ごめん、申し訳ないけど可愛いのよ
よろしくお願いします。
俺はには彩葉という彼女がいる。当然ながら彼女にベタ惚れだ。なんせとても可愛い。本当に可愛い。常に可愛い。彩葉可愛いを収めるためにカメラを始めたと言っても過言ではない。というか絶対にそうだ。可愛いエピソードなら青銅が朽ち果てても足りないくらい話せる。それほどまでに可愛い。
そんな彼女の中でも一つだけ超突出して可愛いと感じたエピソードがある。
俺が女心の難しさとのれの欲深さを実感し、人生で一番反省した出来事だそして俺最大の成長につながった出来事でもある。
涼しい秋の夜。
なんとなく運命の相手と出会えそうな気分になるような雰囲気を纏い感じながら、ナイター照明を浴びた自然のトンネルを彼女と共に潜り抜ける。
(おっと、運命の相手は隣にいるじゃないか。)
無意識に頬の緩みを必死に堪え、眉間にシワがよる。
「え、なになに?なんかいいことあった?」
どうやら俺にはいいことがあると顔が強張るらしい。
「恥ずかしながら妄想を少々。」
「きもいね」
まぉいつも通りの会話だ。
いつもと違うといえば、彩葉はちょっとそっけないような、少しだけ元気がないようだった。
「なんかあった?」
「いや、なんでもない」
「なら。まぁ、良かったけど、うん」
何か違和感を感じながらもなんでもないならこれ以上詮索するまいと口を閉じる。
(いやでもなんか変だよな、、)
やはり違和感は抜けない。なぜなら彩葉は俺を睨みながらブンむくれている。
(え、待って、まじ可愛い)
衝撃的なレベルだった。もはやアニメでも見たことないんじゃないかくらいだ。さながらハムスターが餌を運んでいる時のようだった。当然可愛さは比べようもない。まぁ察してくれ。
まじで気になったがなんだか悪い気はしなかったので少し放っておいた。案の定眉間のシワは酷かったようだ。
「今度は何考えてたの?????」
「可愛い生き物を見つけてしまったなと、、」
「何それっ!!!!」
(え?え?)
全く予期していなかった彩葉の怒号に気を取られていると彩葉が小さくなっていた。
「待って!!!」
何が起こったのかよくわからないがダンゴムシ程度のスピードでその場から離れる顔をハムスターのような彼女を追いかける。
「もう嫌だ!帰る!!!」
そう言って公園から抜け出ようとするハムスターを目で追う事はできたが追いかけることができなかった。
(可愛い、、え、待って、まじで可愛い。)
初めてみるハムスター、基、彩葉の姿に気を取られ立ち尽くしていた。
「…..!」
彩葉は立ち止まって振り返った。と思ったら戻ってきた。
「他のこと考えてないでもっと私のこと見てよ!!」
俺は過去最高にきょとんとしていた自信があった。
「え、どうしたの?」
「神染めたの!!!!」
「うん」
本当にびっくりしている。すると彼女もびっくりしていた。
「築いてたの?」
「そりゃね」
どうやら髪を染めたことに気づいてほしく、感想が聞きたかったが、ずっと自分以外のいいことを考えていることに少し腹を立てていたようだ。
「そんな褒めてほしかった?」
まだちょっと不機嫌そうな彩葉が可愛かったから軽く煽るように問い詰めた。
「だってさ、ほら、金髪だよ?」
上目遣いで言われると本当に破壊力が抜群すぎて顔が強張ることなく純粋ににやけてしまったのは自覚がある。
「何笑ってんの!」
もちろん覚えていた。彼女のことは誰よりもよく見ているし変化にも敏感だ。ましてや金髪。気付いていたに決まっている。そう、何を隠そう俺は金髪好きだ。以前サラッとそのような話をしていたことを覚えていたらしい。
「ごめんね、、すっごい、、うん、、プッ、、似合ってるよ、うん」
我ながらひどいとは思っているが何をどうしてもにやけてしまうため、笑いを堪えながら俺なりに精一杯褒めた。
「本当に?」
「もちろん!まじで可愛いよ!」
そう言うと彼女も少し照れたような表情になり、人間である俺の彼女彩葉になっていた。
「気付いてたの?」
「うん、今日見つけた瞬間からだいぶ興奮してた。」
「大半の女は気づいた時に欲しいものだよ。」
「しかし、公の場で興奮とは、、」
「アホ!」
彼女がいつもの調子に戻った。
「そろっと帰ろうか。今日はどっちの部屋泊まる?」
「じゃあ彩葉の家で!」
「えーーー。じゃあさっきまで何考えてたか教えてくれたらいいよ。可愛い生き物ってのは嘘でしょ?」
実はちょっと気になってたらしい。
「ん?あーー。あなたのことですね。はい。」
「え?」
「いやーぶんむくれた顔が実に可愛らしかったんですよね。はい。」
「何それ、やば。」
「ごめん、申し訳ないけど可愛いのよ」
「….」
翌日家路に着くと一人反省会が始まった。隣人へは大変迷惑をかけたと思う。
「うおーーーー!俺はなんてことをしてしまったんだ!彩葉が可愛かった!じゃない、そんなことじゃない!彩葉の可愛いところ見たさに彩葉をいっときではあるが悲しませてしまったーーー!!でも、不機嫌彩葉めっちゃ可愛かったよ、うん。」
「え、待ってうわーーーーーー、、ブンむくれ彩葉撮っておけばよかった、、あーーレアなのに、、」
やはり反省から彼女が可愛かったと言う感想が上回るのに時間はかからなかった。
だが、今回は少し違うようだ。
「でもやっぱり、彩葉は笑っている顔が一番なんだよなぁ。」
多少の女心と自分にとってどんな彩葉が一番好きかを知ることができた。これは間違いなく俺の人生最大の発見であり、成長だろう。
「また黒髪も見たいなぁ、、いやぁでもどっちも可愛いしなぁ、、うんやっぱ笑顔だな。うん。」
そしてまた新たな欲望を笑顔でかき消すことに成功した。
ありがとうございました。