ーハルー
-1944年-
少女は学校の門を出て家に向かった。
今は春。桜が満開に咲き誇り、花々が風に揺れている。
坂上愛魅の17度目の春である。
黒く長い髪を一つに束ねて、風に揺らしている。
桜色の袴を着こなし、思い出の道を駆ける。
「お母さんただいま!」
元気で明るい声が玄関に響きわたった。
「おやおや、お帰りなさい」
娘の帰りに微笑みかけてくれる母。
愛魅の家族構成は、父、母、妹である。
4人の家族である。
「お母さん!ちょっと出掛けてくるね!」
何処へ行くの?と言う母の言葉にたいして、ちょっとね、と急ぎ足で家を飛び出した。
飛び出していった娘を見て母は少し、微笑んでいた。
愛魅は息を切らしながら走っていた。
すると、突然後ろから髪を引っ張られた。
「きゃ!?」
愛魅は驚きながら急停止した。
「おせーぞ」
髪を引っ張った犯人は、隣の家に住む幼馴染みの、山戸翔である。
「か、翔くん!」
先程より驚きながら少年の名前を呼ぶ。
翔は少し笑いながら、
「愛魅、17歳の誕生日おめでとう」
それは祝いの言葉であった。翔は少し、顔を赤く染めていた。
「え、あ、う、…ありがとう」
驚きながらも優しい笑顔でお礼を言った。
17歳。昔とは違い大人に近づいた。
しかし、そんな幸せな時代ではない。
だんだんと現実に引き戻されていく。
今は、無残で残酷な、戦争を…しているのだと…。
全然小説投稿してないKakeruです。
今回は、ある好きな曲のイメージ絵を書いていて思いつきました。
絵に考えた設定が自分で泣けました。
多分私だけですが…。
よろしければ、2話目以降も見てください。