を行う際には、ダンディ声に地声を混ぜるよりも、ダンディ声にショタボを混ぜる方が上手く行く可能性が高いです。恐らく地声を混ぜようとすると、女性の地声の大半が前方向に飛ばす意識の強い息遣いになっているであろう事から、必然的に息遣いが前方向の意識強めになってしまい、これに比例してガラガラ声の成分が強くなってしまう事が予測されます。
そんなショタボですが、筆者が思うに大まかに分けて二種類に分類されるのではないかと予想されます。一つが「女声の延長線上で出せるショタボ」と「男声の延長線上線上で出せるショタボ」の二種類です。しかし考え方やアプローチ方法に違いは有れど、声の質としては大差が出ないのではないかとも予想しています。それ即ち、ショタボが元々男声と女声の中間に位置する発声に該当するからです。そんなショタボの定義や範囲は曖昧で、結局はそれが男声よりなのか女声よりなのかの些細な違いでしかないと筆者は考えます。
正直、どちらのショタボであっても同じショタボである事に変わりは無いでしょう。個人差もありますし、皆さんの地声に大なり小なり差異が生じるように、ショタボにも同様の現象が発生するはずです。なので細かい定義付けや理論の話に関しては各々で確立して頂くとして、ここでは男声と女声それぞれを出発点としたショタボについて考察していきます。
♂男声の延長線上で出せるショタボ
これを一言で言い表すなら、「音程の高い男声を喋り声にしたもの」となるでしょう。喋り方、(イントネーション)に関しては各々で研究して頂くとして、出し方自体は「男声+裏声」もしくは「男性のミックスボイス」の要領で問題ないと思われます。
出し手が男性(地声がガッツリ男声の人)なら、地声に裏声の成分を多く混ぜつつ、ミックスボイスの要領で調整を行う事でそれっぽい声が出せると思います。出し手が女性(地声が女声寄りの人)なら、ダンディ声の音程を「息遣いの後ろ方向へのベクトルを強める事」に比例して上げていき、男声特有の響きが消えない程度に音程を調整する事でそれっぽい声が出せるのではないでしょうか?この時、欠伸の要領を用いて…もしくは喉の中に卵が入っている状態をイメージしながら、上顎の前歯に声を集めるようにして(ダンディ声をベースとする場合は、下顎のラインを通りながら下顎の前歯に声が集まるイメージで)発声を行うと安定感が増すと思われます。
ここで注意点として、裏声を混ぜ過ぎないようにしましょう。男声特有の響きは残っていてもいいので、声が裏返り切らない(男声)or地声に戻らない(女声)程度の中音域で模索するようにすると良いと思われます。傍から聞いて「絶対声変わりしてるな」と解るような声でも、子供っぽさが残っていれば合格判定してあげても良いでしょう。
♀女声の延長線上で出せるショタボ
これを一言で言い表すなら、「音程の低い女声を喋り声にしたもの」もしくは「声変り前の少年の声に似せた響きで出す女声」となるでしょう。
先ず前者に関して、これは出し手が女性(地声がガッツリ女声の人)なら「地声+男声」もしくは「女声のチェストボイス」に該当すると思います。男声の響きに理解があるようなら、地声をベースとしつつ男声の響きを若干混ぜ合わせるようにして調整すると良いと思います。もしない場合でも、地声の音程のまま後ろ方向に息のベクトルを向ける、背骨のライン上の低い位置で声を響かせるようにすればショタボに移行出来るのではないでしょうか(ショタボに関しては、下顎のラインを意識しつつも、下顎の前歯に声を集めるような息遣いが合っているような気がしています)。対して出し手が男性(地声が男声寄りの人)なら、一度女声を出しつつ、喉の空間を大きく取る事で対応可能でしょう。この時にも、喉に卵が入っている感覚を持っておくと良いと思われます(こちらについては、女声の文章でも紹介しています。簡易的ですが…)。
