種族資料
記録 ビルベルツ・アルジェロム
種族名 人間
平均寿命 80歳
外見・体毛が少ない。黒、黄色、白と住む場所によって肌の色が少しずつ違うなど。
説明・ものを作ることが得意とされる種族。銃火器を作れるのも基本この種族だけだと言われている。
他種族からは嫌われているところがあり、あまり種族間の交流はない。聖王国の影響もあって最近はその限りではない場合もある。
所見・多くの人から人間について訊いてまわったがまだまだ人間嫌いは多いと感じた。帝国や戦王国、深奥国と人間は戦争し過ぎたんだろう。
種族名 羊人
平均寿命 130歳
外見・渦巻き状の角が頭部側面に一本ずつ生えている、黒目が横長である。特徴的な耳があるなど。
説明・視野が広く真横から二歩ほど下がったところまで見えるという。
どうも一人になることが嫌いらしく、常に誰かの側について歩こうとする。戦闘は苦手なようで敵からはすぐに逃げる。
所見・初めてあの独特なあの目を見たときは驚いた。正直に言えばどこを見ているのか分からなかった。
臆病なのか慎重なのか警戒心がとても強く、私があげた飴玉を口に含むのに安全なものか確認したりと実に一時間も要した。
種族名 狐人
平均寿命 300歳
外見・頭部上部に狐耳がある、柔らかい毛に覆われた尻尾がある、幾つか小さな牙があるなど。
説明・羊人と違って一人でいることが多い。
実は最も早く聖王国へ入国した他種族は猫人ではなく狐人だったらしいが当時そんなことは誰も気づいていなかったし、私も彼女から聞かされるまでは知らなかった。
種族全体なのかは分からないが、いたずら好きな性格で良く私の物を盗んでは隠していた。
所見・彼女たちは本当に賢いと思う。何があったかは書かないが私はまんまと彼女に言葉巧みに操られ痛い目を見たことがある。もう野宿は懲り懲りだ。
種族名 蛇人
平均寿命200歳
外見・鱗に覆われた太い尻尾がある、首の後ろ、背中、手の甲から肘、足の甲から膝などが蛇の鱗に覆われている。牙や長い舌など。
説明・他種族と比べて狩がとても上手だ。ただ規則的に何か食べなくてはならない体質ではないので、狩以外のときは本当にまったく動かないし喋らない。必要なこと以外は何もしないのだ。
たまに舌をチロチロと出す動作をするがあれは匂いを嗅いでいるらしい。
所見・彼らは脱皮をするのだが話していたときに突然目の皮が落ちたのであれには驚いた。あと、食べるときは基本丸呑みでそれにも驚いた。他にもいろいろと驚かされることが多い種族だ。
種族名 兎人
平均寿命 900歳
外見・頭部上部に柔らかい毛に覆われた兎独特の長い耳が生えている、丸い尻尾があることなど。
説明・とても長寿なことで有名な種族。
今の兎人は無口だがお喋りだった時代もあるそうだ。しかしその頃は同族での争いが増え大変だったという。更に昔、言葉を持たない時代は平和だったことを思い出した兎人たちは今のように無口になった。言葉を使わない意思の疎通方法はたくさんあるようだ。
所見・話をしてくれた彼女は蛇や狼が苦手らしく、彼らといるときはいつも私の後ろに隠れ地団駄を踏んでいた。子供みたいでかわいいと思っていたら、地団駄は兎人にとって立派な会話の一つらしい。意味はたくさんあるが今回のような場合は警戒や不機嫌らしい。
種族名 蟻人
平均寿命 120歳
外見・額に虫独特の触覚が生えている、間接が節足動物のような形状をしている、体表が硬い、腕が四本あることなど。
説明・分布状況から見て猫人や羊人の次に有名な種族だろう。
同族で集まり集団を作るところがあり、彼ら同士は例え他人であっても仲がいい。しかし決して蟻人以外と仲が悪いという意味ではないので注意してほしい。
所見・イメージ通り彼らはとっても真面目で誠実な人たちばかりだ。しかし私の出会った彼は失礼ながらそうでもなかった。狐人といたずらを仕掛けてきたりサボったりする。どんな種族も人によるのだなと彼を見て思った。
種族名 猫人
平均寿命 90歳
外見・頭部上部に猫独特の耳、猫独特の瞳の形、尻尾、牙があることなど。
説明・種族全体を通して好奇心旺盛であり、開国した聖王国に最初に入国した他種族であると知られている。
身体能力がとても高い。私が出会った猫人は60代であったにも関わらず体が柔らかく戦闘や狩で機敏に動き年齢を感じさせなかった。
所見・高齢であったためか彼は落ち着いていて常に紳士的振る舞いをしているが食事のときや狩のときは楽しいのか尻尾がゆらゆら揺れている。尻尾で感情表現しているのだろう。
