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8ー10 ユニコーン

 8ー10 ユニコーン


 あたしと叔父さんと『西の魔女』は、これからの話をするためにカリスプールの城の一室に集まっていた。

 本当は、もうこの城に来たくはなかったのだけど、これから叔父さんがここの主になる以上そんなことも言っていられない。

 叔父さんが使用人に命じて用意させた部屋は、城から少し離れた場所にある離宮のような場所だった。

 「ここは、ルードレール伯爵が亡くなった奥方のために造った離宮で、ルードレール伯爵は、ここに近づくことは許されなかった」

 叔父さんは、そう、あたしに話した。

 確かに、この離宮からは、ルードレール伯爵の気配が感じられない。

 とても澄んだ爽やかな気に包まれている。

 離宮の日差しが差し込むお茶室に通されて、あたしと叔父さんと『西の魔女』は、向かい合った。

 こんな風にしてあたしたちが話し合うことは初めてといってもいいだろう。

 おそらく、『西の魔女』の城に初めて招かれて以来のことだ。

 ランディールとメイアがお茶を給仕してくれるのを待ちながらあたしは、叔父さんと『西の魔女』に夢の話をした。

 あの大きな樹の夢。

 2人は、あたしの話を黙って聞いてくれていたがやがて『西の魔女』が口を開いた。

 「間違いないわ。それは、世界樹に違いない」

 『西の魔女』の言葉に叔父さんも頷く。

 「そうだな。おそらくそこに『幻獣の王』は、眠っている」

 叔父さんは、『西の魔女』にデューラ・ダンジョンにある神龍の里であったことを話した。

 『西の魔女』は、黙して聞いていたが『幻獣の王』の半身であるユニコーンが持っていた力のこめられた玉を敵に奪われたことを知ると目を細めた。

 「ユニコーンは、『幻獣の王』が目覚めた時に王の力を回復させるために分かたれた半身。その力が敵に奪われたということは敵は、『幻獣の王』が目覚めても簡単に王を滅ぼすことができる」

 『西の魔女』が淡々と話した。

 「つまり、『幻獣の王』を目覚めさせるのは、絶対に我々でなくてはならないということね」

 「幸いなことに」

 叔父さんが声を上げる。

 「王を目覚めさせる鍵であるチカは、我々のもとにいる。王を守護する勇王と聖女も。後は、王が眠る世界樹がある場所さえわかればいつでも我々の手で王を甦らせることができる」

 「しかし、王を甦らせたとしてもその力を回復させることができない」

 『西の魔女』がふぅっと吐息をつく。

 「まず、敵に奪われた玉を取り戻さなくては」

 「その必要はない」

 叔父さんがあたしと『西の魔女』に真剣な眼差しをむける。

 「ユニコーンの玉がなくても王に力を注ぐことは可能だ」

 「まさか・・」

 『西の魔女』がはっと息を飲む。

 「ユニコーン自体を『幻獣の王』の体に戻すつもりなのかしら?」

 叔父さんは、静かに頷いた。

 「本来、ユニコーンが『幻獣の王』から分かたれたのは、そうするためだろう?」

 「しかし」

 『西の魔女』があたしをちらっとうかがう。

 「それだとユニコーンは・・つまり、あなたは」

 「『幻獣の王』に吸収されることになる」

 叔父さんの言葉にあたしは、目を見開く。

 「叔父さんが死んじゃうってこと?」

 「違う」

 叔父さんは、あたしを安心させようとしてにっこりと微笑む。

 「私は、いや、ユニコーンは、もともと『幻獣の王』の一部だったんだ。それがもとに戻るだけだ」

 さらりと言ってのける叔父さんがあたしは、信じられなくて!

 だって!

 それだと叔父さんは、消滅するのと同じだし!

 「そんなの、あたしは、嫌!」

 あたしは、きっ、と叔父さんを睨んだ。

 「叔父さんを失うのなら、あたしは、絶対に『幻獣の王』を目覚めさせたりはしないから!」

 あたしは、3人で話していた部屋から駆け出した。

 部屋の外にいたミランダ先生とぶつかりそうになったけど、かまわず走り去る。

 

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