3.生前の記憶を使って。
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――これは、生前にゲームで見た記憶。
『レオは、どうして戦うのですか?』
『どうしたの。そんな、藪から棒に』
旅についてくることになったアリシア。
寝ずの番をしていた時に、彼女とそんな会話をするイベントがあった。
レオは不思議そうな表情でアリシアを見て、その理由を問いかける。すると一国の姫である少女は、真剣な表情でこう言うのだった。
『私はいつか、貴方の妻となりますから。将来はどのように国を支えるおつもりなのか、意見の交換をしておく必要があると思いまして』
『なるほど、ね』
いくつかの選択肢が出る。
俺はその中から、無難なものを選んだ。
『ただ、世界を守りたいから』――と。
所詮はゲームだ。
だから、これといって深い意味なんて考えてなかった。
とりわけ俺は、縛りプレイ専門。基本的に一周目は流し見して、ストーリーにはほとんど介入することはない。
二周目以降に、やり込めばいい。
そう、思っていたから。
『そう、ですか』
『アリシア? どうかしたの』
その時のアリシアの反応が、あまり良くなかったのは覚えている。
理由は分からなかった。ただ、少しだけ――。
『なんでもないですっ! 今日は、もう寝ますね』
泣き出しそうな、そんな表情だったのは印象的だった。
◆
「作戦としては、まず騎士団の団長の救出だな」
「あぁ、その通り。騎士団団長のダンを助け出して、協力を仰ぐ。そうすれば、圧倒的不利な戦況も幾分かマシになるだろ」
冒険者ギルドの談話室にて。
俺とギオ、そしてアリシアの三人は作戦を立てていた。
「でも、どこに囚われているのか分かるのか?」
「大丈夫。おおよそ見当はついてる。たぶんだけど、地下にある牢獄――あそこなら、捕虜とした要人を閉じ込めるには十分だ」
「なるほど……」
俺が作戦を説明すると、ギオが納得したように頷く。
だが、そこで不思議そうにアリシアがこう言った。
「あの、先ほどから思っていたのですが……」
きょとんと、首を傾げながら。
「どうして、そんなに王城の内部構造に詳しいのです?」
「うぐ……!?」
俺は、思わずそんな声を漏らしてしまった。
たしかに、今まで立てた作戦は生前の知識ありきのもの。しかし一介の冒険者に過ぎないレオが知っているには、いささか疑問が大きかった。
それにはギオも首を傾げていたが、俺は――。
「き、気にするな! いまは、国を救うのが最優先だろ!?」
「たしかに、そうですが――」
「はい、決まり! 決まりといったら決まり!!」
強引に押し切った。
危ない。これは、今後も注意していかなければ……。
「でも、これで今後の方針は決まったな」
こちらが冷や汗を大量に流していると、場の空気を読んでギオがそう言った。
とにもかくにも、これで明日やることは決まったのだ。あとは首尾よく、騎士団長を助け出して魔王軍を退けるだけ。
そう思っていると、アリシアが最後にこう言った。
「でも、本当に勝てるのでしょうか」――と。
不安だったのだろう。
騎士団長を助け出したとしても、勝てる見込みはない。
まして、仲間に引き入れたのは実力も不明な冒険者二人だけ。俺としても選定の剣ありきの戦闘しか、このゲームはプレイしていなかった。
でも『だからこそ』こう答えたのだ。
「それは、俺に任せろ」
「え……?」
ニヤリと笑って。
あぁ、こんな時にも縛りプレイヤーとしての性が出てしまう。
「それくらいのハンデがあった方が、燃えるってもんだ……!」――と。
ギオとアリシアはポカンとして、顔を見合わせていた。
次の更新は18時頃かな。前倒しもあり得ますが。