種族名 狼人
平均寿命 70歳
外見・狼独特の耳や尻尾、牙などがある。
説明・彼らは狩や戦闘、食事、何をするにも基本は集団で行動する。どんな場合も一人でいることはない。その影響か彼らはとても連携が強い。彼女と出会ったときも居酒屋にて同族と二人で呑んでいるところだった。話の内容は、兎人と仲良くするにはだった。てっきり個人の悩みかと思ったら種族全体の悩みだった。
所見・私たちと行動するようになって一人になる機会が増えた彼女はたまに寂しそうな顔をする。もしや普段は集団でいるせいで一人に慣れない、あるいは寂しがり屋なのだろうか。
種族名 大狼人
平均寿命 80歳
外見・大きいこと以外は狼人と変わらない。
説明・種族としては狼人と同じなのでここは省略。
所見・狼人と比べて彼はさらに気弱な印象を受ける。同族といるときは頼りになるのだが、一人だと失礼ながらさほど。大狼人は今のところ一人しか知らないのでまだなんとも言えない。
種族名 蝶人
平均寿命 120歳
外見・背中の鮮やかな羽と、額の棍棒状の触覚など。
説明・蝶人にまつわる伝説は複数残されており、そのどれも蝶人を死の象徴として恐れ崇めるものだった。死を振り撒くだとか魂を食べるだとか、なぜそんな伝説があるかは不明だ。
蝶人の作るものは左右対称のデザインが多い。服もアクセサリーもすべて。種族全体的にシンメトリーが好きなようだ。
草食なので肉は食べれない。
所見・彼女と共に行動して思うのは甘いものが好きだというところだ。どんな食べ物も甘く味付けし、おやつとして角砂糖を食べていたりする。彼女の隣りにいるとそういった物の甘い香りが漂ってくる。
種族名 蛾人
平均寿命 120歳
外見・背中に蛾の羽がある、額から糸状あるいはクシ状の触覚が生えている、腕が四本あることなど。
説明・私からすると蝶人と蛾人は違うように思うが彼女たちからすると同じだという。しかし蝶人とは反対に夜行性のようで昼間はずっと眠たそうにしている。
蝶人と比べると飛行する速さは蛾人の方が上だ。
所見・ほとんど居眠りしているところしか見ない。それとこれは蝶人もなのだが近くにいると失礼ながら鱗粉が鼻に入ってまあ大変だ。
種族名 自動人形
平均寿命 000
外見・見た目は人間と変わらないが、50メートルの壁を飛び越えられる脚力、数キロ先の物が見えたりあるいは音が聞こえたり、片手で砲弾を潰せる、水の上が走れるなど、とにかく見た目の割に能力は人間離れしている。
説明・材質は様々だが最も一般的なのは金属製。なのでとても重く私ではおんぶなんてとてもじゃないができない。
護衛用、メイド、執事そして遊び相手など多様な型が製造されている。
所見・一般的に感情を持っておらず持ち主の指示がない限り動かないとされるが、私の出会った自動人形は違った。自身を人間だと思いこんでいる自動人形だった。その手の特殊な型だったかも知れないが、度々見せるあの生き物らしい反応が偽物だとはどうしても思えない。
種族名 スライム
平均寿命 000
外見・ほとんどの個体が決まった形を持っていない。色はいつでも自在に変えられるが意味はない。能力ある個体は自在に形を変えることが可能。
説明・噂には話せる者もいると聞くが、私はまだ彼らと意思疎通ができたことはない。
スライムのことをよく知る人物が教えてくれた話ではスライムに自然死という概念は持たないという。あのグニャグニャの体は基本的に不滅らしい。自らの意思で記憶を消すことができ、それを彼らの間で死としている。もちろん事故や戦闘による死もある。
大きな個体は自身を分裂させて数を増やし、分裂体を他スライムの分裂体と混ぜることで別種が誕生する。
所見・彼らは私の言葉に反応はする。しかしそれは意味を理解しての反応かは分からない。色々な手段を試したが彼らとの意思疎通はできなかった。
彼らの多くは見るだけで人間を攻撃するようなことこそなくなったが、まだ完全には許していないということなのだろうか。
種族名 蜘蛛人
平均寿命 400歳
外見・目が二つ以上である、手が六本ある。蜘蛛で言う腹部が腰辺りにあるなど。
説明・蜘蛛人はまだ聖王国に来ていないが彼らの作る精巧な工芸品がたまに店に並ぶことがある。その出来から彼らはとても手先が器用なのだろうと人間の間では考えられている。
彼らの糸は強力で自身を吊るすことはもちろん、戦闘や狩の際は相手に絡めて動きを封じることが可能。私のナイフでは太刀打ちできなかった。
