新たな仲間
「あの…っ」
「ん? どうした、何か…って、うわあっ!? テム!?」
遠慮がちに扉から顔を覗かせたのは、ボリュームのあるツインテールで少し幼顔の女性。彼女を見るなり、マーベラをはじめとする3人が驚きのあまり大きく飛び退いた。さらには表情も少し青ざめている。その様子に疑問を抱いたアールが不審に思い訊いた。
「…おい? どうした、マーベラ」
「テムは、俺らとは違って正式なエデンのメンバーなんだよ!」
「!? バレたのか!?」
「違います! 私は…確かにエデンのメンバーですけど…今回は、個人的にお願いに来たんです」
「お願い…?」
「彼女の話…聞いてあげてくれないかしら?」
「えっメリヴァ…!? いつの間に…」
いつの間にかメリヴァも部屋に居て、アールたちも驚いた。しかし当の本人は、そんな周囲を気にせず話を続けた。
「さっきの、人形の大群で奇襲をかけてきたのも彼女だけど、攻撃の仕方が本気じゃなかった。私たちガーデンを誘導しているようにも見えたわ」
「…そうなのか? テム」
「………」
マーベラの問いに、一度不安な表情で俯くテム。そして恐る恐るだが、真剣な眼差しでアールたちに懇願した。
「"ナージュ"を…私の大切な友達のナパージュを助けてください!」
「ナパージュ…?」
「テムと同じでエデンに所属している一人だよ。でもナパージュを助けるって…?」
「…ナージュは…洗脳されてるんです。グラッツのせいで…!!」
「!…グラッツ…」
その名前を聞くと同時に、アールの表情が急に険しくなった。彼の様子を見て、エレンは心配そうに訊ねる。
「アール…? 大丈夫?」
「え、あぁ…俺は大丈夫だけど…」
「…そのグラッツって人…もしかして、私をここに連れてきた張本人なの?」
「っ!…どうしてそれを…」
「私がここに連れてこられる前と、同じ表情してたから…」
(そんなに顔に出てたのか…)
「確かに彼は、強力な傀儡術の使い手だ。あり得ない話じゃないね。そのナパージュって子は、意識とは裏腹に彼に従っている…と言いたいんだね?」
キミーが付け加えて話す。テムもそれに大きく頷く。それを見たキミーは、優しく微笑んだ。
「…わかった。テム、君も一緒に行こう。最終的な目的もボクらと同じだということもはっきりしたし」
「…! ありがとうございます!」
「………」
嬉しそうに答える彼女につられ、周りの空気も少し軽くなる。テムには、笑顔がとてもよく似合った。しかしメリヴァだけは、彼女に対し怪訝な表情を見せていた。そしてアールたちでこれからの行動をどうするかの作戦を立て始めると同時に、メリヴァはテムに声を潜めて訊いた。
「…あなた…いつから"────"になったの…?」
「!? なんで…っ」
「…私のことに気付いてなかったのね…そしたら、あなたはまだその"身体"になったばかりね」
「まさか…」
「そう、私もあなたと同じ…でもキャリアは全然違うわ」
「……あなたは…どうして…」
「一つ、忠告しておくわ。あなた…あまり力を使いすぎると、今に取り返しのつかないことになるわよ」
「………」
メリヴァはテムの問いを遮り、厳しい言葉で話を終わらせる。彼女からの忠告の言葉に、テムはただ唇を噛み締めていた。