続いて後者について、こちらについては男声女声共に地声(男声はダンディ声、女声はアニメ声)を出して頂き、音程は殆ど変えないまま息遣いを調整し、厳密には出来る限り後ろ方向へのベクトルを強くする事で響きが得られる事と思います。女声の地声を出して頂き、その時点で前方向に飛んでいる息を後ろ方向に向けるor欠伸の成分(喉に卵が入っている感覚)を混ぜる事で出せる筈です。後者の方が、前者に比べて男声っぽさが無いショタボになると思われます。
こちらに関しては、声変り前の少年の声を目標に調整する事をお勧めします。例え「どう聞いても女声じゃん」と言った高い声でも、喋り方が少年の者であれば合格判定をあげて良いでしょう。もし某ジ〇ンプの少年声主人公を連想させるショタボを出したい場合は、チェストボイスやダンディ声要領を用いてアプローチ、調整する必要があると推測します。
ここで結論なのですが、どのようなショタボであれ、幾つかの要点さえ押さえておけば同様にショタボと呼んで差し支えない発声を行う事が出来るでしょう。
まとめると
①男声と女声の中間をイメージしつつ、音程や声の響きを調整する(男声寄り、女声寄りどちらもアリ)
②やはり喋り方やイントネーションが命。声の響きも重要だが、それ以上に喋り方やイントネーションに気を配る。
③必要に応じて、地声に男声(ダンディ声)や女声(アニメ声)の響きを混ぜる。
④発声の際は、後ろ側(背骨のライン上)で声を響かせる意識、若しくは欠伸の要素(喉に卵が入っている感覚)を意識し、口の形は「お」の形をベースにする。息の流れは何れであっても後ろ側、背骨を意識して後ろ側で響かせる息遣いを軸とする。
※間違えても「前方向に細く鋭く飛ばす」イメージは持たない。息遣いは「後ろ側で太く柔らかく響かせる」息遣いを基軸とする。欠伸の息遣いが近い。
結局、一番大事なのはイントネーションでしょう。結局どんな声がベースでも、喋り方さえどうにかすればそれっぽくなるのが常なのです。これは男声のナチュボの調整と同様です。こちらは他の人が使うショタボや実際の少年の声を参考に、自分なりに創意工夫をすると良いと思います。
そして比較してみた感じ、どちらのショタボであっても出し方のベースはあまり変わらないのではないかと思われます。声質を何かしらの手段で男声と女声の中間に持って行き、そこに欠伸の響きを混ぜる事で調整します。この時口や顎の形は「お」を基軸としておき、息の流れは下顎のラインを通って上顎の前歯に声が集まるように調整するのです。後はイントネーションに気を配れば、皆さんも何かしらのショタボが出せると推測します。
但し滑舌や声の籠り具合に関しては、イントネーションに応じて変化させる位の心持ちで、無理にハッキリとさせる必要は無いかもしれません。最低限聞き取れる位の滑舌でも、却ってリアリティが出る可能性があるのがショタボだと思うので…これはダンディ声とは要領が変わって来るところだと思いますので、各々で研究してみて下さい。と言った具合で、以上の事を参考に各々で調整してみてはいかがでしょうか?
