2.物語の分岐。
第1章は基本的に、物語のチュートリアルです(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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あとがきに、次回更新予定を書いておきます。
「ぜえっ、ぜぇっ……! もう、追ってこないよな……」
「そう、みたいだな!」
俺とギオは、アリシアを連れて路地裏に逃げ込んだ。
物凄い形相で追いかけられたものだから、息も絶え絶え。アリシアも俺たちの目をはばからずに、地べたにへたり込んでいた。
さて、ここで問題だ。
とっさに彼女を連れて逃げたは良いが、そもそもどうしてこうなったのか。
ゲーム上では、このようなイベントはなかった。
アリシアとレオが出会うのは、勇者として選定を受けて王城へと出向いたから、という理由のはず。それなのに、どうして彼女はここにいるのだろうか。
「あの、えっと……アリシア姫?」
「え? 私のこと、知っているのですか?」
「あー、うん。そりゃ、有名人だし」
ひとまず、訊いてみないことには始まらない。
俺はそう思った。
「どうして、追われていたんだ?」
「…………うー」
「うー……?」
すると、なぜかアリシアはうめき声を上げる。
そしてこう答えた。
「実は、魔王軍の手の者に王城を乗っ取られまして……」――と。
◆
俺は記憶を手繰り寄せる。
そうやって思い出したのは、序盤も序盤の出来事だった。
勇者として王城にやってきたレオは、その場で国王陛下とアリシア姫に謁見する。細かい内容は省くが、魔王軍を打倒した暁にはアリシアとの婚姻を――的な。
そんなありきたりな展開だった。
だが、問題はそこから。
話を終えた直後に、王城へ魔王軍の軍勢が押しかけてくるのだ。
もちろんゲームでは、勇者であるレオの活躍でそれらを追い払うことができるのだけれど……。
「あー、なるほど。展開が変わったのか……」
俺はそこまで思い出して、ようやく事態を把握した。
どうやら俺が勇者ルートを回避したことで、見事なまでに王城は陥落したらしい。それでもって、アリシアは敵さんに追われていた、と。
しょんぼりとするアリシアを見ながら、俺は数回頷いた。
「それで、その魔王軍はどれくらいの数なんだ?」
「数はおそらく、数百はくだらないかと……」
「マジか、それ……!」
そんな彼女に事情を聴いているのは、ギオだ。
彼は親身になって、アリシアに寄り添っている。そして、
「なぁ、レオ? この子、どうにか助けられないか」
「俺たちが、か?」
「おう」
そう、こちらに提案してきた。
ギオは最後の最後まで、俺のことを裏切らなかったキャラクター。そんな彼がいま、真剣な表情でこちらに問いかけてきていた。
うーん、どうするべきか……。
「そうだなぁ……」
俺は腕を組んで考え込む。
ここで彼女を助けたら、勇者ルートに戻るのではないか。しかし今は選定の剣を持っていないわけで、勇者として扱われようがないとも考えられる、と。
そうなってくると、俺は――。
「うぅ……」
「…………よし」
涙ぐむアリシアを見て、俺は決めた。
「分かった。なんとか、協力してみよう!」
さすがに、ここで彼女を見捨てたら男が廃る。
そう考えて、俺はアリシア救済ルートを選択したのだった。
たぶん、今度こそ昼過ぎに更新します! 14時とか!