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Black Rumor  作者: 東
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提案

気がついたら七月…。更新遅くなってすいません。


「楓さん?何を考えているの?」


憂里はやや苛立ったように楓を覗き込む。真崎や千鶴もその様子をじっと見つめ、事の成り行きを見守っていた。

楓はしばらくしてから顔を上げ、三人に対して順番に視線を向けつつ、自分の中でも考えをまとめるかのように注意深く話し出した。



「今回起こった五つの事件の中で注目すべき点は、同じ人物が防犯カメラに映っていた二つの事件よりもむしろ、映っていなかった事件の方だ」

「警察官負傷事件と若者刃物事件?」

「そう。この二つには、共通して映っていた人物はいなかった。それが何故かという理由を考えるべきなんだ」

「理由…」

「二つの事件には姿を見せたが、もう一方の二つには映っていない。当たり前だが、その場所にいなかったから。いや、そこに行けなかった(・・・・・・・・・)んだ」


その言葉に黙り込む憂里だったが、しばらくしてぽつりと尋ねた。



「…どうして?」

「それを説明するにはまだ情報が足りないし、俺もまだ確証がないからはっきりと言えない。しかし、共通点が見つかったのは大きい。奴をあぶり出すことができるかもしれない」


その言葉に皆が目を見開いた。

しかしやはり憂里が間髪入れずに反論する。


「あぶり出すって…どうやって見つけるつもりなの?顔は映ってなかったし誰だかわからないじゃん」

「ああ。着ていたコートから判断するのはさすがに無茶だな」

「どうやるんです?何か具体的な案が?」


真崎は冷静に尋ねた。

楓は尚も言葉を続ける。


「さっきはああ言ったが、今二つの事件は脇に置いておく。奴さん、つまり憂里を攫った黒いコートの男が、もう一方の二つの事件に共通して映っていたということは、なにかしら事件が起こることを察知できたということ。これは前に真崎とも話したが、そいつが負の感情を纏った人間を“影”に乗っ取らせるように仕向けているとしたらーーーつまりそいつ自身が“影”が暴走する原因を作ったのだとしたら、何らかの方法で事件を察知出来ても不思議じゃない」

「自分がけしかけた相手が暴走するのがわかるってこと?」


楓は頷いた。


「そう。そうやって考えれば、奴が二つの事件で現場近くのカメラに映っていた理由にもなる」

「それが奴をおびき出すのにどう繋がるの?」

「それをさっきから考えているんだが…」


そう歯切れの悪い言い方で眉間に皺を寄せる楓。どうやらその方法までは思いついていないらしく、珍しく焦ったように考え込んでいる。

すると、沈黙に包まれた部屋の空気を打ち破るように声が聞こえた。


「あの」

「?」

「方法が一つ」


今まで黙っていた千鶴が小さく手を挙げていた。

その場にいた全員は驚き、ソファに座る千鶴に視線を向けた。

その視線に怯むこともなく、背筋を伸ばした千鶴はゆっくりと自分自身にも言い聞かせるように発言する。


「黒いコートの男がけしかけた人が他にもいるとしたら、まだ起こっていない事件もあると思うんですつまり、男がけしかけた人物によって、これからまた事件が起こるかもしれないっていうこと」


人差し指をピンと立てた千鶴は、慎重にそう言った。


「男は、暴走しそうな人物を察知できる。ということは、そういう状況を作り出して、おびき寄せてしまえばいいのでは?私が暴走しそうな“影”が広がっている人物を探しますから」



聞き入っている一同に対し、ええとつまり、と千鶴は楓や真崎から聞いた情報を始めから整理しつつ、解説をした。



その内容はつまりこうだ。

今までにわかったことは、

①憂里を拉致したと自ら証言した黒いコートを着た人物が、二つの事件で現場近くのカメラに共通して映っていたこと。

②つまりこの男はその事件に関わっている可能性が高い。事件を起こした人間が暴走するに至った原因が、この男にあるかもしれないということ。

③そして男は、自分がけしかけた相手が暴走するのを察知することが可能かもしれない、ということ。


それらを踏まえて、男がけしかけた人間がまだ他にいると考え、千鶴の「目」を使って“影”が広がっているーーーつまりこれから暴走しそうな人物を探し出し、その人物が暴走したところを男に察知させ、現場に現れるように誘い出す、ということを千鶴は提案したのだ。



黙って話を聞いていた楓、真崎、憂里の三人は、驚いたように口を開けていた。


「それは、ナイスアイディア…だけど、ちと危険だな」

「千鶴ちゃんにも不可がかかるんじゃ…“影”が多く蠢いている人間が全員、あの男が原因とは限らないし…時間と労力もかかります」

「ちょっとじゃなくて大分危ないよ。奴に察知させるってことは暴走する人間と対峙しなきゃいけないんだし」


と、三人からは感心すると共に反対の声が上がる。

しかし、千鶴はそんな彼らの言葉を一通り聞くと、にっこりと笑った。


「大丈夫。そのために皆さんがいるんだから」


そしてもう一度言った。


「確かに時間と労力を使うし可能性は100%とは言えない。だけど、これしかないと思います。少なくとも私に今出来ることは、暴走しそうな人物を探し出すこと。そのためにこの目があるんです」


夜しか見えない退治人とは異なり、明るいうちからでも“影”が見える千鶴。その能力を十分に使えるのがこの方法だった。

楓はそんな千鶴を見て小さく息をつくと、


「…やろう。これで行こう。本人がこれだけ言ってんだ。俺達が力を出さなくてどうする」


そしておもむろにソファから立ち上がると、資料の置いてあった机に両手をつき、静かに述べた。



「実行するのは明日から。作戦を練るぞ」



ここのところ忙しくて全然更新出来ませんでした(言い訳)。温かい目で見守っていただけると嬉しいです。読んでくださりありがとうございました!

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