プロローグ
唐突だが才能というのは理不尽だと思う、誰でも一回は経験があるかもしれない、例えば自分は猛勉強してもちょっとだけ勉強した天才の方が点数が上、どんなに練習をしてもゲームで勝てない相手がいる等、様々な経験が一回位はあるのではないだろうか、これらの現象は何故起こるのか考えてみた、練習量は同じなのに違った結果が出る、そうこれが才能があるないの差なのだ、しかし人には長所短所がある完璧な人間などこの世にはいない、が無能な人間ならいるその証拠が俺、六野宇多人だ、無能だって?そんな事数えるのも嫌なほど言われたさ、でもな俺にも才能があるそれは....人から嫌われる才能だ!おい今笑ったやつ出てこい、まあそんな訳で俺はスポーツが得意な訳でもなく、頭がいい天才でもなく、ゲームすら出来ない只の凡人だった、あの日までは...
「ハァー疲れたそれにいってーなあのゴリラ力だけは強いんだよなー」
独り言を言っている少年六野宇多人は自室で小説を読んでいたゲームすらできない彼の娯楽はこれ位しかなかった。
「ったく、俺はサンドバッグじゃねーつうの、全くむしゃくしゃしてるから殴られろとかお前はジャイアンか!テストの点数が悪かったからって俺を殴ることはねーだろ、でも殴られたことよりゴリラの点数を下回ってしまった自分が情けない....くそっあのゴリラは人を苛立たせる事に関してはプロだな。」
そんな事を言いながら宇多人はなにが自分がゴリラと言っている人物を怒らせてしまったのかは自分で分かっている。
「まあ、結局俺のせいなんだけどさ。」
宇多人はゴリラの教科書を自分の教科書と間違えてしまい、それで凄く嫌悪されているゴリラだったが俺よりは嫌われていなかった為宇多人は担任に叱られた挙げ句ゴリラに暴力を振るわれて現在に至る。
「神様....てめえは酷い奴だ性悪だ、人にこんな才能与えやがって口を開けば空気を気まずく、体を動かせば人にぶつかる(ラッキースケベは皆無)、しかもイケメンにばっかり知恵や身体能力を与えてさあ、お前はニートを増やしたいのか?バカなのアホなのクズなの?俺は全部だ。」
そんな事を言いながら読書をしていた宇多人は丁度ライトノベルの終わりに差し掛かった、そして主人公の結末を見た宇多人は呆れた様にベッドに転がり寝た、この時宇多人は後何が起こるのか知る由もなかった。
「ふぁーあーよく寝たーーんここは何処だ?」
宇多人が目覚めたのは四方八方が真っ白な壁で塞がれている空間だった。
「誘拐された!?ヤベッ携帯は...ないかってなんだ!?」
宇多人が驚いた理由は目の前に半透明のプレートが出現していた事だった。
「な、なんだ?」
宇多人は半透明のプレートに表示されている文字を読んだ。
「さて何故こんな所にいるのかと疑問に思っている方もいらっしゃると思います、実は貴方達の星地球は消滅しました。邪神クトゥルフが現在星を破壊し続けていますそれを止めてもらうために貴方達には異世界に行って邪神を倒して来て貰いたいと思い一番最初に邪神に破壊された星の皆様を異世界に転送する事となりました。邪神に対抗するために適性のあるスキルを選択して異世界での力を身に付けることが出来ます、選択し終わったら最後の決定を押してください。」
この文字を読んだ宇多人は危うく発狂しそうになった、なぜならあの弱い自分を捨て去ることが出来るからだ。宇多人はスキル選択と表示されている所をタップした。
「神様失礼な事を言ってすみません僕がまちがっ」
宇多人は表示された内容に絶句したそこに表示されていたのは
【挑発】【逃走】【邪魔】という6文字だった。
「前言撤回、てめえは性悪だ!!こんなスキル要らねーよなんなんだこれは!!何系のゲームで必要なんだこのスキルせめて剣術とかにしろおおおおお!!!」
宇多人は叫びながら半透明のプレートをこれでもかと言うほど凝視したこの状況を打破する一手は無いのかと考えながら、しかし一つだけ文を見つけた宇多人に与えられたのは絶望だった、
『適性とは才能の事です、スポーツが得意な人は武器系スキル、勉強が出来る人は魔法系スキルを取得出来ます、他にも生活を豊かにする生産系や補助系があります。スキルが多すぎて困るときは適性診断で高い順から取得する事をお勧めします。ステータスは元の肉体、スキルに作用されます。』
「な、スキルが多すぎて困るだと3つしかねーよ3つしか!適性診断か...やってみよ。」
宇多人はプレートの左端のメニューから適性診断をタップした。
『適性診断結果
高い↑
挑発、逃走、邪魔
低い↓
なし
取得不可×
武器系、魔法系、生産系、補助系、その他』
「ぐはっダメージが半端ねえもういい全部だ全部取得してやる」
宇多人は挑発、謝罪、邪魔の横にある○を押した
『挑発、逃走、邪魔を取得しました。』
『条件を満たしました称号『雑魚』を取得しました。』
『条件を満たしました称号『雑魚』が『ゴミ』になりました。』
『条件を満たしました称号『ゴミ』が『無能』になりました。』
「な、なんだとお前が邪神じゃねーかこんな称号用意しやがって、今度はステータスだ」
宇多人はステータスよ表示されている所をタップした。
『六野宇多人
生命力10
魔力1
筋力3
防御2
敏捷4
知力3
精神力8
装備
なし
スキル
【挑発】【逃走】【邪魔】
称号
【無能】
「何故精神力だけが高いんだよ糞が、もうお仕舞いだああああ!!邪神どころかスライムですら倒せないぞこれじゃあ!!何なんだよ俺はの○太君か、もう嫌だ現実も異世界も俺はいつまでたっても何処までも無能を貫くんだああああ!!精々魔物にやられて死にますよ、じゃあね神様!!」
雄叫びともとれる叫びを発しながら決定を押した。