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花宝石の箱庭  作者: 琴花翠音
第一章 神の力を求めて
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疑いの目

「…足が固定された…」

「へっ?」

「そう! 気付いてくれた? 今まではハンドル握ってないと操縦できなかったけど、それじゃあ空中でなにもできないしね。ただ固定しただけじゃなくて、ちゃんと持ち主の動きに合わせられるようになってるから、かなり自由が利くはずだよ」

「…ありがとうございます」

「いーえ! 未だ試作段階で申し訳ないくらいだよ。…っと! わたしもそろそろ戻らなきゃ! ごめんね! また後で!」


 クラッシーはそう言ってバタバタと走り去っていった。アールも大花盤から降りると、あることに気付いた。


「…この魔珠人形はどうやって解除するんだ…?」

「あ…」


 道中何があるかわからない中、エレンが二人もいることが目撃されれば、魔珠人形を使った作戦もすべて水の泡になる。その場にいる全員が慌てて解除方法を探り、予定より数分遅れて出発した。

しばらく歩いていると、メリヴァが口を開いた。


「…このまま首謀者のもとへ突撃できるの?」

「っ? どうした? 突然…そのつもりじゃ…」

「ここまで"何も無さすぎる"のよ。もう向こうにガーデンが侵入しているって見抜かれているんじゃないの?ってこと」

「…確かに静かすぎる…エレンちゃんを攫っておいて、こちらが動かないなんて思うはずがないし…」

「罠…ってことか?」

「なっ…! 俺らは違うぞ!」


 それぞれの見解に、マーベラやヘラスは必死に弁解しようと焦りを見せる。それに対しアールは落ち着いて諭す。


「安心しろ。何もお前たちを疑っているわけじゃない。"お前たちスパイ組も含めて"、奴らの手の上で転がされている、ってことだ」

「もっとダメじゃん!!」

「ならこの子はどうなのよ」

「えっ…?」


 メリヴァはテムの方へ視線を向ける。突然の振りに、テムも困惑する。


「わ、私も違います! 皆さんを裏切って報告するなんて…! そんなことしていません!」

「ガーデンのスパイとして潜入しているわけでもないのに?」

「それは…っ」

「よせ、メリヴァ。彼女は違う。本心からグラッツに対抗したいと思ってる」

「!」

「アール…」

「すまない、最初俺も少し疑って心読術で読んじまった…今は疑ってないし、もう心も読まないから、安心してくれ」

「…やっぱアールには隠し事出来ねえわ…」

「それな…」


 改めて、アールには敵わないと察したマーベラとヘラスは、軽く身震いをした。それをよそに、アールは速やかに先へ進もうとするが、エレンが慌てて引き止めた。


「エレン?」

「だっ…大丈夫なの…? さっきの話…この先、アールやみんなにも危険が及ぶ可能性があるってことでしょう?」

「大丈夫だから…さっさと決着をつけて帰る。それだけだよ」

「でも、私が…ここに連れてこられなければ…っ!」


 不意に、アールはエレンを抱き寄せた。自分を責める彼女の言葉を遮り、淡く柔らかい金色の髪をなでながら宥める。


「エレン、自分を責めなくていい。お前のせいじゃないし、迷惑だとも思ってない。むしろ、ちゃんと守ってやれてない俺の方に責任がある」

「そんな…そんなことないっ…アールはっ」

「…お取込み中申し訳ないんだけど、さ…そろそろ動かないとマズいんだが…」


 再びエレンの言葉が遮られ、今度はヘラスが恐る恐る入ってきた。そんな彼に対し、アールは一瞬、邪魔すんな、と言わんばかりに怪訝な表情を見せたが、エレンが咄嗟に顔を赤くしながら離れた。


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