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花宝石の箱庭  作者: 琴花翠音
第一章 神の力を求めて
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謹慎命令

 あれからというもの、任務の行く先々でエレンを狙う者が増え、その度にアールが『写し子』という言葉を彼女の記憶から消すこととなってしまった。そして度重なる記憶の抹消からか、エレンの体調もいつもより芳しくないようだった。

 それを見かねてか、ある日アールのみ司令官室へ呼ばれた。


「アール…今日ここへあなたを呼んだのは、言うまでもないわね?」

「…はい」

「ここ最近、エデンの動きが目立ってきたというのもあるけど…少しやりすぎじゃないかしら?」

「……」

「あの子が体を壊したら、元も子もないと思うけど…エレンの最近の様子もわかっているでしょう?」

「はい…」

「…あなたがエレンを"惨劇"に関わらせたくないという思いはわかります。それは前にも言ったけど…でもね、その彼女をあなたが自分で苦しめてどうするの」

「…っ」

「そんな思いつめた顔しないで…何のために私が『協力する』と言ったの?あの子を任務に出すのが辛かったら、事が収まるまで休ませることも手でしょう? 全部をあなた一人で背負わなくてもいいの。それはこのガーデンにいる全員が考えていることなのだから、ね?」

「そう、ですね…すみません」


 アールがセラヴィに一礼したと同時に、セイロンがエレンを連れて部屋へ入ってきた。二人が話しているまでの間、ヒカリのもとで療養していたからか、エレンの顔色もだいぶ落ち着いていた。彼女を支えながら、セイロンはアールが腰掛けていたソファへ誘導する。

 二人が座ると、セラヴィはエレンに言った。


「エレン、あなたにはしばらく任務を休んでもらうことになるのだけれど…いいかしら?」

「…えっ?」

「あなたはエデンから狙われていて、相手の勢いに私たちでも手が付けられないところまで来ているの。それにその体調じゃあ、いつ捕まってもおかしくないでしょう? 今は体を休ませることを優先した方がいいわ」

「そんなっ…でも…!」

「エレン! そんな急に立ち上がると…っ」

「わっ…」


 突然の謹慎に、戸惑いが隠せず勢いよく立ち上がったエレンは、立ちくらみに襲われ、倒れそうになった。すぐさま、アールが彼女を支えた。


「…大丈夫か?」

「あ…ありがと…アール。大丈、夫…だから」

「…やっぱり、まだ完治には至ってないようね…これは、上司としても仲間としても放っておけないわ。完全に良くなるまで、ゆっくり休みなさい」

「…は、い…」

「あとアール、あなたも」

「…は? え…?」

「あなたは少しくらい休みなさい! 仕事ばっかりで、まともな休みも取れていないでしょう!」

「はい…すみません…」


 本日2度目の謝罪。真面目な性分ゆえに、司令官から逆に休めという直々の命令。アールにしてみたら、何とも複雑な感じである。

 アールもしばらく任務に赴かないと聞き、エレンは何も言わず、ただ俯いていた。


 エレンに再びセイロンが付き添い、アールと共に退室していった。それを見送ったあと、セラヴィは花画(モニター)を展開し、ある映像を神妙な面持ちで見ていた。

 しばらくしてセイロンも戻ってきたところで、二人でその映像を見つめた。そこに映っていたのは、草原に佇む灰色の髪の男だった。

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