表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/104

7ー4 パーティー

 7ー4 パーティー


 祭りの夜。

 『西の魔女』の城で開かれる舞踏会に叔父さんとあたしは、招待されていた。

 そこでマリカさんが聖女であることが発表される。

 でも。

 今夜のあたしたちにとっては、それよりも重要なことがあった。

 同じパーティーであたしと王太子の婚約も発表されるのだ。

 城に向かう馬車の中は、重苦しい雰囲気だった。

 叔父さんは、あたしの婚約が決まって以来、家にいることがあまりなかった。

 公爵領に行ったり、仕事で城に登城したりと忙しそうで前みたいにあたしにかまってくれなくなっていた。

 あたしは、それが寂しくて。

 叔父さんは、あたしのことどう思ってるのかな?

 ふいに思ってしまった。

 あたしは。

 こんなにも叔父さんのこと考えてるのに、叔父さんは、あたしのことまったくなんにも思ってないのかも。

 城につくとあたしたちは、2階にある特別な部屋へと通された。

 そこにはグリノア王太子殿下とマリカさんが待っていた。

 王太子としてあたしの前に立つグリノア様は、グリエ君の時とは違って自信に溢れていて力強い印象だ。

 王族の青に黒にも見える濃い藍色で刺繍を施された衣装に身を包んでいる。

 マリカさんは、今まで見たこともないような立派な淡いピンク色のドレスを着て少しおどおどして椅子に座っている。

 あたしは。

 王族の青のドレスを着ている。

 これは、叔父さんが選んでくれたものだった。

 でも。

 なんだか瞳の色が変わる前の叔父さんの瞳を思い出してしまう。

 あたしが無茶なことをしたせいで叔父さんは、瞳が幻獣の色に変わってしまった。

 でも、叔父さんは、あたしを責めたりはしなかった。

 世間で叔父さんの目の色を『呪い』と噂していることをあたしは知っている。

 それでも叔父さんは、いつもと同じ。

 変わることなくあたしに接してくれている。

 あたしは、それも胸が苦しかった。

 「この度は、婚約を受け入れくれたこと感謝する、チカ嬢。ジークナー公爵」

 グリノア王太子殿下の言葉にあたしと叔父さんは、それぞれ礼をとる。

 叔父さんは、少しだけ押し黙ってから口を開いた。

 「こちらこそ、末長く姪をよろしくお願いいたします」

 叔父さんが言うとグリノア王太子殿下は、こくりと頷いた。

 あたしは、自分の話のような気がしなかった。

 外から音楽が流れてくる。

 「そろそろおいでくださいますか?殿下」

 いつの間にかドアのところに『西の魔女』が立っていた。

 グリノア様があたしに手を差し出す。

 「お手をどうぞ、チカ嬢」

 あたしは、ちらっと叔父さんを見るが叔父さんは、視線をそらせている。

 胸がちくりと痛んだ。

 なぜ、叔父さんは、あたしを見てくれないの?

 なんだか、ムッとしてしまう。

 叔父さんは、ほんとに!

 あたしは、グリノア様の手に手をのせると歩きだした。

 そっちがその気ならあたしだって!

 「今日のダンス、楽しみにしてました」

 あたしは、歩きながらグリノア様に話した。

 「ただ・・ちょっと問題が」

 「なんです?チカ嬢」

 優しく聞くグリノア様にあたしは、ちょっと頬を熱くして答える。

 「あたし、実は、ダンスも苦手なんです」

 一瞬、グリノア様の目が丸くなる。

 そして。

 グリノア様が吹き出した。

 そんなに笑わなくても!

 あたしは、ちょっとムカついていた。

 グリノア様は、涙を拭くとあたしに微笑んだ。

 「大丈夫だよ、チカ。僕は、ダンスも得意だから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