所見・私が居て警戒してのことだったか分からないが彼らはとても無口で町は風で窓がカタカタ揺れる音が聞こえるほど静かだった。通りすがりに目があったとき会釈はしてくれるが声をかけてくる様子はない。みんなただ私をじっと見つめるだけ。失礼だが、正直に言うと彼らの町はかなり不気味で私の苦手なところだった。結局、会話したのはその町の門番と宿屋の人たちだけだった。ここへ案内してくれた蟻人の彼がいなければ入ることすら出来たか怪しいところだ。
種族名 鳥人
平均寿命 60歳
外見・背中、首の後ろ、手の甲から肘まで、足の甲こら膝までなどに羽毛が生えている、背中に翼が生えているなど。
説明・鳥人たちはひとつの場所に定住することなく常に移動している。何かに追われているわけでも追いかけているわけでもないのに、ずっと旅をして暮らしているという。
所見・実は私はまだ鳥人に出会ったことがない。彼らのいた痕跡のある場所を訪れたことはあるが。ぜひ一度、会って話がしたいものだ。
種族名 不死者
平均寿命 000
外見・死体や骸骨の姿をしている。
説明・その名の通り死は彼らには存在しない。事故や戦闘などで体が崩壊することはあるが、実はあれで意識を失うわけではないという。たとえ顔だけになっても動くことも眠ることもできずただずっとあり続けるらしい。
彼らは物知りであることが多い。沢山ある時間を知識をつけることに使うのだ。それ故か魔法の練度も他に類を見ない。
所見・彼らはよく見た目で誤解されがちだが決して理由なく生き物を襲うことはない。食事も必要ないため狩りもしない。しかしその知識を持っていてもいざ目の当たりにすると失礼ながら恐ろしいものだ。
彼らが言うには今の体は自分のものでは無いという。つまり、死体に宿った別の魂ということだと。
種族名 蜥蜴人
平均寿命 500歳
外見・首の後ろ、背中、手の甲から肘、足の甲から膝などが蜥蜴の鱗に覆われている、太い尻尾がある、人差し指と中指が変化しているなど。
説明・彼らは一言で言えば生まれながらの戦士。鎧を着なくてもその硬い鱗が見を守ってくれる。もちろん私の愛用のナイフでは太刀打ちできなかった。
種族全体、鍛冶が得意でカタナと呼ばれる特殊な剣を作れるようだ。革鎧なら簡単に斬り裂ける鋭利さだ。
水辺が好きなようで川のそばに村を作る。
所見・彼らはとても礼儀正しく他とは全く異なる文化を持つ。こころよく私を村に入れてくれたりもてなしてはくれるものの、とても閉鎖的で彼らに関する話はほとんど聞けなかった。
種族名 竜人
平均寿命 600歳
外見・頭部側面に太い角が生えている、瞳の形が竜独特の形、耳が竜独特の形、首の後ろ、背中、手の甲から肘、足の甲から膝などが竜独特の鱗に覆われている、背中に竜の翼が生えている、竜の尻尾が生えていることなど。
説明・翼で空を飛べたり竜への変身能力以外は蜥蜴人と同じ。別種族と思われがちだが、蜥蜴人という種族の中に竜人という種がある。なので蜥蜴人同様、一生を強くなるために使う生まれながらの戦士。
所見・蜥蜴人とほとんど同じ。同じ街に住み同じ言葉を話し同じ価値観を持っている。違いは見た目くらいなものだ。
種族名 緑人
平均寿命 700歳
外見・肌が緑色であること。希に髪に花が咲いている。
説明・緑人の死とは完全な植物になること。およそ680歳から体がそれぞれの植物へと変化していく。多くの場合は皮膚が固く茶色くなり足から根が生え、最期には木になってしまうのだとか。意思の疎通はできなくなってしまうので死としているが実際は不明。
誤解されがちだが植物の言葉は分からないそうだ。
所見・私は今まで緑人には一人しか出会っていない。森でたったひとりで暮らしていた少女だ。彼女は女性特有なものか緑人だからかははっきりしないが、甘いようなとてもいい香りがした。
彼女は日光に当たるととても元気になり、反対に日が沈む夜や暗い洞窟は気分が沈む。植物としての特性なのだろう。
最後に、少女は森でたったひとりで暮らしていた。以前までたくさんの緑人が住んでいたが、みんな木や花になってしまったという。これを読んでいる誰かがもし暇そうにしている彼女に会ったならどうか話し相手に、遊び相手になってあげてほしい。
種族名 吸血鬼
平均寿命 900歳
外見・基本的に美形しかいない。程度に個体差があるが肌は白く瞳が赤い。吸血鬼らしい牙が生えている。
