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7ー9 プレゼント

 7ー9 プレゼント


 この世界の野菜でジャガイモによく似ているポルモを薄くスライスして油で揚げて塩を振ったお菓子は、ちょっとポテトチップスとは違っていたけどなかなか美味しかった。

 というのはポルモは、砂糖の材料でもあるらしくてジャガイモに比べるとかなり甘いのだ。

 でも、塩を振ることで甘じょっぱくてなんだかこれはこれで癖になりそうな味だし!

 ヨゼフさんは、さっそくこれを売る屋台を街に出してみることにしたらしい。

 貴族街では買い食いする者はあまりいないのでミルカリアの下町でいくつか屋台を出してみたんだとか。

 このポルモ揚げは、すごい人気が出てこの冬のミルカリアの流行りとなった。

 あたしは、メイアに頼んで学園の帰りに下町にポルモ揚げを買いに行ってみた。

 すると!

 すごい行列ができていて!

 あたしとメイアは、かなり並んでやっと買うことができたの。

 歩きながらポルモ揚げを食べる。

 貴族は、ほんとは食べ歩きなんてしないらしい。

 メイアも初めてだったみたい。

 

 ポルモ揚げは、大人気だったけど、あたしたちの試験結果は、あまり喜ばしいものではなかった。

 アンナさんとあたしとマリカさんは、剣術と歴史の試験が壊滅的で冬期休暇中に学園で特別講義を受けることになってしまった。

 「最悪・・」

 アンナさんががっくりと項垂れる。

 「社交の季節に何が悲しくて学園に来ないといけないわけ?」

 なんでも冬は、ミルカリアの街の貴族にとっては社交の季節なんだとか。

 貴族たちは、毎日のように舞踏会やら観劇やらに通って他貴族との交流を持つ。

 それは、アンナさんにとってはとても大切なことみたいだ。

 「わたしがルミナ商会の広告塔なんだから!」

 アンナさんがぶつぶつとぼやく。

 「わたしが参加しなくて誰が新しい流行を作るっていうの!?」

 でも、特別講義を受けなくては落第することになってしまう。

 アンナさんは、泣く泣く毎日講義を受けていた。

 あたしもマリカさんもかなり頑張ったし!

 最終的に追試を受けてあたしが50点、マリカさんが45点、アンナさんが60点で合格できた。

 「お前たち、恩にきろよ!」

 冬期休暇をあたしたちの特別授業で潰されたスワロウ先生が試験の後で恩着せがましく言ったので、アンナさんが後でスワロウ先生にポルモ揚げを5袋分ぐらい届けたんだとか。

 特別講義がすんだ頃には冬期休暇は、残り少なくなっていた。

 あたしは、作りかけの刺繍を完成させるべくメイアと部屋にこもっていた。

 この世界では、新年の朝には、愛の女神の加護がもらえるっていう言い伝えがあるんだってアンナさんが言ってた。

 その日に家族同士や恋人たちは、お互いに贈り物をすると愛の女神の祝福があるらしい。

 あたしも叔父さんにプレゼントしたくて刺繍をなんとか仕上げようと頑張った。

 新年の朝。

 朝食の後、叔父さんに完成した刺繍入りのハンカチをプレゼントすると叔父さんは、一瞬、泣きそうな顔をした。

 「ありがとう、チカ」

 叔父さんは、あたしが作った不細工な刺繍を握りしめて言葉を詰まらせた。

 「大切にするよ」

 そんなに喜ばれるとあたしは、ちょっと照れてしまう。

 「また、プレゼントするから」

 あたしは、叔父さんに告げた。

 「もっと上手になって、もっといいものをプレゼントするよ」

 「そうか?」

 叔父さんは、優しく目を細めた。

 「これ以上の贈り物なんてないよ、チカ」

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