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9ー8 戦い

 9ー8 戦い


 繭の奥で何かが爆発する音がきこえ地響きがする。

 メイアがあたしをかばうように抱き抱えてその場から飛び退く。

 黒い影が繭から飛び出していくるのをメイアの頭の上に乗っているダルメスが炎を吐いて打ち落とす。

 めらめらと燃え上がる影。

 だが。

 炎は、すぐに飼い慣らされたようにその影の回りにまとわり、制御下に置かれる。

 炎を纏わせた白い巨大な熊が耳をつんざくような咆哮を上げる。

 『よくも!王に刃をむけたなぁっ!』

 「クルセイラ!?」

 あたしは、ぎょっとしていた。

 白い熊の姿のクルセイラがあたしを睨み付けると次々と氷の刃が空中に浮かび上がってくる。

 『悪い子には、お仕置きだぁっ!』

 氷の刃が一斉にあたしに向かって襲いかかってくる!

 「チカ様!」

 メイアがあたしを背後にかばいながらフェンリルに変化する。

 きぃん、と澄んだ甲高い音がいくつも響き渡りメイアの結界がクルセイラの氷の刃を弾き返す。

 『お前の相手はわたしだ!』

 ぐおぉんっと声を上げてクルセイラの首もとに食らいつくメイア。

 そのまま2匹は、絡み合いながら繭を破って中に突っ込んでいく。

 「メイア!」

 あたしが繭の中を覗き込むとそこには、1頭の老いたヘラジカが立っていた。

 静けさに背筋がそくりとする。

 巨大な角を持つそのヘラジカは、身体中傷だらけだけど凄まじいほどのオーラを放っていた。

 「アイゼル・・」

 『女王よ』

 ヘラジカは、黒い闇が凝ったような瞳であたしを見つめていた。

 『あなたは、どこまでもわしを拒むのか?』

 あたしは、ぶんぶんと頭を振った。

 「拒むなんて!」

 ただ。

 あたしは、叔父さんを、世界を守りたいだけ!

 『まあ、いい』

 アイゼルが頭を低くしてあたしに角を向ける。

 『今生のあなたが拒むなら、次の世で受け入れてもらえばいいだけ』

 アイゼルの瞳がきらりと輝く。

 『あなたがわしを受け入れるまで、何度でもわしは、あなたを殺す!』

 アイゼルが!

 あたしに向かって飛びかかってくる。

 逃れられない!

 あたしは、固く目を閉じた。

 叔父さん!

 ぴしっと何かが割れるような音がして。

 目を開くとそこには、虹色に輝くユニコーンの姿があった。

 「叔父さん!」

 『チカ!』

 ユニコーンの出現にヘラジカが声を上げる。

 『お前!お前さえ、いなければ!』

 アイゼルが巨大な角を叔父さんに向けて地を蹴る。

 『お前は、死ね!』

 ユニコーンが嘶くとその角でヘラジカの角を押し返す。

 「叔父さん!」

 あたしは、はらはらして見守っていた。 

 叔父さんが傷つくのを見ることは、怖い。

 でも、あたしは、目をそらすことができなかった。

 『2度はない!』

 ユニコーンがヘラジカを弾き飛ばすと前足を上げ吠える。

 『2度と女王を殺させはしない!』

 2人の戦いを見守るあたしの肩にそっと誰かが手を置いた。

 振り向くとそこには、いつの間にか転移してきたらしい黒髪の少女が立っていた。

 「『西の魔女』」

 「大丈夫、よ、チカ」

 『西の魔女』が微笑む。

 「あれは、2度と負けることはないから」

 

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