(補足ですが男声の調整に当たり、風邪声と混ぜるのはショタボにするのが良いそうです。今一度ショタボの発声を見直してみましょう)
④「欠伸」と「溜息」、序に「息切れ」の活用
先程まで、男声には「欠伸」ではなく「溜息」を用いろ、と散々口にしてきましたが、ナチュボの調整に関しては「欠伸」の意識も重要となってくるかもしれません(手の平クルッ)。全員がこぞって使うかどうかは不明ですが、試してみるのも一興であると…ような気がしないでもありません。
また人によっては「息切れ」の方がイメージが掴みやすい人も居るかと思われます。これは人によると思いますので、自分に合った方法で行って頂ければと思います。
〇「欠伸」の活用
そもそも音程が上がるということは声帯を締める行為と同義で、低音域のように脱力した状態でともいかないのが事実です。男声の高音域が地声以下の場合もあると思いますが、それでもやはりダンディ声の時と比べて多少は力んでしまう事と思います。そこで、この場合では例外的に「欠伸」の意識を持つようにして、鼻腔…或いは口内の空間を広く取りながら軟口蓋で下方向に押さえつける事もお勧めします。先のショタボにも通じますね。
この時、顕著な欠伸をすると不必要な力が入ってしまいますので、やりすぎは禁物です。ダンディ声の形でほんの少し欠伸の成分を混ぜる程度で考えておいてください。腔内の奥の方、口から喉に向かう際の突き当り、鼻腔がある辺りの空間を欠伸の要領でほんの少しだけ広く取るイメージです。若しくは、口の中に卵(他の物体をイメージしてもOK)を含んだイメージで、口内を広く取るイメージでも良いと思います。この状態でも軟口蓋と舌が下がり、これに比例して喉が開いた状態を作る事が出来ます。
ここで息の流れも前方向の意識やベクトルが強くなると思いますが、くれぐれも後ろ側の息遣いを軸に、後ろ側、下方向の息の流れを意識或いはキープするようにしましょう(軟口蓋の抑えがあれば息の流れが極端に変わる事は防げると思います)。するとダンディ声の時以上に息遣いが柔らかくなり、軟口蓋付近で吐息の成分を感じられるようになると思います。この状態では軟口蓋が下がっている事から鼻に息をかけやすくなり、顕著に鼻にかける程エッジボイスの成分が強くなる事でしょう。逆に下顎に息を集めるようにすると喉声の成分が強くなり、口内の空間を大きくとればとる程息遣いが柔らかくなっていく事と思います。
恐らく、この形で普段の喋り声と同様に話そうとすると声が籠ると思いますが、歌声だけならば気にしなくても良いでしょう(何なら歌声はこの形で作っても問題ないと思います)。但しこの欠伸の意識はショタボとも切っては切れない関係にありますので、ナチュボの調整において必要不可欠な要素と言っても過言では無さそうです。
〇「溜息」の活用
先程まで「溜息」についてはくどい程触れてきましたが、改めてここでもおさらいしておきます。
大前提として、男声において基本となる息遣いは間違いなく「溜息」であると自負しています。息遣いを変える場合でも、まずは「溜息」を基準として、そこから工夫を加える事をお勧めします。
何故ここまで溜息を強調するのか。それは溜息の特徴が、男声の習得および発声において痒い所に手が届くような特徴を網羅しているからなのです。
まず「脱力」。男声では脱力する事により、重力に従って喉を落とす事で音程を下げる事を基軸としています。その上で喉を落とす際に下方向の壁(喉を下げる際に底となる部分、ひっかかりを伴う箇所)を破る、解消する際にも同様に役立つ項目となります。
続いて「下方向に向かう柔らかくて太い息遣い」。男性諸君もそうですが、男声を出す際には若干ではありますが息の方向が下方向を向きます。これは声の低い人が、その声の低さに引っ張られて無意識に下方向を意識してしまうからです。逆に言えばこの下方向の息遣いこそが男声の原点。特に地声が高い人は逆に自分の声の高さに引っ張られて無意識に上方向を意識してしまう以上、より強く意識したい項目となります。ナチュボと言いう観点においても、イントネーションや喋り方の面において同様に役立つ項目となります。また男声の発声の基本は「後ろ側の柔らかくて太い息遣い」になっています。高音域が如く「前方向に鋭く細く飛ばすイメージ」とは対極になりますので、何度も繰り返すようですがこれを忘れないようにして下さい。
