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花宝石の箱庭  作者: 琴花翠音
第一章 神の力を求めて
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出動

「セーラちゃんは、ボクの大花盤に一緒に乗ろうか」


 出動口には、アールをはじめとするグループが準備を整えていた。そこでキミーが、セーラに自分の大花盤に乗るよう示した。


「アールくんと一緒だと、振り落とされちゃうかもしれないからねぇ…はは…」

「…そうなんですか?」

「そりゃあ…フルスピードで飛ばしていくんでしょ? アールくん?」

「もちろんです」

「わ~…即答だねぇ…わかってたけどさ…」

「一刻も早く、エレンを取り返さないと…」

「その気持ちはわかるけど…」

「キミーさん、あたしもアールさんと同じスピードで行きたいですっ」

「えぇえ!? 何を言ってるのセーラちゃん! 危ないよ!」

「この任務自体、危険を承知で行くんですから、これくらいどうってことないです」


 なんて頼もしいのだろうか。セーラのその言葉を聞いて、口をポカンと開けて驚いているキミー。その後ろでアールは、どこか安心したように、うっすらと笑みを浮かべていた。


「…じゃあ、ちゃんとついて来てくださいね。キミーさん」

「えっ…えぇえ!? フルスピード決定なの!? 他のみんなはどうするの!?」

「おれたちは、後続の班と同様に、相手が襲撃してきた際の迎撃に専念します。到着したら連絡を入れますから、その時に皆さんが集合している場所を教えてください」

「デルフィノ君! それはまた危険すぎ…」

「大丈夫ですよ。デルフィノだって、厳しい訓練を受けているんですから。任せて大丈夫です」

「えぇ~…ボク、スピード出すの苦手なんだけどな…」


 アールたちの会話を聞いていたデルフィノも三人の話に加わり、アールとキミーが、セーラを連れて先に敵地へ向かうことになった。一人ぽつりと愚痴を零していたが、誰も気にもとめずに準備を進めた。

 そんな時、セーラがおもむろにキミーへある質問をぶつけた。


「そういえばキミーさんは、今日は"どこから"帰ってきたんですか?」

「やだな~セーラちゃん。人聞きの悪いことを…」

「今回は、司令官室の机の下から現れたわよね?」

「…毎回思うが、あんたは一体いつになったらまともな出入りをするんだよ…」

「ちょっ…セラヴィ、わざわざ言わなくてもいいだろう…アールくんまで、そんな蔑むように見ないでって!」

「また変なところから入ったんですねー」

「セーラちゃんまで!」


 本部に帰ってくる際、毎度のことながら不法侵入のように入ってくるキミーに対し、周囲から冷たい目線が飛んだ。そして少しの間をおいて、セラヴィが一声かけた。


「さあ、ここからは、気を引き締めて行くわよ! アールの班が出動して30秒後に、セイロンの班が出動。その30秒後に、私たちの班が出るわよ!」

「はいっ!」


 司令官の支持に、全員が答える。先ほどの雰囲気は微塵も感じない。皆、真剣な表情だ。そして、各々の大花盤に順に乗り込み始める。

 すると、アールのもとへ、セラヴィが駆け寄ってきた。


「アールっ」

「はい?」

「…くれぐれも、無茶だけはしないで」

「!…はい!」


 アールは一瞬戸惑ったが、はっきりと返事をした。セラヴィの、普段おっとりとした瞳からは、心配と不安と、"必ず任務を果たす"といった、多くの意味が見て取れた。


「それじゃあデルフィノ、任せるぞ」

「はい、先輩もお気を付けて」


 そして──…定刻。アールと、セーラを乗せたキミーの大花盤が、先頭で最高速度で飛び出して行った。それに続き、他の隊員たちも、様々な色のネオンの尾を引きながら、敵地へ向かって飛び出して行った。


 エデンとの因縁は、エレンに関係することだけではない。何人もの秘密が明らかになるまで、秒読みとなった。


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