説明・吸血鬼は日光を浴びると燃え上がりすぐに日陰に戻らないと灰になってしまう。
食事は伝承通り血のみで、昔は周囲の村を無差別に襲い調達していたという。最近は事情が変わったらしいがどう変化したか明かしてはくれなかった。そういった都合から吸血鬼が極夜の城から出ることは無くなったそうだ。
吸血鬼はまだ人間を嫌っているようで初めて城を訪れたときは門前払いされてしまった。二度目には入れてもらえたが監視役を二人つけてという条件付きだった。聖王国が今の状態になってつい130年程度。寿命の短い種族からすれば長いが、吸血鬼から見れば自分の世代なのだから警戒するのは仕方ないだろう。
監視役の話では私を城へ入れる許可を出したのは血涙卿と呼ばれる人物で、その人がいなければ私は入れないどころか生きて帰れなかったかも知れないという。もし、城を目指す者がいるなら用心するべきだ。
所見・極夜の城は様々な芸術に溢れていた。絵画、彫刻、歌、音楽、踊り。外へ出れない都合上、そういった技術を発展させてきたのだろう。
監視役以外で私と会話をしてくれたのは血涙卿だけだった。吸血鬼のことや彼女の知る種族について聞くことができた。しかし彼女との約束で全容をここに記載することはできない。吸血鬼を除く種族のことについて一部を書くことは許してくれた。
種族名 妖精
平均寿命 1200歳
外見・羽が蝶と似たものを持っている。目をあらゆるデザインに変えることが可能。
説明・血涙卿に聞いた話では、彼女の知る限り妖精はもう一人しかいないという。
所見・彼女は教えてくれなかったが何か隠している。特に気になる文言を以下に記しておく。一体どういう意味だろうか。
君たちの知る妖精は私の知る範囲では一人しかいない。
種族名 巨人
平均寿命 200歳
外見・一番小さな個体でも2.5メートルは身長がある。大きさが違うだけで他は人間に似ているという。
説明・巨人は基礎体温が高く寒さに対して非常に強い。反対に温暖な気候には適さない体らしく北の凍土よりこちらに降りてくることはほとんどない。
所見・巨人に会うため何度も北の凍土に挑戦しているが一度も成功したことがなく。故に巨人には会ったことがない。
種族名 シェイプシフター
平均寿命 不明
外見・あらゆるものに完全に擬態することができ、見分けることは不可能。
説明・存在は知られているが私はまだ会ったことがない。
所見・何をどこまで擬態できるのか知りたいところだ。
種族名 魚人
平均寿命 150歳
外見・人で言う顎の両横の端、えらに魚の呼吸器官、鰓がある。体色は種類によって様々。魚型、タコ型、クラゲ型などの複数の種類が存在するとある魚人は教えてくれたが細かな情報まではない。
説明・彼らの国は陸の国と全く関わろうとしないため情報がない。
所見・情報を教えてくれた魚人とは会えなくなってしまったため新しい発見はない。
種族名 首無し
平均寿命 不明
外見・頭と胴体が離れた人。
説明・血涙卿がそんな種族がいると話していたが、私は見たことはおろか聞いたこともない。
所見・何も言えない。
種族名 幽霊
平均寿命 無し
外見・様々。
説明・まず、種族として数えていいかはさておき。不死者のひとりが確実に存在すると話していた。不死者なら誰でも幽霊に会えるらしい。
所見・またいつか不死者に会ったら植物へと変化した緑人に会うことは可能か訊こうと思う。
▷補足
最近は一部の種族について人間寄りのタイプとそうでないのとが存在するようだ。ここに記載しているのはどちらもに共通する特徴のみであり、更に獣人あるいは虫人らしい姿をした場合ももちろんある。
これらの原因として考えられるのは聖王国が他種族を受け入れるようになったからだろう。ニ代前の聖王が他種族入国許可を出したことは歴史的にも種族学的にも大きな出来事だったようだ。
こうして人間と他種族が交わる機会が増えるのは良いことだと思うが、あるいはそれは種族の多様性の損失になりかねないのではないだろうか。私はそれが心配だ。
▷虫系種族について
未だ未発見の種族が存在すると言われている。ここに記載しているのは一般的に知られている、または私が存在を確認した種族である。
世界には私の知らない種族がまだ多く存在すると考えられている。それは空か地下か、あるいは海か別の大陸か。もしかしたら私達と生息圏を同じくする者でも知らない種族がいるかもしれない。
私は旅に出ることにした。まだ見ない種族を求めこの世界の果てまで歩いていこうと思う。多くの仲間と共に。