兎に角ここで伝えたいことは「迷ったら取り合えず溜息に戻れ」と言う事です。男声を出すにあたって溜息を使わないなんて局面は早々無いと思いますが、色々と試行錯誤をする中で、どうしても方向性に困ったり現在位置が分からなくなる場合が出てくると思います。その際の道しるべとして、救済措置として「溜息」を覚えておけば何度でもやり直しが効くでしょう。また試行錯誤の中で、突然「溜息」を意識したら上手くいった、なんてケースもあると思いますので、くれぐれも「溜息」、特に「鼻にかかった音の出る溜息」を念頭に置いてチャレンジしていただければと思います。
〇「息切れ」の活用
もし「溜息だと上手く行かない」と言う人は、代わりに「息切れ」の意識を持って試してみると良いかもしれません。実は「息切れ」と「溜息」は息の出し方が非常に似ており、しかも息切れの方が気軽にイメージを掴める可能性があります。
それが先述した「荒い息切れ」になります。過度な運動をした際に出る「ぜー、ゼー」と言った荒い息切れです。この「ゼー、ゼー」の音も風邪声の出し方と同等のものになっています。こちらの方が風邪をひくよりも気軽に試せると思いますので、溜息が合わない人は試してみても良いかもしれません。
一応、こちらも「音の出る溜息」と同様、男声に必要な要素を多く含んでいます。なのでこちらを基準にしても良いのですが、溜息の時に比べて息が浅くなりがちなのでそこだけは注意しましょう。「息切れ」の際もなるだけ大胆に、お腹から普段以上に多くの息を出すようにすれば代用も効くと思われます。
⑤「表情筋」や「骨格」の活用
声を出すにあたって意外と盲点になりそうなのが「表情筋(顔周りの筋肉)」の活用です。
表情を変えるだけで声色が変わるように、声と表情筋には密接な繋がりが存在します。これをナチュボの習得に生かさないのは勿体無さすぎます。
同時に「口周りの骨」のポジショニングも重要になってきます。男声に関しても形を維持する一番大切な柱は顎周りの骨ですし、これも表情筋と同様意識すればある程度コントロールが可能です。
今回はこれらを合わせて刮目しつつ、その中でナチュボに役立ちそうなポイントを幾つか紹介していこうと思います。説明があまり抽象的にならないよう、ここではそれぞれ「特定の形」として紹介していこうと思います。
〇「え」の口の形で「お」の発声
これは先に紹介した「欠伸」を混ぜる事を前提としたポジショニングで、声が籠るのを解消する手立ての一つとなり得ます。どうしても男声に「欠伸」を混ぜようものなら、多少なりとも声が籠る現象が発生します。逆に言えば、この籠りの解消が出来れば、かなり自然な男声に近い発声が出来るようになるとも思っています。
やり方としては、先ず口角を思い切り吊り上げ(後ろに引き下げるイメージでも良いと思います)、上顎下顎両方の歯を前に突き出すようにします。或いは奥歯を前に向けるイメージでも良いかもしれません。要するに口の形を「え」の形にします。そして下顎の前歯に息を集める、通すイメージで発声を行います。すると欠伸を混ぜた場合でも然程声が籠る事なく発声が可能だと思います。
そして発声の基本形を「お」にして声を出します。これは「お」の発声の形が最も低音を出すのに向いた形だからです。また脱力した状態で何も考えず声を出すと、大半の場合は「おー」と発生する事となります。これらが男声の特徴を見事に抑えていますので、発声の基本形を「お」とし、口の形を「え」とすることで声の籠りにくい低音の発声が可能となる訳です。
発生の際には下顎や下顎の奥歯を意識して、下顎の歯の上面を前に向ける、奥歯を前に向けるようにしましょう。この時上顎と下顎の奥歯をなるだけ近づけあまり顎を開かず、何なら下顎を固定するくらいのイメージで。尚且つ活舌を意識してはっきりと喋るようにすると安定感が増すと思います。骨格によって合う人合わない人がいるとは思いますが、ポジショニングの一つとして、参考にしていただければと思います。
〇「い」の口の形で「う」の発声
これは「欠伸」を混ぜない場合のアプローチ方法として役に立つであろうポジショニングです。ここでは特に「軟口蓋の抑え」と「鼻にかかった溜息」を強く意識した形となっています。
