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花宝石の箱庭  作者: 琴花翠音
第一章 神の力を求めて
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"笑顔"を大切に

 エレンたちが先へ進んでいるちょうど同時刻──…セラヴィ率いるグループでは、エデンの地下への潜入に徹していた。


「こっちはまず捕らわれている人たちの救出を優先。どれだけの人数がいるかも把握できていないから、行動は慎重且つ迅速に!」

「はい!」


 小声だったが、セラヴィの鶴の一声で、メンバーは気を引き締める。彼女たちが潜入した地下には、事前の調査で上級魔法の使い手たちが閉じ込められていることがわかっていた。


「ファニー、あなたにはぜひ、捕まっている人たちを安心させてほしいわ。笑顔笑顔♪」

「はいっ! うちの得意分野やね!」


 メンバーの中では珍しく一切魔法を使用せず過ごしてきたファニーもセラヴィと行動を共にしていた。彼女の人柄を大いに役立ててあげるためにと、セラヴィは今回の任務で共に行動するよう決めていたのだ。だが、もちろん潜入した先で敵からの襲撃がある。その際には魔法が使えない彼女を守りながら動かなければならない。その状況を、ファニー自身も全くわからないわけではない。笑顔で話していても、今回の任務で自分は迷惑なのではないか?、という不安も少なからず抱いていた。案の定、何度か敵と遭遇したが、司令官ならではの適格な命令で、見事な連携を見せ、あっという間に切り抜けていった。


「ファニー、あんたもしかして魔法が使えないこと、今さら気にしてたりしない?」

「へっ?」


 唐突にそんなことを言ってきたのは、同級生のローラだった。ファニーの同級生の中で一番の努力家で優等生の彼女は、自慢げな態度を度々見せてはいるが、ちゃんと周囲の様子も見られる子だった。学校でもガーデンでもよく一緒にいる関係なら尚更だった。


「いっつも『うちは魔法が使えなくても幸せなんよ』、とか言ってたじゃない。なぁに辛気臭い顔してんの!」

「えぇ? そんな変な顔して…」

「してなかったら言わないわよ! ほら、もっと笑いなさいよ!」

「イタタタタタタ!! ローラ! 痛いってぇ!」

「こらっ、あんまり大きな声出さないの」

「「はーい…」」


 ローラがファニーの両頬を横に引っ張って、無理にでも笑わせようとする。結局セラヴィに叱られてそこで会話が止まってしまったが、そのおかげでファニーはいつもの調子を取り戻していた。「もー! 怒られちゃったじゃないっ」と言いつつ笑っているローラを見て、またファニーも元気づけられていた。

 しばらく進んでいくと、地下牢の並ぶ区画に差し掛かった。薄暗いレンガ造りの構造は、いかにも囚人を捕らえている収監所のような雰囲気だった。物陰に身を潜めながら、辺りの様子を伺う。周囲には、一人用の牢が並んでいるが、どの牢にも誰一人として入れられていなかった。もっと見てみると、その先に少し開けた空間があるのが見えた。あらかじめクラッシーから譲り受けていたスコープを使い、その空間の様子を除くセラヴィ。


「…どうやら、あの奥に大衆用の牢があるみたいね。きっとそこにいるに違いないわ」

「でもそしたら、絶対監視の奴らがいますよねぇ?」

「じゃ、ぼくが一芝居かましてきましょうか!」


 率先して囮役を買って出たのは、自他共に認める童顔をあえて武器とするケルトだった。頭脳明晰な彼は、そういったギャップもコンプレックスとせず活用していくため、あらゆる場面で役立っている人物だった。

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