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【間章】神様の休暇


 取るべきではない魂を地上から取ってきてしまった。僕がすぐに気がついて戻していれば良かったのに、忙しさにかまけて取り返しのつかないことになった。そう、アンナちゃんの魂のことだ。


 まだ生きるべき寿命がある魂を奪ってしまったことは、神である僕の罪だ。だから、罪を犯したら謝罪をしなくてはならない。奪ったものと釣り合うものを与えなくては釣り合いが取れなくなって、魂が迷子になり、輪廻の輪もぐちゃぐちゃになってしまうから。


 だから、僕はアンナちゃんに転生させるときに望むものを付与したんだ。


 僕的には、アンナちゃんはイケメンが大好きだったから、イケメンとの結婚が一番だと思った。それは今でも間違っていないと思ってる。だって転生後のアンナちゃんも、いつもイケメンに出会っては心の中で大騒ぎしていたから。


 神としての仕事をしながら、いつしかアンナちゃんの様子を眺めるのが、僕の暇つぶしになっていた。いや、むしろ趣味だったかもしれない。

 だって、一生懸命に僕の用意したハイスペック男子からのアプローチから逃げようとしているのが可愛かったから。つい次々と面白くて投入しちゃったよね。

 クロにはやり過ぎだと文句を言われたけれど、アンナちゃんの側にいつもいられるクロとは違って、僕はこういう形でしかアンナちゃんに関われないんだから仕方ないだろって、ちょっとだけふてくれされていた。


 そんなときに、キールが現われた。僕が手配したわけじゃない第二王子。僕の目的としては、別にキールでも良かったんだ。でも、アンナちゃんが本気で彼に心を揺らしているのを知って、だんだん面白くなくなってきた。なんなら、僕が手配した人以外と結婚するのが嫌だとさえ思い始めてしまった。


 神として、こんな気持ちになるなんて本当はあってはならないんだと思う。だけど、長い時間をすごしてきて、ちょっとくらい神だって好きなように我が儘言っても良くない?って思ったんだ。

 だから、最終的にアンナちゃんの世界に乗り込んでしまった。


 ついでに、あわよくば愉快なアンナちゃんの側で、休暇をすごそうかなと思っていたんだ。

 でも、そんな目論見はばっさりとアンナちゃんに切られちゃったけど。


 あーあ、アンナちゃんを見ているの、本当に好きだったんだ。最初は僕のせいで輪廻の輪を乱してしまった罪滅ぼしの気持ちだったはずなのに。


「アンナちゃんに振られちゃったから、せっかくの休暇どうしようかなぁ」


 ひとりぼっちでここにいてもつまらないし、いつもの場所でアンナちゃんを眺めようか……。

 しばらく休暇が取れるように、がむしゃらに仕事を片付けたのに残念だなぁ。

 でも、前を向いた彼女は、とても凛としていて美しかったから。そんな姿を目の前で見られたことは嬉しかったなと素直に思うよ。


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