1ー9 剣聖?
1ー9 剣聖?
ミランダさんの鋭い剣先をあたしは、よろけながらかわすと石につまずいて前のめりになった。
「くっ!」
転びかけたあたしの剣がミランダさんの首もとに迫るのを辛うじて剣で避けるとミランダさんは、後ろに飛び退いた。
「なかなかやるわね!」
いえっ!
あたしは、息も絶え絶えでなんとか剣を持って身構える。
ミランダさんがすごいスピードで踏み込んでくるから怖くて脇に飛び退く。
するとあたしが持っている剣がなぜかミランダさんの肩に当たってミランダさんは、肩を押さえてうずくまる。
「大丈夫ですか?」
あたしは、申し訳なくてミランダさんに駆け寄って覗き込む。
ミランダさんは、きっ、とあたしを睨み付けると立ち上がって叔父さんの方を向いた。
「ジークナー公爵!」
わぁっ!
あたしは、剣の柄を握りしめて叔父さんに迫っているミランダさんを見守った。
すごく怒ってる!
当たり前だよね。
肩に剣が当たったら痛いんだし!
もしかしたら、やる気がないって思われてるかも!
「どうしましたか?ミランダ嬢」
「あなたは、確かに、チカ様は、剣も魔法もまったくの素人だと仰いましたよね?」
「ええ。それが何か?」
叔父さんもちょっとミランダさんの剣幕に困惑気味だし!
あたしは、どうしたらいいの?
この場から逃げ出そうかと思ってそっと背を向けたあたしにミランダさんの言葉が聞こえた。
「素人どころか!」
ミランダさんは、興奮気味に叔父さんに告げた。
「かなりの剣の達人とお見受けいたしました!この分なら、試験も楽勝でしょう」
はいっ?
あたしは、きょとんとして叔父さんを見つめる。
叔父さんは、くすっと笑ってあたしに軽くウィンクした。
「そうでしょう?チカは、剣もなかなかの腕前で。しかし、まったく今まで対戦相手もいなかったのでどれほどの実力かわからなかったのです」
「そうなんですか?」
ミランダさんが少し考え込む。
「もしかしたら学園で騎士科に進めば将来は剣聖になることもできるかもしれませんよ!」
あたしは、思わず泣きそうになっていた。
偶然によろけたりしてただけなのに、剣聖とか冗談でしょ?
騎士科なんて絶対無理だし!
あたしは、叔父さんを必死に見つめていた。
なんとかしてミランダさんを説得してもらわなくては!
さもなければ、あたしの未来は真っ暗だ!
叔父さんは、笑いをごまかすように咳払いをするとミランダさんに微笑んだ。
「チカを高く評価してくださるのは嬉しいのですが、この子は、争いの嫌いな大人しい子ですのでとてもとても騎士科などは無理でしょう。できれば、魔法科それも普通クラスを目指せればと思っております」
「そうですか・・」
ミランダさんは、残念そうに頷いた。
「では、魔法の方も試させていただきましょう」