まずは一度思い切り「い」の形を作ってみて下さい(歌う際の口を前に突き出す「い」ではなく、喋る時などで用いる口角を後ろに引く方の「い」です)。そこから上顎の前歯を突き出す、或いは下顎を若干後ろに引いて(顕著にやらない事がポイントです)ポジションを作ります。この状態で何も考えすに声を出すと「う」と声が出ると思います。この形を軸として男声の発声を行います。
この際息遣いはダンディ声とほとんど変えなくて良いですが、上顎や上顎の歯全体を前に突き出したり、上顎の奥歯を意識しつつこれを前方向に向けると、ダンディ声と比べ息の方向が前方向に向く(基本的な方向は下のまま)事が確認出来ると思います。飽くまでも息遣いを直接変えようとはせず、上顎の抑えを用いて、上顎の奥歯を用いて間接的に息の方向が前に向くようにしましょう。そして音程の調整を行う事でそれなりに自然な男声が出せるようになると思います。(くれぐれも前方向の意識を強く持ってください、でないと声が籠ってしまいます)
因みに下顎は若干引き下げますが、そのまま上顎と下顎の奥歯が近いポジションで固定するくらいのイメージを持ち、全体的に意識はしすぎなくてよいと思います。意識は上顎や上語の奥歯に集中させれば、そもそも下顎があまり動かないとも思いますし…これも先と同様、骨格によって合う人合わない人がいると思います。上の方法と合わせて試してみて下さい。
〇「え」の口の形で「う」の発声
これはどちらかと言えば「ダンディ声」の基本となるポジショニングです。と言うか、ダンディ声を習得した際、大抵の人が無意識の内にこのポジショニングになっていたと思います。
改めて確認してみると、口角は後ろに引き下げていますが、どちらかと言えば下方向に軽く引き下げているイメージだと思います。口角を下顎の奥歯に乗せるイメージです。そしてこの形で何も考えずダンディ声を出すと「うー」と出ると思います。これが実は、ダンディ声の最も基本的な発声のポジショニングとなっています。
そしてこの形で上顎の奥歯を前に向けるイメージで息の方向を前方向に向ければ、ダンディ声が比較的自然に籠らず発声出来ていると思います。しかしこの出し方だと地声と息遣いが違い過ぎる為、どうしても声を作った感が出てしまうのではないかとも推察されます。つまり、このポジショニングではナチュボの発声には向かないという考察が出来るのではないでしょうか。
しかし中には、このポジショニングのまま少し音程を上げるとナチュボになった、と言う人もいるかもしれません(発見者の条件ではあまり合いませんでした…)。なので一応紹介しておきますが、飽くまでもダンディ声の基本形であり、ナチュボはここからポジショニングを変える事で出せるという可能性は念頭に置いて頂ければと思います。合う人は改めてこのポジショニングも試してみて下さい。
⑥「イントネーション」の調整
比較的基本的な事柄にはなりますが、やはり男性特有の口調やイントネーションの把握は避けて通れないポイントであると思います。個別に男性の喋り方やイントネーションを確認しておき、女性らしい訛りが入らないように喋り方や喋り口調を調整するようにしましょう(喋り口調は、自然な異性の声を出すにあたって最も肝心と言ってもいい項目です)。
先にも軽く触れましたが、女声は高い声に引っ張られて無意識化で重心が高くなる傾向にある為、抑揚が多く局所局所で上擦るような訛りが入りますが、男声は逆に低い声に引っ張られて重心が低くなります。それによって全体的に抑揚が少なく平坦な喋り方になる他、語尾に向って声または息が抜けるような喋り方(ガラガラ声では無い、地声を出しながらの溜息をイメージ。フィニッシュに向って地声の音程が下がり、地声から吐息に変遷する様が確認出来ると思います)になるので、それを実際に男性の声を聞くなどしてよくよく確認しておくようにしましょう(モノマネをしてみるのも非常に良いと思います)。
余談ではありますが、ダンディ声をダンディに出すためにも喋り方の工夫は必要となります。喋り方、皆さんが思っている以上に重要なので決して疎かにしないようにしましょう。
また極論ではありますが、ナチュボに関しては「これがナチュボだ」と言う明確な定義は存在しません。各個人で「これだ!」と思う声を探し、その中で好みの位置や自分に合った出し方を見つけてあげるようにして下さい。ある程度基準となる出し方が見つかったならば、ここを基準として洗練すればかなり自然な声も出せるようになると思います。そうすればもうあなたも立派な男声マスターです、私から言うことは何もありません。
