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8ー9 運命

 8ー9 運命


 あたしは、弱っているメイアをランディーノたちの手を借りて連れ出すと馬車で宿屋まで運んだ。

 伯父さんに頼んで治癒師を呼んでもらったけど、特に怪我とかはしてないみたいでちょっとホッとした。

 「これは、精神的なものです」

 教会からきてくれた治癒師のお姉さんがあたしたちに話した。

 あたしは、落ち込んでいたのも忘れてメイアの世話を焼く。

 体をきれいなお湯で拭いてやり、服を着替えさせ、消化にいい食事を食べさせる。

 メイアは、なされるままになっていた。

 もちろん首輪もはずす。

 食事を食べながらメイアは、涙を流した。

 「わたし・・あの人たちが怖くて・・逃げられなくて・・」

 メイアは、泣きながら話した。

 どうやら街で偶然再会してしまい家に連れ戻されたらしい。

 子供の頃から植え付けられた恐怖心故に逆らうこともできなかった。

 「ごめんなさい・・チカ様に迷惑を・・」

 「迷惑なんて!」

 あたしは、メイアを抱き締めて一緒に泣いてしまう。

 あたしたちは、わんわん泣いて。

 そして。

 一晩ぐっすりと眠るとメイアは、すっかり元気になった。

 あたしも。

 いつまでも落ち込んでたらダメだし!

 メイアと宿屋で2人、刺繍をしてたら伯父さんが帰ってきた。

 疲れた様子の伯父さんは、あたしの前に跪くとじっとあたしを見つめた。

 「話があるんだ、チカ」

 伯父さんの話は、意外に思われた。

 なんでも国を守護する新しい騎士に伯父さんが選ばれたらしい。

 つまり、ルードレール伯爵の代わりに国の一柱になるんだとか。

 「もし、国を守護する柱になったら」

 あたしは、伯父さんが心配で。

 「伯父さん、辛くない?」

 「辛くなんてないさ」

 伯父さんは、あたしの手をとる。

 「国を守ることは、チカを守ることにもなるからね」

 伯父さんは、あたしの手を握ったままあたしの目を見つめる。

 「これからきっと神龍の里で『幻獣の王』の力が宿る玉を奪ったやつらと戦うことになるだろう。その時にチカを守るためには必要なことだ」

 「伯父さん・・」

 あたしは、伯父さんの手を握り返した。

 「あたしも戦うからね!」

 あたしの言葉に伯父さんがぎょっとする。

 「チカ」

 「あたしは!」

 あたしは、伯父さんの目を見て告げた。

 「伯父さんと共に生きていきたいの!」

 守られるだけじゃなくて、伯父さんの力になりたい。

 あたしたちは、しばらく見つめあった。

 時が止まるのを感じる。

 胸がドキドキして。

 あたしは、頬が熱くなる。

 「チカ・・お前は、『幻獣の女王』としての運命を受け入れるつもりなのか?」

 伯父さんがあたしの瞳を見つめて囁く。

 「ならば・・僕もこれ以上は、逃げない。僕は、僕の運命を受け入れよう」

 

 

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