9ー6 紙飛行機
9ー6 紙飛行機
「あなたは・・かわいそうな人」
あたしは、思わず呟いていた。
悲しい。
アイゼルが悲しくて。
あたしは、涙を堪えていた。
「何がですかな?」
アイゼルがあたしを睨む。
「なぜ、あなたがわしを哀れむ?」
「だって・・」
あたしは、伝えたかったけど、言葉が見つからなくて。
ただ、静かに涙を流した。
「・・あなたが欲しているものは、決してもう手に入らない・・わかっているのでしょう?」
「黙れ!黙れ!黙れ!」
アイゼルがあたしに向かって雷を放った。
けれど。
それは、メイアに防がれてあたしには届かない。
アイゼルは、息を喘がせてあたしたちを睨み付けていたが、やがて、ぐふ、っと笑った。
「まあ、いい。あなたの負け惜しみなど聞く価値もない。その時がくればあなたにも誰が正しいかが理解できることでしょう」
アイゼルが手を打ち鳴らすとすぐにクルセイラスが現れた。
「女王たちを部屋に案内してさしあげるように」
アイゼルは、そう言うとあたしたちに背を向けた。
「こちらへ」
あたしとメイアは、クルセイラスに連れられて城の中へと案内された。
クルセイラスは、城の2階にある広い部屋へとあたしたちを通した。
「ご用があればいつでもお呼びください、女王よ」
クルセイラスが去るとメイアがあたしに訊ねた。
「これからどうされるつもりですか?チカ様」
「うん・・」
あたしは、俯く。
本当は、すぐにでも叔父さんのもとに戻りたい。
でも。
叔父さんのもとに戻っても叔父さんを救うことはできない。
叔父さんを救うためには、あのアイゼルが持つ王の力が込められた玉が必要だ。
なんとかしてアイゼルから玉を取り戻さなくては!
あたしは、メイアに囁いた。
「アイゼルは、『幻獣の王』の力が込められた玉を持っている筈。それをなんとか手に入れられないかな」
「わかりました」
メイアが頷く。
「わたしが城の中を調べてみますから、チカ様は、ここで待っていてくださいませ」
「お願い!」
あたしは、さらにダルメスを呼び出してメイアと一緒に玉を探してもらうことにした。
「ダルメス?」
『呼んだか?』
ふっとダルメスの姿がメイアの頭上に現れる。
「悪いけど、メイアと一緒にこの城の主が隠している玉を探してくれる?」
『了解!』
ダルメスとメイアが部屋を出ていくのをあたしは、1人見送った。
1人だけだと、なんだか不安になる。
こんな時、叔父さんが側にいてくれたら。
でも。
これは、あたしがしなくてはならないことだ!
『幻獣の女王』としての仕事。
だけど。
いったいどうすればいい?
あたしは、部屋の窓から外をうかがった。
見渡す限り鬱蒼とした森が広がっている。
ここは、叔父さんたちがいるカリスプールの街からどのぐらい離れているのだろうか?
あたしは、空を見上げる。
きっとこの空は、叔父さんたちがいる街へも繋がっている。
あたしは、ペンを取り出すと紙を出した。
そして、それに手紙を書く。
書き終わるとあたしは、それで紙飛行機を作って空へと飛ばした。
お願い!
叔父さんのもとへ届けて!




