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8ー3 故郷

 8ー3 故郷


 『西の魔女』の言葉にあたしは、瞬きをする。

 「あたしが来ることがわかっていたんですか?」

 「ええ」

 『西の魔女』は、お茶のカップをすっと持ち上げると一口こくりと飲んだ。

 「あなたは、知りたいのでしょう?あなたの大切な叔父さんが何を恐れているのかを」

 「・・知りたい、です!」

 あたしは、テーブルに身を乗り出すと『西の魔女』を見つめる。

 「教えてください!叔父さんは、いったい何からあたしを守ろうとしているんですか?」

 「そうね・・」

 『西の魔女』がすぅっと目を細めた。

 「今のあなたなら知ることが許されるかもしれない」

 今のあたしなら?

 あたしは、首を傾げる。

 あたしには、『西の魔女』の思わせぶりな言葉はよくわからない。

 あたしの様子を見ていた『西の魔女』が口許に笑みを浮かべる。

 「あなたは、あの男を愛しているのね?」

 愛?

 あたしは、ぼっと頬が熱くなるのを感じて俯く。

 「当然です!叔父さんのこと好きなのは当たり前のことでしょ?」

 「そういう意味ではなく」

 『西の魔女』が言葉を転がすように楽しげに告げる。

 「あなたは、あの男を1人の異性として愛しているのでしょう?」

 えっ?

 あたしは、パチパチと瞬きを繰り返す。

 あたしが叔父さんのことを?

 あたしの中でいままで過ごしてきた日々が溢れだして。

 優しい叔父さんの微笑み。

 いつもそっと頭を撫でてくれること。

 あたしの危機にはいつも駆けつけてくれること。

 そして。

 いつもそっと寄り添ってくれていたこと。

 気がつくと涙が頬を伝っていた。

 ああ。

 あたし、こんなにも叔父さんのこと、好きだったんだ。

 「・・好きです、あたし、叔父さんのことが好き・・」

 口にするとなんだか奇妙な気持ちがして。

 あたしは、そっと自分の唇に指先で触れた。

 心がなんだかほっこりとする。

 『西の魔女』は、ふっと微笑んだ。

 「あなたたち、とっても可愛らしいわね」

 『西の魔女』が大人びた表情であたしを見つめる。

 「2人とも相手のことを思って。とても臆病で。なのにすごく暖かい」

 『西の魔女』は、遠い何かに目を凝らすようにあたしに告げた。

 「その気持ちを失わないように。そうすれば何が起ころうともあなたたちは、前に進むことができる」

 『西の魔女』は、ふっと吐息をつく。

 「あなたにお願いしたいことがあるの」

 

 次の日。

 あたしは、南に向かう街道を馬車を走らせていた。

 といっても馬車を走らせるのは御者であるランディーノなんだけど。

 あたしは、馬車の中でメイアと向かい合って腰かけて窓の外を眺めていた。

 ミルカリアの街の外に出るのはダンジョン演習以来だ。

 「南の街・・カリスプールってどんなところなのかな?」

 あたしの問いにメイアは、ちょっと表情を硬くする。

 「カリスプールは、海の近くにある街です。ミルカリアに比べればずっと暖かくて、異国の民も多いです」

 「メイアは、詳しいんだね」

 あたしがメイアを見るとメイアは、俯いた。

 「わたしは、この街の出身ですから」

 ええっ?

 あたしは、ぎょっとしてメイアを見つめた。

 

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