ーサクラー
少年と少女は、17年間、いつも一緒だった。
生まれた頃からお隣さん。成長してくのも一緒だった。
しかし、少年は少女より、成長していく。少女にとってそれは少し、悲しい事だった。少年がどこかに行ってしまうのではないか。知らない女と恋に落ちて、少女の事なんて忘れてしまうんではないか。
少女は、それが"恋"だと気づく。毎日喋っているが、毎日考えてしまう。少年の顔をまともに見ることもできなくなり、しまいには逃げてしまったりもした。そう、これは少女にとっての、初恋だった。
愛魅は、本を買いに町に行こうとしていた。
「あ、私町に用事があったんだ!ごめん、翔くん!それじゃ…」
「俺も行く」
翔の突然の言葉に愛魅はびっくりしていた。
「え、え?か、翔くん?頭打った?」
あまり賑やかなところを好まない翔が自分から言い出したのがよほど驚いたんだろう。
「うってねーよ!なんだよそれ!ただ単にお前がっ…」
翔は自分の言ってる言葉に気づき、顔を真っ赤に染めてお前がを数回繰り返している。
愛魅にとっては、やはり頭を打っておかしくなったようにしかみえてなかった。
「私が…どうしたの?」
愛魅は困った顔で聞いてみた。
「お前が…………あぁ!とにかく俺も行く!」
えぇーと言う愛魅に、うるせっとスタスタ歩きだしまう。
「ちょっ翔くん待って!翔くんまってぇー」
愛魅は慌ててその後をおった。
まだ耳まで赤い翔を見て、愛魅は思わず笑ってしまった。
「な、なんだよ…」
翔が笑うなよと言う顔で言った。
「いや…フフ…なんか…クス…翔くん顔真っ赤だなって…」
頑張って笑いを堪えながら愛魅は言った。かなり面白かったのか、愛魅まで顔を赤く染めていた。
二人は顔を合わすと、二人で笑い始めた。
「お前も人の事言えないじゃねぇーかっ」
「翔くんよりかは赤くないもーん!」
うるせっと翔は笑いながら言った。二人共とても笑っていたため、笑い終わると息が切れていた。
「はぁはぁ…んで…お前何の用で町行くの?」
愛魅はえぇーっと、と言う顔で思い出していた。
「あのね、ちょっと本屋さん行きたくて」
おぉそっかと翔が言うと、なぜだかまた愛魅が顔を赤くした。
そうすると、翔がニヤニヤしながら、
「え、なに、いやらしい本でも買いに行くのかね?」
と、ふざけながら聞いてみた。
「もぅ!私そんな本買わないもん!そんなの買うの翔くんでしょ!!」
と怒りながら否定した。
じゃどんな本?と言う翔の言葉に愛魅は、
「えーと、そのぉ…か、翔くんには内緒!」
なんだよ教えろよ、と言う翔にだめ!と言う愛魅。
傍からみたら恋人に見えるこの二人。しかし恋人ではなく、あくまでも幼馴染みである。そして愛魅にとっては、"片思い"であった。
町に行く道に桜が沢山並んでいる。
愛魅と翔は、この桜並木を17年間、ずっと見ている。
この時期は、桜が満開に咲いていて、風に揺られている。
ここを通ると、昔の事が思い出される。
人が賑わっていて、鳥たちが眩しく飛んでいた。
しかし、今になると戦争でみんな落ち着かない。鳥たちも全然飛ばなくなった。
ここで変わらないのは、桜だけだ。
桜並木を歩いて結構たった。
翔が、何やら学生服のポケットを探り始めた。
すると、可愛らしい布に巻かれた何かが出てきた。
そして、翔が、
「こ、これ…」
と、愛魅に差し出した。
なんだろう、と布をを開くと、可愛らしい桜色の長い紐が入っていた。
愛魅の袴と似た色だ。
「誕生日プレゼントだよ。さっき渡すの忘れてたから…」
愛魅は目に涙を薄く浮かべて、
「わーわわありがとぉ!とっても嬉しい!」
と、とても喜んだ。
「ほら、貸してみ」
と、翔が言うので愛魅は翔に桜色の長い紐を渡した。
すると、翔は、愛魅の人束に纏められた髪の結んであるところに、その紐を結んだ。
「ほら、やっぱ似合う」
と、優しい笑顔で言った。
愛魅にとってその笑顔はとても貴重なものだった。
とても心が騒いだ。
「あ、ありがと…」
愛魅は照れながらお礼を言った。
もうすぐで着く町の道を愛魅は、とても遠く感じた。
読んでいただきありがとうございます!
2話目はどうでしたでしょうか?
ご満足いただければ幸いです。
2話目はとても二人ともリア充でしたね…
私もこんな恋したい…!
なんだか重要なところを忘れ気味です…
まだ続く予定なので、よければこれからもよろしくおねがいします。
では、次は3話目でお会いしましょう。