表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時間の移動者  作者: とう
7/10

6話 新しい条件

今回短めです

そろそろCrowが俺達を殺しに来る時間だ。前回Crowは、トイレの逆の方から向かってきた。ならば、あらかじめ来る方向に待機していて、足止めをすればいいだけだ。このハサミはあくまで護身用だ。


「あと五分……」


時間が迫るにつれ、心拍が早くなるのを感じた。汗も凄く、手が微かに震えている。恐らく怖い……んだと思う。当然だ。普通に過ごしていたなら、こんなに危険な足止めはないのだから。


(そろそろか……?)


時刻は9時。Crowが現れる時刻だ。俺の警戒が強まる。


(どこから来る……?)


大体来る方向は絞られているが確実ではない。どこから来てもいいように満遍なく周囲を警戒する。すると、遂にCrowが姿を現した。


「……!?何故だ……!?」


何故……何故Crowはトイレの方から来たんだ……!?Crowはこちら側から来るはずだ……!!


「くそっ……!!」


俺は急いでCrowを追いかけた。Crowは当然、まっすぐ俺達の方へ走っていく。どうにかして足止めをしなければ……!そうしなければ……!


また、殺されてしまう……!!


「待てぇぇぇ!!」

「!?」


俺は無我夢中でCrowに飛びかかった。2、3度回転しながら転がった。俺がCrowに覆い被さるような格好になり、なんとかCrowを取り押さえた。


「やっと……やっと捕まえたぞ……!!」

「…………」


俺は持っていたハサミをCrowの喉元に突き立て、反撃出来ないようにする。もちろん、本気で殺すなんて事はしない。


「お前は何者だ……!?何故沙希を狙う……!?」

「…………」


問いかけるが、答えがない。表情を見ようとしても、黒い鳥の仮面のせいで顔も見えない。このままでは拉致があかない。どうしたものかと考えていると……


「俺はお前の秘密を知っている」

「……は?」


突然、Crowがそんな事を言い出した。この言葉は聞いたことがある……。いや、正確にいうと、聞いたことがるではなく、“見たことがある”だ。この言葉は、俺達の秘密基地で見つけたメモに書いてあった言葉だ。


「どういうことだ……?」

「…………」


また口を閉ざす。俺はどんな事をしてでも聞き出してやろうと思い、さらにハサミの刃を喉元に近づけた。


「今の状況を分かっているのか……?」

「…………」


くっ……、これでもダメか……!そう思った時、Crow何やら動いているのに気づいた。抵抗かと思ったが、抵抗にしては動きが小さい。


「おい!!勝手にうごっ!?」

「お前は甘いんだよ」


突然襲いかかった腹部への熱。目を見やると、そこからは赤い液体が溢れ出している。Crowの手にはハサミが握られていた。そのハサミの先端が赤くなっており、そのハサミで俺の腹を裂いたのは容易に想像出来た。


「おまっ……え……!!」


裂かれた腹部を抑えるが、血が止まる事は無い。俺は徐々に力が出なくなり、その場でドサッと倒れた。Crowは、そんな俺をつき飛ばし、こちらをちらりと見ると、俺達の方へ走っていった。


「ま……てっ……!!」


また助けられないのか……?また俺は何も変えられないのか……?俺は薄れいく意識の中、自分の無力さを嘆いた。


「く…そっ……!!こんど……こそはっ……!!」


“絶対助ける”。視界も真っ暗になる中、俺は決意した。


ーーーーーー

ーーーー

ーー


「…………はっ!?」


目がさめると、そこはトイレの裏だった。あの後どうなった……?記憶が曖昧の中、俺は先程までの出来事を整理した。


(確か、Crowを捕まえられて……そこで俺は……)


“殺された”……そこまでは覚えている。だけど、その後は……?


「そうだ!今日の日にちは!?」


自分のスマホを確認すると、セットした日にちよりも2週間過ぎていた。となると、現代に戻ってきたのか?


(過去で死んだら、現代に強制送還されるって事か……)


何にしてもよかった……。あの時は悔しさで考えていなかったけど、あのまま死んでたらそこで終わりだったからな……。


「にしても、まさかトイレの方から来るとは……」


前回と違う方向から来るなんて……。やはりCrowの能力は予知能力で決まりだ。


「それにあの言葉って……」


『俺はお前の秘密を知っている』


あのメモはCrowが残したのは確実だろう。でも、俺の秘密……能力をどこで知ったんだ?俺は能力を使う時、誰にも見られないように気をつけていたし、Crowに襲われた時はまだ能力を持っていなかった……。そもそも、俺の部屋に何故能力を与えるスマホがあったんだ……?


(くそっ……!分かんねぇことばっかりだ……!)


俺は頭をガシガシとかき、これからの方針や作戦を考える。今度こそ沙希を助けるために……。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