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3.生前の記憶を使って。

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よろしくお願いいたします!!








 ――これは、生前にゲームで見た記憶。



『レオは、どうして戦うのですか?』

『どうしたの。そんな、藪から棒に』



 旅についてくることになったアリシア。

 寝ずの番をしていた時に、彼女とそんな会話をするイベントがあった。

 レオは不思議そうな表情でアリシアを見て、その理由を問いかける。すると一国の姫である少女は、真剣な表情でこう言うのだった。



『私はいつか、貴方の妻となりますから。将来はどのように国を支えるおつもりなのか、意見の交換をしておく必要があると思いまして』

『なるほど、ね』



 いくつかの選択肢が出る。

 俺はその中から、無難なものを選んだ。



『ただ、世界を守りたいから』――と。



 所詮はゲームだ。

 だから、これといって深い意味なんて考えてなかった。

 とりわけ俺は、縛りプレイ専門。基本的に一周目は流し見して、ストーリーにはほとんど介入することはない。

 二周目以降に、やり込めばいい。

 そう、思っていたから。



『そう、ですか』

『アリシア? どうかしたの』



 その時のアリシアの反応が、あまり良くなかったのは覚えている。

 理由は分からなかった。ただ、少しだけ――。



『なんでもないですっ! 今日は、もう寝ますね』



 泣き出しそうな、そんな表情だったのは印象的だった。







「作戦としては、まず騎士団の団長の救出だな」

「あぁ、その通り。騎士団団長のダンを助け出して、協力を仰ぐ。そうすれば、圧倒的不利な戦況も幾分かマシになるだろ」



 冒険者ギルドの談話室にて。

 俺とギオ、そしてアリシアの三人は作戦を立てていた。



「でも、どこに囚われているのか分かるのか?」

「大丈夫。おおよそ見当はついてる。たぶんだけど、地下にある牢獄――あそこなら、捕虜とした要人を閉じ込めるには十分だ」

「なるほど……」



 俺が作戦を説明すると、ギオが納得したように頷く。

 だが、そこで不思議そうにアリシアがこう言った。



「あの、先ほどから思っていたのですが……」



 きょとんと、首を傾げながら。



「どうして、そんなに王城の内部構造に詳しいのです?」

「うぐ……!?」



 俺は、思わずそんな声を漏らしてしまった。

 たしかに、今まで立てた作戦は生前の知識ありきのもの。しかし一介の冒険者に過ぎないレオが知っているには、いささか疑問が大きかった。

 それにはギオも首を傾げていたが、俺は――。



「き、気にするな! いまは、国を救うのが最優先だろ!?」

「たしかに、そうですが――」

「はい、決まり! 決まりといったら決まり!!」



 強引に押し切った。

 危ない。これは、今後も注意していかなければ……。



「でも、これで今後の方針は決まったな」



 こちらが冷や汗を大量に流していると、場の空気を読んでギオがそう言った。

 とにもかくにも、これで明日やることは決まったのだ。あとは首尾よく、騎士団長を助け出して魔王軍を退けるだけ。


 そう思っていると、アリシアが最後にこう言った。



「でも、本当に勝てるのでしょうか」――と。



 不安だったのだろう。

 騎士団長を助け出したとしても、勝てる見込みはない。

 まして、仲間に引き入れたのは実力も不明な冒険者二人だけ。俺としても選定の剣ありきの戦闘しか、このゲームはプレイしていなかった。


 でも『だからこそ』こう答えたのだ。



「それは、俺に任せろ」

「え……?」



 ニヤリと笑って。



 あぁ、こんな時にも縛りプレイヤーとしての性が出てしまう。




「それくらいのハンデがあった方が、燃えるってもんだ……!」――と。






 ギオとアリシアはポカンとして、顔を見合わせていた。



 


次の更新は18時頃かな。前倒しもあり得ますが。




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[気になる点] 『アリシア:王城の内部構造に詳しいの?』 【絶対回避】スキルを使えばいいのでは?
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