最後に余談ではありますが、ダンディ声であってもナチュボであっても、基本的に男声の基本的なポイント「脱力」「鼻にかかった溜息」「仮声帯の振動」等と言った点は大きく変わらないと思います。これらは全て「風邪声」の形が網羅しているポイントではありますが、ナチュボはこれを維持したまま、他に弄れる個所を見つけて調整していく必要があると思われます。上に書かれている事柄以外にも着眼点はあると思いますが、くれぐれも男声の要点には手を出さず、その周りの部分で試行錯誤してみて下さい。要点の部分を弄ってしまうとそもそもの男声が崩れてしまうので、より遠回りになってしまうと思います。
正直人によって声の質や骨格、筋肉の付き方やバランスなど差異があるので、全員に合ったナチュボの説明は出来ないと思っています。こればかりは自分の身体と相談してみて、こまめに録音や発声練習なども重ねながら、地道に自分だけのナチュボを見つけて頂きたい次第です。
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◎注意点
・大前提として、発見されたばかりで不明な点が多いです。この発声法の詳細に関しては今後に期待しましょう。
・一応発声法なので、喉に異常な負担をかけるなんて事は起こらないと思われるものの、強くて短い息を必要とする為に喉の乾きを招きやすいので、水分補給はこまめにとる方が良いでしょう。
・風邪声を出す際ですが、自分が思っている以上に結構音が響きます。またそれが喉を壊しそうな凄く耳障りな音になりますので、練習の際には騒音被害等で訴えられないよう、くれぐれも周囲に配慮するようにしましょう。
・「溜息」がこの発声法の基本となりますが、変につき過ぎて周囲から心配されないように気を付けて下さい(「溜息をつくと幸福が逃げていく」なんて時代はとうの昔に終焉を迎えましたが、それでも気にされる方は多いので練習の際には気を付けて下さい)。
・「男声」や「ダンディ声」に挑戦する際は、必ず「風邪声」を完全にマスターしてから行って下さい(風邪声は男性声を出すのに必要なポイントを全て抜かりなく押さえて居ます、これを完全習得した方が綺麗な男性声を出せるようになると思います)。
・「ダンディ声」を出す際、その性質上篭ったような声になりがちなので、普段よりも意識してより大袈裟に、ハッキリと喋るようにした方が良いです(発音や発声をしっかりと意識するようにしましょう、若干過剰に気にする位で丁度良い加減になると思います)。活舌の意識を入念に、同時に口の奥側の意識を持ちつつ、口先に響きを集める感じで話せば多分大丈夫だと思います。
・脱力が基本とは言ったものの、残念ながら局所には意図的に力を入れる必要があります。何処に入れる必要があるかは風邪声の練習を続ける中で確かめるのが一番分かりやすいと思いますので、男声の練習をする際にはしっかりとこの風邪声の練習も同時並行で行うようにしましょう。その中で自分がどのように男声を出しているのかを客観的に分析する事で理解が深まり、より着実に男声を使いこなす事に繋がるはずです。
・動画や高音質の録音音声が無くて大変申し訳ございません。これに関しては発見者のリアルが整い次第対策を打とうとは思いますので、随時続報をお待ち頂ければと思います。
・何か質問や意見等あれば、感想欄の部分からコメントして頂ければと思います。出来る限り返信していこうと思います。まだ分からない事も多い発声法なので、皆さんの意見はドシドシお待ちしています。
どうでしょう?ちゃんと男声は習得出来ましたか?
実演するのが一番分かりやすいとは思いますが、それ無しでも習得出来た人はいらっしゃいますでしょうか?
正直、アプローチ方法に関してはまだまだ研究途中です。私は気が付いたら習得していたと言う事もあって、ぶっちゃけると半分勘も同然のやり方です。色々試してみた結果可能性が高そうなものを紹介していますが、これが実際に一番可能性が高いかどうかすら分かりません。
なので宜しければここに関しても意見下さい。自分自身、万が一の為にアプローチ方法は把握しておきたい気持ちも無きにしもがな…