9ー1 白い部屋
9ー1 白い部屋
白髪の男が魔道具らしい白い玉を差し出す。
すると!
ぎゅるん、と視界がねじれる。
足元が揺らいで目の前が暗くなった。
気がつくとあたしは、白い部屋に立っていた。
「ここは・・?」
「わかりませんが・・」
そばに立っていたメイアが辺りを見回しながら叫んだ。
「ここから出せ!卑怯者めっ!」
しかし。
いくらメイアが騒いでも誰も答える者はなかった。
どうやらあたしたちは、何かの魔道具的なものの中に吸い込まれてしまったらしい。
「どうしよう・・」
あたしは、考え込んだ。
このまま、殺されてしまうのかも。
でも!
あたしは、思い出していた。
あの白髪の男が持ち去った玉を取り戻せれば叔父さんは、救われる!
でも。
ここから出ることは、難しそうだ。
メイアでも手も足もでないようだし。
そうとなれば。
あたしは、ポケットからペンを取り出した。
空中に『叔父さん』と書こうとしたけど文字が書けない。
「あれ?」
何回も試したけどダメだった。
そこで、次にあたしは、『食料』と書いてみた。
だって、お腹がすいたから!
今度は文字が書けた。
すぐに目の前に美味しそうな焼きたての肉と白い柔らかそうなパン。それに暖かいスープが現れた。
あたしは、ペンでテーブルと椅子も出してみる。
次々に家具が現れた。
どうやらこの空間では、ペンで出せるものと出せないものがあるようだ。
あたしたちは、とりあえず食事をテーブルに並べて美味しくいただくことにした。
メイアは、あくまで従者なので、と固辞したけどあたしが頼み込んで一緒に食事をとる。
それから。
あたしは、ベッドを出してみる。
すぐにベッドが現れたので、続いて普段着のジャージやらマンガなどを取り出す。
あたしは、周囲を見回すが特に嫌な気配もないので、その場でジャージに着替えた。
メイアにもすすめる。
普段着に着替えたあたしたちは、ベッドにごろんと横たわってマンガを読み始める。
しばらくすると眠気に襲われて。
あたしは、あくびをするとそのまま眠りについた。
どのぐらい時間が経ったのか。
メイアに起こされてあたしが目をさましたら目の前に呆れたような顔をしている白髪の男が立っていた。
「何をしているんだ?お前たちは」
あたしは、慌てて起きると身構える。
白髪の男は、はぁっとため息をついた。
「『幻獣の女王』がまさかこんな感じとは・・ショックだ!残念すぎる!」
「そんな褒められても・・」
あたしが照れて頭をかくとメイアがベッドからするりと降りて白髪の男を睨み付けた、
「下がっていてくださいませ!チカ様!」
メイアは、白髪の男に飛びかかる!
だが。
男は、メイアを余裕でかわすとあたしに近づいてくる。
「まったく!力の無駄使いだな!呆れたもんだ!」
男があたしに向かって手を伸ばしたので、あたしは、ぎょっとして身を竦ませた。




